武蔵野銀行、2027年3月期第1四半期決算、経常利益47%増で通期予想を上方修正

武蔵野銀行の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、経常収益は前年同期比63.9%増の388億円、経常利益は47.1%増の84億円となり、増収増益でした。貸出金や有価証券の利息収入、株式売却益が利益を押し上げ、会社は経常収益と経常利益の通期予想を上方修正しました。一方、預金利息や与信関係費用も増えており、利益の伸びが続くかが焦点です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 388億円 | +63.9% | 1,270億円 | 31% |
| 営業利益 | 84億円 | +47.1% | 302億円 | 28% |
| 純利益 | 47億円 | +12.4% | 195億円 | 24% |
| 営業利益率 | 21.7% | |||
この決算のポイント
- 1親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比12.4%増の46億90百万円
- 2コア業務純益は貸出金・有価証券の利息収入増を受け、前年同期比45.8%増の88億88百万円
- 3銀行業のセグメント利益は前年同期比45.3%増、リース業の経常収益は17.2%減
- 4通期の経常収益予想を1,270億円、経常利益予想を302億円に引き上げ
- 5不良債権比率は2026年3月末から0.12ポイント上昇し1.62%
業績のポイント
武蔵野銀行(株式会社武蔵野銀行)の2027年3月期第1四半期は、経常収益が前年同期比63.9%増の388億21百万円、経常利益が47.1%増の84億18百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が12.4%増の46億90百万円でした。経常利益の増加要因を分解すると、株式関係損益の増加が大きく、与信関係費用の増加が利益を押し下げました。
コア業務純益は前年同期比27億93百万円増の88億88百万円で、貸出金利息や有価証券利息配当金を中心とする資金利益の伸びが支えました。一方、預金利息の増加などで経常費用も増えており、増収がそのまま純利益の大幅増につながったわけではありません。
利息収入増と株式益が利益を押し上げ。県内ではAI・半導体関連の企業活動や設備投資が堅調とされ、貸出金残高も前年同期末から増加しました。ただし、株式売却益や与信費用の変動も利益に影響しており、基礎的な収益力と一時的な損益を分けて見る必要があります。
- 前年同期57.2億円
- 連結粗利益+18.3億円
- 営業経費-3.2億円
- 株式関係損益+59.9億円
- 与信関係費用-47.5億円
- その他-0.5億円
- 当期84.2億円
セグメント別動向
銀行業が全体の収益をけん引し、リース業は減収ながら利益を小幅に伸ばしました。以下の前年比は、決算短信のセグメント数値から算出しています。
銀行業は経常収益が前年同期比75.3%増、セグメント利益が45.3%増でした。貸出金利息と有価証券利息配当金の増加を背景に、主力事業の収益力が強まりました。銀行業の経常収益には内部取引も含まれ、連結経常収益とは集計範囲が異なります。
リース業は経常収益が17.2%減となる一方、セグメント利益は前年同期比50.0%増でした。ただし利益額は小さく、収益規模の縮小が続くかを見極める必要があります。
- 信用保証業: 経常収益は前年同期比1.1%減、セグメント利益は2.9%減。利益水準は引き続き高いものの、前年同期を下回りました。
- その他: 経常収益は前年同期比16.0%増、セグメント利益は2.1%減。コンサルティングやカード関連などを含む事業群で、収益増が利益増には結びつきませんでした。
主力の銀行業が増益を主導。埼玉県では製造業のAI・半導体関連が好調とされ、貸出金需要の拡大が業績を後押しする可能性があります。反対に、リース業の減収や信用保証業の利益減少など、銀行業以外の収益動向には差が出ています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行業 | 363億円 | 90% | 89億円 | 24.6% |
| リース業 | 28億円 | 7% | 3百万円 | 0.1% |
| 信用保証業 | 3億円 | 1% | 3億円 | 87.6% |
| その他 | 8億円 | 2% | 1億円 | 18.3% |
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は前期末比327億円減の5兆6,159億円、純資産は60億円減の2,744億円でした。貸出金は前期末から71億円増えた一方、預金は67億円減少しています。
| 項目 | 2026年6月末・予想 | 比較・補足 |
|---|---|---|
| 総資産 | 5兆6,159億円 | 前期末比327億円減 |
| 自己資本比率 | 4.8% | 前期末の4.9%から低下 |
| 貸出金 | 4兆3,159億円 | 前期末比71億円増 |
| 預金 | 5兆1,703億円 | 前期末比67億円減 |
| 年間配当予想 | 82円 | 1株を3株に分割後の金額 |
年間配当予想は中間41円、期末41円です。前期の年間配当170円は株式分割前の金額で、分割後に換算すると約56.7円となるため、単純比較ではなく分割を考慮する必要があります。短信に自社株買いの発表はなく、四半期の連結キャッシュ・フロー計算書も作成されていません。
自己資本比率4.8%は短信に記載された純資産を総資産で割った比率で、銀行の規制上の自己資本比率とは別の指標です。2026年6月末の国内基準の自己資本比率は、算出次第公表するとしています。
通期見通し
武蔵野銀行は第1四半期の実績を踏まえ、2027年3月期の経常収益と経常利益の予想を引き上げました。通期の経常収益は前回予想比120億円増、経常利益は15億円増です。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 経常収益(億円) | 1,150 | 1,270 | 短信抜粋に記載なし |
| 経常利益(億円) | 287 | 302 | 短信抜粋に記載なし |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(億円) | 記載なし | 195 | 短信抜粋に記載なし |
第2四半期累計の予想も、経常収益を前回の595億円から715億円へ、経常利益を133億円から148億円へ引き上げました。会社は純利益予想の変更を説明文で明示しておらず、表に記載された通期予想は195億円です。
通期予想を増収・増益方向に引き上げ。貸出金利息や有価証券利息配当金の伸びが予想修正の背景にある一方、預金金利や市場環境の変化が収益を左右します。業績予想は現時点の情報に基づくもので、国内外の経済や株式市場の変化によって実績が異なる可能性があります。
リスクと課題
利益は増加しましたが、与信関係費用の増加や有価証券の評価損など、金利・信用・市場環境に伴うリスクも表れています。会社は国内外の経済や株式市場の変化を業績予想の変動要因として挙げています。
- 信用コスト: 連結の与信関係費用は前年同期比47億50百万円増加しました。単体の金融再生法開示債権は3月末比53億54百万円増の709億85百万円、不良債権比率は0.12ポイント上昇の1.62%です。
- 金利上昇と預金調達費用: 預金利息は前年同期の21億59百万円から37億21百万円に増加しました。貸出金利息の伸びが預金金利の上昇を吸収できるかが、今後の利ざやを左右します。
- 有価証券の価格変動: 連結のその他有価証券評価損益は6月末に262億28百万円のマイナスで、債券の評価損は687億6百万円でした。金利や市場価格の変化は純資産や包括利益に影響する可能性があります。
- 地域経済・市場環境: 埼玉県経済は緩やかに回復していますが、国内景気には中東情勢などを背景とした弱さもあります。株式市場の変動は株式売却益や保有株式の評価に影響します。
特に、株式関係損益の増加が当四半期の経常増益を支えた一方、与信費用も増えました。利息収入の伸びと信用コストの両立が焦点となり、利益の質を判断するには今後の金利差と不良債権の推移を確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/28)
2,706円
最新終値(2026/10/23)
2,474円-8.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#武蔵野銀行#決算#決算分析#四半期決算#銀行業#上方修正#金利上昇#不良債権#配当
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
貸出金利息や有価証券利息配当金の増加に加え、埼玉県内の貸出需要が堅調な点は、武蔵野銀行の収益基盤を考えるうえで前向きな材料です。コア業務純益も伸びており、株式売却益だけに頼らない収益改善が進むかを見たいところです。
一方、経常利益の増加には株式関係損益の寄与が大きく、与信関係費用も増えています。利ざや改善が信用コストや預金金利の上昇を上回れるかが、通期予想の達成度を判断するポイントです。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/musashino-bank/report/2027-Q1
関連記事
同社の関連記事
首都圏の地方銀行の最新記事
- 決算解説きらぼしFG2027年3月期 第1四半期きらぼしFG、2027年3月期第1四半期決算、経常利益45%増

- 決算解説千葉興銀2027年3月期 第1四半期千葉興銀、2027年3月期第1四半期決算、経常収益30%増も純利益は4%減

- 決算解説千葉銀行2027年3月期 第1四半期千葉銀行、2027年3月期第1四半期決算、経常利益34.5%増、純利益37.2%増

- 決算解説横浜FG2027年3月期 第1四半期横浜FG、2027年3月期第1四半期決算、経常利益18.6%増で通期予想進捗24.8%
- 社内制度・報酬に関する開示千葉銀行9月30日千葉銀行、ちばフィナンシャルG設立へ役員報酬改定 統合後インセンティブ維持で2026年臨時株主総会に付議

- 取得完了横浜FG10月14日横浜FGが自己株式取得上限額の20億円を実質完全に行使、累計9割超の資金執行で株主還元を加速
掲載企業

株式会社武蔵野銀行
東証 8336
これが最新の決算解説です





