新日本電工、2026年12月期第2四半期決算、営業利益164%増も投資損失で純損失

新日本電工の2026年12月期第2四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比1.8%増、営業利益は164.5%増と大きく伸びた一方、海外合金鉄事業への投資損失で純損失に転じました。持分法による投資損失は77億円に上り、経常損失は29億円です。事業の実力を示す経常利益は45億円と前年同期から23億円増で、本業の改善と投資損失が鮮明に分かれた決算となりました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 388億円 | +1.8% | 811億円 | 48% |
| 営業利益 | 53億円 | +164.5% | 110億円 | 48% |
| 純利益 | -2,689百万円 | — | 5億円 | -538% |
| 営業利益率 | 13.5% | |||
この決算のポイント
- 1売上高は387億円で前年同期比1.8%増、営業利益は52億円で164.5%増。
- 2持分法による投資損失77億円を計上し、経常損益は前年の黒字から29億円の赤字に転落。
- 3焼却灰資源化事業の実力ベース経常利益は22億円、前年同期比16億円増と伸長。
- 4通期の実力ベース経常利益予想は75億円、前期比22億円増。経常利益予想は15億円。
- 5年間配当予想は17円で前期の12円から増加。自己株式1,194万株の消却も決議。
業績のポイント
新日本電工(新日本電工株式会社)の2026年1〜6月期は、売上高が前年同期比1.8%増の387億円、営業利益が164.5%増の52億円でした。一方、親会社株主に帰属する中間純損益は前年同期の4億円の黒字から26億円の赤字に転じました。
- 売上高: 前年同期から7億円増。焼却灰資源化事業の処理量増加などが寄与。
- 営業利益: 前年同期から33億円増。売上原価が前年同期の325億円から297億円に減少。
- 経常損益: 前年同期の12億円の黒字から29億円の赤字へ。持分法による投資損失を77億円計上。
- 実力ベース経常利益: 在庫影響や一過性要因を除いた利益は45億円で、前年同期から23億円増。
営業利益の伸びを支えたのは、売上原価の減少による粗利益の改善です。ただし、海外合金鉄事業のパータマフェロアロイズ社に関する投資損失が営業外費用を押し上げ、経常損益と純損益を赤字にしました。本業の採算改善が進む一方、海外投資が利益を大きく押し下げた点が、この決算の核心です。
セグメント別動向
事業別では、焼却灰資源化事業が利益を大きく伸ばした一方、合金鉄事業は海外投資先の低迷で厳しい状況が続きました。下表の実力ベース経常利益は、在庫影響や一過性要因を除いた会社開示値です。
| セグメント | 売上高前年比 | 前年の実力利益(億円) | 今期の実力利益(億円) |
|---|---|---|---|
| 合金鉄 | -3.3% | 2 | 12 |
| 機能材料 | -8.0% | 10 | 9 |
| 焼却灰資源化 | +56.2% | 6 | 22 |
| アクアソリューション | -3.7% | 0 | 0 |
| 電力 | -13.1% | 2 | 1 |
| その他 | +2.9% | 1 | 1 |
合金鉄事業は、売上高が前年同期比3.3%減でした。国内では欧州のセーフガード発動などを背景に合金鉄市況が上昇し、円安も加わって実力ベース利益が改善しました。一方、海外はパータマフェロアロイズ社の業績低迷が重荷です。
機能材料事業は売上高が8.0%減、実力ベース利益は9億円と前年同期並みでした。リチウムイオン電池正極材のOEM契約の一部終了や水素吸蔵合金の需要減が響いたものの、AIデータセンター向け電子部品は堅調でした。
焼却灰資源化事業は売上高が56.2%増、実力ベース利益は前年同期から16億円増の22億円でした。焼却灰の収集・処理量が増え、溶融メタルに関連する貴金属市況も高水準で推移しました。
- アクアソリューション事業: 純水・排水処理装置の販売は堅調。実力ベース利益は前年同期並み。
- 電力事業: 水力発電所は順調に稼働したものの、降雨不足で実力ベース利益は微減。
- その他: 実力ベース利益は前年同期並みでした。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 合金鉄事業 | 237億円 | 61% | - | - |
| 機能材料事業 | 67億円 | 17% | - | - |
| 焼却灰資源化事業 | 61億円 | 16% | - | - |
| アクアソリューション事業 | 8億円 | 2% | - | - |
| 電力事業 | 6億円 | 2% | - | - |
| その他 | 9億円 | 2% | - | - |
通期見通し
2026年12月期の売上高予想は前期比4.9%増の811億円、営業利益予想は113.1%増の110億円です。持分法投資損失を含む経常利益は15億円、親会社株主に帰属する当期純利益は5億円を見込みます。
| 指標 | 2025年実績 | 2026年予想 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 773 | 811 | +4.9% |
| 経常利益(億円) | 27 | 15 | -44.5% |
| 実力ベース経常利益(億円) | 53 | 75 | +41.5% |
| 純利益(億円) | 14 | 5 | -64.8% |
会社は、合金鉄市況の安定や円安に加え、焼却灰の処理量増加と溶融メタル市況の高位安定を見込み、実力ベース経常利益が前期を上回ると予想しています。一方、中間期に計上した投資損失の影響が通期の経常利益を押し下げます。決算短信には前回予想の数値が示されていないため、予想修正の幅は比較できません。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比2億円増の936億円、自己資本比率は73.1%でした。年間配当予想は前期の12円から17円に増える見込みで、会社は自己株式の消却も決めました。
| 項目 | 2025年12月末・実績 | 2026年6月末・中間期 | 2026年12月期予想 |
|---|---|---|---|
| 総資産(億円) | 934 | 936 | — |
| 自己資本比率 | 76.0% | 73.1% | — |
| 年間配当(円/株) | 12.00 | 中間5.50 | 17.00 |
| 現金及び預金(億円) | 60 | 49 | — |
自己資本比率は前期末から2.9ポイント低下しました。短期借入金の増加などで有利子負債は9億円増の148億円となり、純資産は26億円減の684億円です。決算短信にはキャッシュ・フロー計算書の数値が掲載されていないため、営業・投資・財務キャッシュフローの比較はできません。
配当予想は中間5.50円、期末11.50円で、年間では前期比5円増となります。また、8月5日の取締役会で自己株式1,194万8,808株(消却前の発行済株式総数の8.69%)を消却することを決議し、8月21日の実施を予定しています。
リスクと課題
利益面では海外投資先の損失が大きく、事業ごとの市況や需要の差も目立ちます。通期予想の達成には、焼却灰資源化事業の好調継続と海外合金鉄事業の損失縮小が焦点です。
- 海外投資先の業績: パータマフェロアロイズ社の業績低迷に伴い、持分法による投資損失77億円を計上しました。投資先の回復が遅れれば、経常利益や純利益をさらに圧迫する可能性があります。
- 電池材料の需要低迷: 正極材のOEM契約一部終了や水素吸蔵合金の需要減少で販売数量が減っています。会社は機能材料事業の通期実力ベース利益が前期比7億円減の15億円になると見込んでいます。
- 市況・為替の変動: 合金鉄市況や円相場、溶融メタルに関連する貴金属市況は業績を左右します。会社の通期想定為替レートは1ドル=157円で、実際の為替が想定から外れれば収益見通しに影響します。
- 水力発電の天候依存: 水力発電所は順調に稼働したものの、上期は降雨不足で利益が微減しました。降雨状況によって発電量や収益が変動します。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
412円
最新終値(2026/10/23)
408円-1.0%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#新日本電工#決算#決算分析#四半期決算#2026年12月期#合金鉄#焼却灰資源化#投資損失#配当
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コメント
営業利益の大幅増だけを見ると好決算に映りますが、投資先の損失で経常・最終損益は赤字になりました。投資家は営業利益の伸びと、海外合金鉄事業の投資損失を分けて評価する必要があります。
一方、実力ベース経常利益が前年同期から大きく改善したことは、焼却灰資源化事業の成長や国内合金鉄事業の市況改善が効いていることを示します。下期は海外投資先の損失縮小が見込まれているものの、通期予想の達成度を判断するうえでは、事業改善が一過性でないかを確認したいところです。
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