島精機、2027年3月期第1四半期決算、売上27%減で営業赤字に転落

島精機の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比27.3%減の76億49百万円となり、営業損益は8億47百万円の赤字に転落しました。バングラデシュや中国で顧客の設備投資が慎重になり、横編機の販売が落ち込んだことが主因です。通期予想は据え置いた一方、構造改革本部を立ち上げ、事業の立て直しを急ぎます。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 76億円 | -27.3% | 410億円 | 19% |
| 営業利益 | -847百万円 | — | 3億円 | -282% |
| 純利益 | -588百万円 | — | 9億円 | -65% |
| 営業利益率 | -11.1% | |||
この決算のポイント
- 1横編機の販売減が響き、売上高は前年同期比27.3%減の76億49百万円
- 2営業損益は前年同期の3億7百万円の黒字から8億47百万円の赤字に転落
- 3アジア市場の設備投資が弱含む一方、デザインシステムの受注残は前年同期比54.0%増
- 4通期予想は売上高410億円、営業利益3億円で据え置き、年間配当予想も20円を維持
- 5構造改革本部を設置し、開発から販売・サービスまでの抜本的な見直しを推進
業績のポイント
島精機(島精機製作所)の2027年3月期第1四半期は、売上高が前年同期比27.3%減の76億49百万円、営業損益が前年同期の3億7百万円の黒字から8億47百万円の赤字へ転落しました。経常損益も5億円の赤字、親会社株主に帰属する四半期純損益は5億88百万円の赤字となり、いずれも前年同期の黒字から悪化しました。
- 横編機の販売減: バングラデシュや中国で競争が厳しく、顧客の設備投資に慎重さがみられました。横編機の売上高は53億17百万円で、前年同期比34.0%減です。
- 利益を圧迫した費用: 売上総利益は31億87百万円と前年同期から3億15百万円減少しました。販売費及び一般管理費は40億35百万円となり、前年同期より8億40百万円増加しています。
- 為替差益の縮小: 営業外収益の為替差益は前年同期の4億53百万円から1億11百万円に減少し、経常損益の悪化要因となりました。
売上総利益率は改善したものの、売上高の落ち込みと販管費の増加を補えず、営業赤字に転じました。主力の横編機販売の回復が業績改善の焦点となるなか、新型のコストパフォーマンスモデルは下期から本格展開する計画で、当四半期の販売はまだ限定的でした。
セグメント別動向
主力の横編機事業が大きく落ち込む一方、「その他」事業は増収となりました。セグメント営業利益は各事業で黒字を確保したものの、全社費用の増加が連結営業損益を押し下げています。
横編機は売上高53億17百万円、セグメント利益5億54百万円でした。アジアの主要市場であるバングラデシュと中国で設備投資に慎重な動きがあり、販売台数が減少しました。対照的に、イタリアでは高級ブランド向けの高付加価値ニット製品の需要が堅調で、成型機の販売台数が増えました。
デザインシステム関連は売上高5億58百万円、利益29百万円です。「APEXFiz」と自動裁断機「P-CAM」は前年同期並みでしたが、コンピュータ横編機の販売減少に伴い「SDS-ONE APEX」の販売が減りました。
- 手袋靴下編機: 売上高は21百万円、セグメント損失は11百万円。販売が低調でした。
- その他: 売上高は17億52百万円、利益は3億19百万円。編機・デザインシステム用部品、修理・保守事業などを含みます。
- 受注状況: 横編機の受注高は55億32百万円で前年同期並み、デザインシステム関連は8億27百万円で33.1%増。同事業の受注残高も6億38百万円と54.0%増でした。
セグメント利益の合計は8億91百万円でしたが、全社費用は前年同期の12億12百万円から17億40百万円に増え、連結営業損失につながりました。地域別ではアジアの売上高が前年同期の59億53百万円から28億75百万円へ縮小し、欧州は24億46百万円に増えています。
- 横編機-34.0%
- デザイン-20.4%
- 手袋靴下-89.3%
- その他+11.8%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 横編機 | 53億円 | 70% | 6億円 | 10.4% |
| デザインシステム関連 | 6億円 | 7% | 29百万円 | 5.2% |
| 手袋靴下編機 | 21百万円 | 0% | -11百万円 | -52.4% |
| その他 | 18億円 | 23% | 3億円 | 18.2% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は1,119億60百万円で、2026年3月末から24億28百万円増加しました。自己資本比率は前期末から1.3ポイント低下し、73.9%となっています。
| 項目 | 2026年3月末 | 2026年6月末 | 増減・状況 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 109,531 | 111,960 | +2,428 |
| 自己資本(百万円) | 82,338 | 82,691 | +353 |
| 自己資本比率 | 75.2% | 73.9% | -1.3ポイント |
| 年間配当(円) | 20 | 20(予想) | 据え置き |
現金及び預金は前期末から38億99百万円増加して251億94百万円となり、短期借入金も29億円増加して91億円でした。第1四半期はキャッシュ・フロー計算書を作成していないため、営業・投資・財務キャッシュ・フローの数値は開示されていません。
配当は中間10円、期末10円、年間20円の予想で、前期実績と同額です。自社株買いの発表はありません。配当を維持しながら、構造改革による収益回復を優先する局面とみられます。
通期見通し
2027年3月期の連結業績予想は、2026年5月8日に公表した内容から変更ありません。売上高は前期比22.4%増の410億円、営業利益は3億円、経常利益は前期比246.3%増の10億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比5.1%増の9億円を見込みます。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比・前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 41,000 | 41,000 | +22.4%、前期実績は短信に数値記載なし |
| 営業利益(百万円) | 300 | 300 | 前期は赤字のため増減率なし |
| 経常利益(百万円) | 1,000 | 1,000 | +246.3%、前期実績は短信に数値記載なし |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 900 | 900 | +5.1%、前期実績は短信に数値記載なし |
会社は業績予想を維持していますが、第1四半期は営業赤字で、主力の横編機事業の売上も前年を大きく下回りました。下期に予定するコストパフォーマンスモデルの本格展開や、構造改革の成果が計画達成のポイントになります。
戦略トピック
島精機は中期経営計画「Ever Onward 2026」の最終年度にあたり、業績改善に向けて構造改革本部を立ち上げました。重点施策として「経営基盤の再構築」「ソリューションビジネスの確立」「横編機事業の再生」「自動裁断機事業の拡大」を掲げています。
- 全社の業務改革: 開発、調達、製造、販売・サービスの各領域で、従来の慣習にとらわれない見直しを進めます。
- 外部人材の登用: 新たな知見を取り入れ、改革のスピードを高める方針です。
- 横編機の販売強化: コストパフォーマンスモデルの販売活動を進め、下期から本格展開する計画です。
- ソリューション提案: サステナブルなものづくりを支援する製品・サービスを、世界各地の顧客や業界に提案しています。
単に販売台数を追うだけでなく、製品やサービスを組み合わせた提案と、社内のコスト・業務構造の見直しを並行する考えです。短期的には新モデルの販売立ち上がりと販管費の抑制、中期的には自動裁断機やソリューション事業が収益の柱に育つかが注目点です。
リスクと課題
第1四半期は主力事業の需要減が売上と利益を押し下げ、通期計画に対する出遅れが目立ちます。会社は通期予想を据え置いていますが、下期に向けた販売回復と改革の進捗が重要です。
- アジア市場の設備投資: バングラデシュや中国で顧客が投資に慎重な姿勢を続ければ、主力の横編機販売がさらに弱含む可能性があります。
- 競争環境の激化: アジア市場では競争が一段と厳しくなっています。販売台数の減少が続けば、売上高の回復が遅れ、固定費負担も重くなります。
- 新モデルの立ち上がり: コストパフォーマンスモデルの第1四半期販売は限定的でした。下期の本格展開が遅れたり、顧客の採用が進まなかったりすれば、通期予想の達成に影響します。
- 世界経済と為替: 中東情勢の緊迫化、物価上昇、為替の変動が先行きの不透明要因です。為替差益も前年同期より縮小しており、為替の方向によって利益が変動する可能性があります。
- 構造改革の実行: 開発から販売まで広範な見直しを進める方針ですが、施策の実行や効果発現に時間がかかれば、収益改善が計画に届かない懸念があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/31)
929円
最新終値(2026/10/23)
894円-3.8%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#島精機#決算#決算分析#四半期決算#横編機#構造改革#業績予想#配当#アパレル機械
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コメント
売上総利益率は改善した一方、販管費の増加で営業赤字に転じており、売上規模の回復だけでなく費用構造の見直しが欠かせません。
注目したいのは受注高の合計が前年同期比で増え、特にデザインシステム関連の受注残が伸びている点です。ただし主力の横編機は受注が前年同期並みでも販売が大きく落ちており、受注から売上への転換や顧客の設備投資再開が確認できるかが、通期予想の確度を測る材料になります。下期の新モデルと構造改革が回復の試金石です。
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掲載企業

株式会社島精機製作所
東証 6222
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