
良品計画・2026年8月期Q3、営業利益36%増の808億円、国内外の出店拡大と内製化で大幅な増収増益
売上高
6,908億円
+16.9%
通期予想
9,070億円
営業利益
808億円
+36.0%
通期予想
980億円
純利益
586億円
+34.3%
通期予想
670億円
営業利益率
11.7%
株式会社良品計画が10日に発表した2026年8月期第3四半期累計(2025年9月〜2026年5月)の連結決算は、営業収益が前年同期比 16.9%増 の 6907億88百万円、営業利益が同 36.0%増 の 808億22百万円 と大幅な増収増益を達成した。国内外での積極的な新規出店による店舗網の拡大に加え、生産体制の内製化に伴う原価低減や値下げの抑制が進んだことで、営業総利益率が大きく改善したことが大幅増益に寄与した。通期の業績予想については、これらの好調な推移を反映し、すでに上方修正を公表している。
業績のポイント
良品計画の2026年8月期第3四半期累計決算は、売上高にあたる営業収益から純利益にいたるすべての段階で大幅な成長を遂げた。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比 34.3%増 の 585億53百万円 に達している。
この好調を支えたのは、国内外における「無印良品」のブランド力向上と、徹底したコスト管理体制への移行である。特に、店舗数が国内外合わせて前年同期から大幅に増加し、期末時点で 1,463店舗 に達したことが売上を強力に牽引した。
収益性の向上も顕著であり、内製化の推進による原価抑制策や無駄な値引きの抑制が奏功した。結果として、売上高に対する営業利益を示す 営業利益率は11.7%に向上 し、前年同期の 10.1% から 1.6 ポイント改善した。また、ランサムウェア被害に伴うシステム障害の補償金などを特別利益に計上したことも、最終利益の押し上げに寄与している。
業績推移(通期)
セグメント別動向
各セグメントともに堅調な推移を見せており、特に海外事業の成長スピードがグループ全体を牽引している。
国内事業
営業収益は前年同期比 8.9%増 の 3911億18百万円、セグメント利益は同 23.9%増 の 511億79百万円 となった。「無印良品週間」や年末年始の「良いね祭」といったプロモーション施策がヒットし、既存店売上が伸長した。システム障害の影響を受けていたEC売上も、第3四半期に入ってからは徐々に回復軌道に乗っている。
東アジア事業
営業収益は前年同期比 29.3%増 の 2128億12百万円、セグメント利益は同 39.6%増 の 454億19百万円 と、海外展開の主機として爆発的な成長を見せた。中国大陸事業において、生活雑貨や食品を中心に全部門で販売が好調だった。不採算店舗のスクラップアンドビルドを進めたほか、台湾、香港、韓国でも現地需要を確実に捉えた。
東南アジア・オセアニア事業
営業収益は前年同期比 34.7%増 の 490億74百万円、利益は同 55.5%増 の 69億57百万円 と急伸した。タイやベトナムでの大型旗艦店の成功が、現地のブランド認知度をさらに引き上げている。
欧米事業
営業収益が前年同期比 21.9%増 の 377億83百万円、セグメント利益は同 3.8%増 の 55億19百万円 となった。欧州および北米において既存店・EC売上ともに好調で、収益基盤の安定に伴い北米での新規出店を再開している。
| セグメント | 営業収益 (百万円) | 前年同期比 | セグメント利益 (百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 国内事業 | 391,118 | +8.9% | 51,179 | +23.9% |
| 東アジア事業 | 212,812 | +29.3% | 45,419 | +39.6% |
| 東南アジア・オセアニア事業 | 49,074 | +34.7% | 6,957 | +55.5% |
| 欧米事業 | 37,783 | +21.9% | 5,519 | +3.8% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内事業 | 3,911億円 | 57% | 512億円 | 13.1% |
| 東アジア事業 | 2,128億円 | 31% | 454億円 | 21.3% |
| 東南アジア・オセアニア事業 | 491億円 | 7% | 70億円 | 14.2% |
| 欧米事業 | 378億円 | 6% | 55億円 | 14.6% |
財務状況と資本政策
2026年5月末時点における同社の財務基盤は、業績好調を背景に一段と強固なものとなっている。総資産は前連結会計年度末に比べて 937億44百万円 増加し、6564億93百万円 となった。これは主に、旺盛な販売活動を背景に現金及び預金が 337億89百万円 増加したことや、新規出店に伴う有形固定資産の積み増しが要因である。
純資産は、利益剰余金の積み上げなどにより 687億18百万円 増の 4046億39百万円 に拡大した。この結果、財務の健全性を示す 自己資本比率は60.4% となり、前期末の 59.0% から 1.4 ポイント上昇した。
資本政策においては、2025年9月1日付で実施した 1株につき2株の株式分割 を反映し、期末配当予想を 16.00円 としている。第2四半期末の 16.00円 と合わせた年間配当金予想は分割換算ベースで実質維持となり、安定的な利益還元を継続する方針を示している。
通期見通し
同社は好調な決算推移を反映し、通期の連結業績予想についてすでに上方修正を公表している。通期の営業収益は前期比 15.6%増 の 9070億円、営業利益は同 32.7%増 の 980億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同 31.8%増 の 670億円 を見込む。
国内外での新規出店ペースが堅調に推移しているほか、生産体制の内製化による粗利率の改善が通期でも持続する見通しだ。原材料高や為替の不透明感はあるものの、徹底した自社内製化と値引き抑制により、高い収益性を維持できる見通しが立っている。
| 指標 | 通期予想 (百万円) | 前期比増減率 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 907,000 | +15.6% |
| 営業利益 | 98,000 | +32.7% |
| 経常利益 | 99,000 | +36.9% |
| 当期純利益 | 67,000 | +31.8% |
戦略トピック:サステナビリティ調達と「環境配慮型商品」の強化
良品計画は持続可能な成長を目指し、ESG(環境・社会・ガバナンス)視点での商品開発を加速させている。2026年4月には、強制労働や森林破壊といった環境社会問題に配慮するため、責任あるコーヒー豆調達ガイドラインを制定した。これはすでに導入済みの木材やパーム油などの調達基準に加わるもので、サプライチェーン全体の透明性を高める狙いがある。
商品面では、環境負荷を低減しつつ利便性を高めたアイテムが支持を集めている。100%単一素材で再資源化しやすい衣料品「風を通す」シリーズの品揃えを拡大させたほか、2026年6月には水と混ぜて使用する「希釈洗剤」シリーズを発売した。この製品はプラスチック容器や輸送エネルギーを大幅に削減できるため、利便性と環境配慮の両立をアピールし、Z世代をはじめとするエシカル消費層へのアプローチを強化している。
リスクと課題
急速な成長を遂げる一方で、同社の今後の焦点となるリスク要因は以下の通りである。
- 外国為替相場の変動: 海外展開比率が高まる中、円高方向への急激な変化は海外売上の円換算価値を減少させる恐れがあり、逆に過度な円安は国内向け輸入コストの上昇につながる。
- 地政学的リスクと物流コスト: 出店地域がアジア・欧米へ広がる中、グローバルなサプライチェーンの維持や輸送効率化、国際紛争に伴う物流ルートの遅延対策が不可欠である。
- 国内の人手不足と差別化: 国内の店舗オペレーション負担軽減に向けたデジタル投資(DX)が急務であるほか、類似ブランドとの激しい競争に対応する独自商品の展開が求められる。
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良品計画の今期決算は、名実ともに「完全復活」を印象付ける内容となった。これまで収益性の重荷となっていた過度なセール販売を脱却し、商品企画から製造、内製化によって商品の原価そのものをコントロールする構造改革が、日本国内だけでなく海外全地域で実を結んでいる。
特に注目すべきは、東アジアや東南アジア市場での高成長だ。中国でのスクラップアンドビルドが成功し、現地ニーズに合致した生活雑貨・食品の開発が進んだことは、単なる日本ブランドの「輸出」から、真の「ローカライズ展開」へステップアップしたことを示している。
今後の焦点は、急速な海外展開に耐えうるグローバルなサプライチェーンマネジメント力の強化と、国内実店舗とECのさらなる融合である。業績のブレが少なくなり、収益モデルが筋肉質に変貌した同社は、就職活動を行う学生にとっても将来性の高い「グローバル小売企業」としての魅力を高めている。
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