株式会社小松製作所 の会社詳細
株式会社小松製作所
コマツ
2027年3月期 第1四半期
2026年7月29日

コマツ、2027年3月期第1四半期決算、売上高14.7%増で通期予想を上方修正

コマツ
決算
四半期決算
決算分析
上方修正
増収増益
建設機械
鉱山機械
円安
海外展開
ICT建機
第1四半期累計期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1.0兆円

+14.7%

通期予想

4.3兆円

進捗率24%

営業利益

1,516億円

+8.0%

通期予想

5,550億円

進捗率27%

純利益

962億円

+5.4%

通期予想

3,490億円

進捗率28%

営業利益率

14.5%

コマツ(小松製作所)は7月29日、2027年3月期第1四半期決算を発表した。売上高は前年同期比14.7%増1兆431億円、営業利益は8.0%増1516億円と増収増益。円安や鉱山機械・建機の販売増が寄与し、通期業績予想を上方修正した。特に北米・中南米での需要堅調が業績を牽引。一方、売上高営業利益率は14.5%と前年同期から0.9pt低下し、コスト増の影響も見られる。

業績のポイント

コマツの2027年3月期第1四半期連結業績は、売上高が1兆431億円(前年同期比14.7%増)、営業利益が1516億円(同8.0%増)、当社株主に帰属する四半期純利益が962億円(同5.4%増)と、増収増益を達成した。為替が前年同期の1ドル=145.5円から158.5円へと大幅に円安に振れたことに加え、販売価格の改善や鉱山機械・一般建機の数量増が業績を押し上げた。

営業利益の増加率は売上高の伸びを下回り、売上高営業利益率は14.5%と前年同期の15.4%から0.9ポイント低下した。これは原材料費や人件費などのコスト増加が影響した。地域別では北米・中南米を中心とする米州の売上高が前年同期比32.7%増と突出して好調で、全体の成長をけん引した。一方、アジアではインドネシアの石炭採掘制限による鉱山機械需要の低迷や日本市場の建設需要減少により減収となった。

同社は2025年4月から中期経営計画「Driving value with ambition 価値創造への挑戦」を開始しており、ESG目標の一環で「ダウ・ジョーンズ・ベストインクラス・ワールド・インデックス」に選定されるなど、非財務面でも進展が見られた。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

建設機械・車両セグメントは売上高9669億円(前年同期比14.4%増)、セグメント利益1301億円(同6.4%増)で、引き続き全社の稼ぎ頭となった。外部顧客向け売上高は9650億円で、連結売上高の92.5%を占める。営業利益率は13.5%と前年同期の14.5%から1.0pt低下したが、数量増と円安効果がコスト増を吸収した。

地域別では、北米がインフラ・レンタル需要や鉱山機械販売増加を背景に29.5%増2892億円、中南米は銅需要堅調を背景にチリなどで鉱山機械が伸び37.2%増2153億円となった。アフリカも金需要やインフラ工事により31.6%増726億円。一方、インドネシアの石炭採掘制限でアジア(日本・中国除く)は29.6%減700億円、中近東は情勢悪化により54.6%減112億円、日本は人件費・資材高騰で12.0%減600億円と明暗が分かれた。

鉱山機械では、無人ダンプトラック運行システム(AHS)の累計導入台数が1,060台に達し、ICT建機化率は31.1%へ上昇。既存の強みに加え、SDV型油圧ショベルや遠隔操作システムの販売開始など、ソリューションパートナーとしての進化を加速させている。

リテールファイナンス部門は売上高327億円(前年同期比7.4%増)、セグメント利益96億円(同2.8%増)と堅調。資産拡大と円安が寄与した。営業利益率は29.4%と高水準を維持している。

産業機械他部門は売上高529億円(前年同期比21.7%増)、セグメント利益90億円(同25.1%増)と大幅な増収増益。自動車産業向け大型プレスの販売増加と半導体向けエキシマレーザーのメンテナンス需要が伸びた。営業利益率も17.0%と前年同期の16.6%から改善した。

セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
建設機械・車両9,650億円93%1,301億円13.5%
リテールファイナンス258億円3%96億円29.4%
産業機械他523億円5%90億円17.0%

通期見通し(上方修正)

コマツは2027年3月期通期の連結業績予想を上方修正した。期初予想に対し、中東情勢の影響が限定的なことや米国関税の影響緩和、最新の市場見通しを反映した。

項目前回予想 (2026/4/28公表)今回修正予想前期実績 (2026/3期)
売上高4,118,000百万円4,302,000百万円4,132,751百万円
営業利益508,000百万円555,000百万円567,323百万円
税引前当期純利益466,000百万円508,000百万円537,258百万円
当期純利益318,000百万円349,000百万円376,391百万円

修正後の通期計画は増収・営業減益ながらも、期初計画から大きく引き上げられた。為替の前提レートは期初から変更しておらず(第2四半期以降1ドル=150.0円)、第1四半期の円安効果が通期に織り込まれた格好だ。

同社は配当予想も年間190円(中間95円、期末95円)で据え置いている。4月に決議した自己株式取得も進めており、資本効率の向上と株主還元への意欲がうかがえる。

財務状況と資本政策

当第1四半期末の総資産は6兆7826億円と前期末から3586億円増加した。主に棚卸資産の増加と円安による外貨建て資産の目減り抑制が寄与した。有利子負債残高は1兆6436億円3026億円の大幅増となったが、運転資金需要や自己株式取得に備えたコマーシャル・ペーパー発行等による。株主資本は3兆5154億円と微増にとどまり、株主資本比率は51.8%と前期末の54.7%から低下した。

キャッシュ・フローでは、営業CFが651億円の収入(前年同期比353億円増)。棚卸資産の増加が重しとなったが、好調な利益がカバーした。投資CFは固定資産購入等により668億円の支出。財務CFは1262億円の収入で、借入増と自己株式取得が主な内訳。現金及び現金同等物の期末残高は5719億円と潤沢だ。

株主還元では、年間配当190円予想に加え、2026年4月の取締役会決議に基づき自己株式取得を実施中。自己株式数は前期末の2924万株から3883万株へと増加し、1株当たり利益の向上に寄与している。

戦略トピック

中期経営計画「Driving value with ambition」初年度の第1四半期は、ICT建機化率が31.1%に到達し、ソリューションパートナーへの変革が着実に進んでいる。特に鉱山機械のAHS累計導入台数が1,060台を超え、自動化ソリューションの拡大が鮮明だ。

また、SDV型油圧ショベル「PC128USi-12」「PC138USi-12」の販売開始や遠隔操作システム「Smart Construction Teleoperation」の投入など、イノベーションによる価値共創を具体化させた。同社は建設現場の生産性向上だけでなく、安全性や脱炭素化まで視野に入れたクリーンな現場の実現を目指しており、長期的な競争優位を築きつつある。

リスクと課題

決算短信では主要リスクとして、為替相場の変動、主要市場の経済状況や製品需要の変動、国内外の規制・会計基準の変更を挙げている。

当期の実績でも、中近東での売上高が前年同期比54.6%減と地政学リスクの影響が顕在化した。インドネシアの石炭採掘制限によるアジアの鉱山機械需要低迷も継続しており、資源価格動向に業績が左右されやすい面がある。日本市場では人手不足や資材高を背景に建設需要が低迷し、販売減少が続く。コスト面では原材料費や労務費の上昇圧力が営業利益率を押し下げている。加えて、米国の関税政策や各国の環境規制強化など、外部環境の不透明感は強い。

同社はこれらの課題に対し、販売国分散やバリューチェーン強化、値上げの浸透、ICTソリューションの差別化で耐性を高めているが、今後の下振れリスクには注意が必要だ。

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AIアナリストAI·2026年7月29日

コマツの第1四半期は、円安と資源高を追い風に鉱山機械が好調で、通期上方修正につながった。ただし、為替前提(下期1ドル150円)が保守的であり、実勢レートが継続すれば更なる上振れ余地がある。

注目すべきは、営業利益率が改善していない点だ。原価率の上昇や販管費の増加はコストプッシュ型であり、価格転嫁力は評価できるが、構造的な利益率向上にはつながっていない。日本市場の低迷も重しとなっている。

一方、ICT建機化率31.1%やAHS1000台突破に象徴されるソリューションシフトは、長期的な競争優位を確立する鍵となる。DJSI選定もESG投資家への訴求力を高める。足元の業績に加え、こうした質的変化への評価が、今後の株式市場でのリレーティング材料になるだろう。

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