芝浦機械、2027年3月期第1四半期決算、売上31.8%減で営業赤字
芝浦機械の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比31.8%減り、営業損益は黒字から赤字に転じました。中国でリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置の売上が減った一方、工作機械の受注は大きく伸びています。受注増が先行し、売上回復が焦点となる業績です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 211億円 | -31.8% | 1,370億円 | 15% |
| 営業利益 | -652百万円 | — | 42億円 | -16% |
| 純利益 | -19百万円 | — | 20億円 | -1% |
| 営業利益率 | -3.1% | |||
この決算のポイント
- 1受注高は前年同期比35.6%増の323億4,400万円、工作機械が大きく伸長
- 2成形機事業は中国向けセパレータフィルム製造装置の減少などで売上高43.4%減
- 3工作機械事業は受注高が前年同期比2.6倍、受注残高も77.8%増
- 4通期予想は売上高1,370億円、営業利益42億円で、2026年5月公表値から変更なし
- 5年間配当予想は1株140円で、前期実績と同額
業績のポイント
芝浦機械株式会社(以下、芝浦機械)は、2027年3月期第1四半期に減収となり、営業損益は前年同期の9億2,200万円の黒字から6億5,200万円の赤字に転落しました。親会社株主に帰属する四半期純損益も、前年同期の8億6,600万円の黒字から1,900万円の赤字となりました。
- 売上高の変化: 211億1,900万円と前年同期比31.8%減。中国でリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置の売上が減りました。
- 営業損益の変化: 前年同期から15億7,400万円悪化し、営業赤字に転落。会社は売上規模の縮小による減益を主因に挙げています。
- 受注の動き: 受注高は323億4,400万円と前年同期比35.6%増。工作機械や超精密加工機の受注が大幅に増えました。
AIやエネルギー関連の設備投資需要は活況ですが、自動車市場では米国の通商政策や地政学リスクを背景に投資を見送る動きが続いています。売上が落ち込む一方で受注が増えており、受注を今後の売上・利益につなげられるかが回復のポイントです。
セグメント別動向
セグメントごとに明暗が分かれました。成形機事業は中国向け装置の減少などで売上が落ち込み、営業損失を計上する一方、工作機械事業は受注と売上が伸び、営業増益となりました。
| セグメント | 売上高前年比 | 受注高前年比 | 受注残高前年比 |
|---|---|---|---|
| 成形機 | -43.4% | -5.8% | -17.1% |
| 工作機械 | +16.5% | +160.5% | +77.8% |
| 制御機械 | +9.1% | +47.1% | +28.6% |
| その他 | -24.0% | +15.9% | +22.5% |
成形機事業は、射出成形機の販売が国内、欧州、中国で増えたものの、北米では減少しました。押出成形機では中国のリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置が落ち込み、自動車市場の停滞や設備投資の様子見も重なって営業赤字となりました。
工作機械事業は、国内の産業機械・造船向けに加え、エネルギー、航空・宇宙、風力発電関連の受注が増加しました。超精密加工機もデータセンター向け光通信や車載レンズの需要を取り込み、営業利益は前年同期の2.4倍となりました。
- 制御機械事業: 国内の電子制御装置の販売・受注が増えましたが、営業損失は前年同期より拡大しました。
- その他の事業: 売上は減少したものの、営業損益は前年同期の赤字から黒字に転じました。
工作機械の受注残高が積み上がる一方、成形機の受注残高は減少しています。分野ごとの需要差が大きく、工作機械の受注を確実に売上へ移しつつ、成形機の回復を図れるかが課題です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 成形機 | 138億円 | 65% | -932百万円 | -6.8% |
| 工作機械 | 52億円 | 25% | 4億円 | 6.9% |
| 制御機械 | 17億円 | 8% | -127百万円 | -7.5% |
| その他 | 5億円 | 2% | 43百万円 | 9.2% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は1,735億1,100万円で、前期末から3,400万円増えました。自己資本比率は前期末の68.3%から67.7%に低下しています。
- 資産・負債: 仕掛品が前期末から51億8,000万円増えた一方、受取手形・売掛金・契約資産は45億4,400万円減少しました。負債は契約負債の増加などにより10億8,900万円増えています。
- キャッシュフロー: 第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、営業・投資・財務キャッシュフローの数値は開示されていません。
- 配当: 2027年3月期は中間70円、期末70円、年間140円を予想。前期実績の年間140円と同額です。
- 自社株買い: 今回の決算短信に実施の記載はありません。
利益剰余金の減少などを受けて純資産は前期末から10億5,400万円減りましたが、自己資本比率は6割台後半を保っています。配当予想は維持されており、会社は現時点で業績予想を変更していません。
通期見通し
芝浦機械は2027年3月期の通期業績予想を据え置きました。第1四半期は営業赤字でしたが、会社は2026年5月25日に公表した見通しを変更していません。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 137,000 | 137,000 | +3.2% |
| 営業利益(百万円) | 4,200 | 4,200 | -3.8% |
| 経常利益(百万円) | 3,100 | 3,100 | -38.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 2,000 | 2,000 | +94.4% |
第2四半期累計の会社予想は売上高520億円、営業利益ゼロ、親会社株主に帰属する純損失8億円です。通期で営業黒字を見込むため、下期に利益を積み上げる必要があり、受注が増えた工作機械などの売上計上と、成形機事業の採算改善が見通し達成の焦点になります。
リスクと課題
会社は、対象とする市場や製品によって景況感に差があると説明しています。地政学リスクや通商政策の変化に加え、受注から売上計上までの時期のずれにも注意が必要です。
- 地政学リスク: ウクライナ情勢やイラン情勢の緊迫化が続き、顧客の投資判断や事業環境に影響する可能性があります。
- 通商政策と自動車市場: 米国の通商政策などを受け、自動車市場を中心に設備投資の様子見が続いています。成形機の受注・販売回復を遅らせる要因となり得ます。
- 中国向け装置の需要変動: 中国のリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置の売上減少が、今回の全社減収を押し下げました。
- 受注と売上のずれ: 工作機械の受注は伸びていますが、受注残を売上に転換する時期や採算によって、通期業績の進捗は変わります。
AI・エネルギー関連の需要が支えとなる一方、自動車や中国向け装置の弱さが残ります。市場の回復を待つだけでなく、受注の売上化と顧客の生産性向上につながる製品・システムの提案が求められます。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/30)
4,380円
最新終値(2026/10/23)
4,785円+9.2%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#芝浦機械#決算#決算分析#四半期決算#工作機械#成形機#受注高#設備投資
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コメント
今回の数字は、足元の採算悪化と先行受注の強さが同時に表れた決算です。とくに工作機械の受注拡大は先行きへの期待材料ですが、受注残の積み上がりがすぐ利益につながるとは限りません。
注目したいのは、成形機事業の販売環境が自動車市場や中国向け電池関連装置に左右されている点です。通期予想を維持するには、工作機械の受注を着実に売上へ移すとともに、成形機の減収に歯止めをかけられるかが重要です。
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