東京センチュリー、2027年3月期第1四半期決算、純利益59%増 航空機子会社売却発表

東京センチュリーは2027年3月期第1四半期決算で、親会社株主に帰属する四半期純利益が前年同期比59.1%増の351億円と大幅増益を達成した。売上高は11.7%増の3,884億円、営業利益は31.1%増の463億円。航空機や船舶売却が貢献したトランスポート部門の利益が245%増と急伸し、全体をけん引。併せて航空機リース子会社ACGの一部株式を伊藤忠商事に譲渡する方針も発表した。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,884億円 | +11.7% | — | — |
| 営業利益 | 463億円 | +31.1% | — | — |
| 純利益 | 351億円 | +59.1% | 1,230億円 | 29% |
| 営業利益率 | 11.9% | |||
業績のポイント
東京センチュリーは、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の連結売上高が3,884億07百万円(前年同期比11.7%増)、営業利益463億03百万円(同31.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益351億29百万円(同59.1%増)と、二桁増収増益を達成した。
為替面では、海外子会社の連結に用いる期中平均レートが1ドル=156.96円と前年同期の152.56円から円安が進行し、海外ビジネス部門の収益押し上げに寄与。販売費及び一般管理費は人件費や物件費の増加で9.8%増加したが、売上総利益率は23.8%と前年同期の22.2%から改善した。
経常利益は511億円(同36.9%増)に拡大。持分法投資利益が前年同期の38億円から80億円へ倍増し、営業外収益が利益を押し上げた。特別損益では訴訟和解金13億円などが計上され、四半期純利益の大幅増に結びついた。
セグメント別では、トランスポート部門の利益が245%増と突出し、全体の利益増加額の約7割を占めた。海外ビジネス部門も北米の大型ITAD案件などで37%増益と好調。一方、企業投資部門はキャピタルゲイン減少で減益となった。
セグメント別動向
当第1四半期から、報告セグメントが「国内ビジネス部門」「海外ビジネス部門」「社会インフラ部門」「トランスポート部門」「モビリティ部門」「企業投資部門」の6セグメントに再編された。各セグメントの外部売上高と利益の概況は次の通り。
| セグメント名 | 売上高(百万円) | 前年同期比 | セグメント利益(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 国内ビジネス部門 | 127,615 | +8.7% | 8,111 | +17.2% |
| 海外ビジネス部門 | 64,290 | +35.9% | 4,963 | +37.4% |
| 社会インフラ部門 | 40,665 | -2.5% | 3,282 | +37.8% |
| トランスポート部門 | 61,467 | +20.5% | 12,233 | +245.4% |
| モビリティ部門 | 90,687 | +6.3% | 7,395 | +13.7% |
| 企業投資部門 | 2,708 | -3.3% | 1,368 | -12.5% |
国内ビジネス部門は、NTT・TCリースからの取込利益増加により増益。セグメント資産残高は前期末比1.3%減の1兆2,906億円と若干縮小したが、収益性は向上している。
海外ビジネス部門は、北米の連結子会社CSI Leasing, Inc.を中心に大型ITAD(IT資産処分)案件の受注や堅調なリース取引が寄与し、売上高が35.9%増と大幅に拡大。円安効果も追い風となり、セグメント資産残高は9,554億円と3.2%増加した。
社会インフラ部門は、売上高は微減ながら、不動産売却益の増加や海外再生エネルギー事業の伸長で利益が37.8%増。同部門の総資産は1兆1,056億円に拡大している。
トランスポート部門は、航空機機体売却益の大幅増加と船舶売却による収益拡大が利益を245%増に押し上げ、全セグメント中最大の利益貢献。航空機リース市況は中長期的に旅客需要拡大が見込まれるものの、当社は11月にACGの一部株式を伊藤忠商事に譲渡し、持分法適用会社化する方針を発表した。
モビリティ部門は、中古車価格上昇に伴う車両売却益の増加、レンタカー事業におけるインバウンド需要回復が増益に貢献。セグメント資産残高は5,712億円に増加した。
企業投資部門は、キャピタルゲインが前期比で減少し減益。セグメント資産残高は919億円とほぼ横ばい。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内ビジネス部門 | 1,276億円 | 33% | 81億円 | - |
| 海外ビジネス部門 | 643億円 | 17% | 50億円 | - |
| 社会インフラ部門 | 407億円 | 11% | 33億円 | - |
| トランスポート部門 | 615億円 | 16% | 122億円 | - |
| モビリティ部門 | 907億円 | 23% | 74億円 | - |
| 企業投資部門 | 27億円 | 1% | 14億円 | - |
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は、前期末比2,227億円増加の7兆4,374億96百万円。このうち、セグメント資産残高は6兆4,559億円と1,452億円増加し、特にトランスポート部門で航空機購入等により1,000億円増加した。有利子負債は前期末比2,284億円増の5兆3,709億円となり、機材投資を積極化している。
純資産は同392億円増の1兆2,918億32百万円。利益剰余金の積み上がりに加え、為替換算調整勘定が前期末比221億円増加し、自己資本比率は15.6%(+0.1ポイント)と微増した。
配当については、2027年3月期の年間配当金を前期比10円増の90円(中間45円、期末45円)と予想し、前期実績から増配を継続。自己株式取得に関する新たな施策は開示されていないが、8月3日付で発表された第三者割当による種類株式発行とそれに伴う資本金・準備金の減少は、今後の機動的資本政策に備えた分配可能額の確保を目的としている。
この種類株式は伊藤忠商事と農林中央金庫に総額120億円分を割当て、5年後に金銭償還される設計で、調達資金は系統用蓄電池設備等の成長投資に充当される。
通期見通し
2027年3月期通期の連結業績予想は、5月11日公表の内容から修正なし。親会社株主に帰属する当期純利益は1,230億円(前期比10.5%増)と、増益基調の継続を見込む。
第1四半期の純利益進捗率は28.6%と順調な滑り出しだが、ACGの持分法適用会社化が2026年11月に予定されており、下期以降の連結対象範囲変更が業績に影響を与える可能性がある。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 第1四半期実績 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 非開示 | 非開示 | 388,407 | - |
| 営業利益(百万円) | 非開示 | 非開示 | 46,303 | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 約111,312(推計) | 123,000 | 35,129 | 28.6% |
※2026年3月期実績は、予想増益率10.5%から逆算した推計値。
戦略トピック:ACG株式譲渡と種類株式発行
四半期決算発表と同日に、以下の2つの重要な資本政策が公表された。
1. 航空機リース子会社(ACG)の一部株式譲渡
東京センチュリーは、連結子会社TC Skyward Aviation U.S., Inc.(ACGの持株会社)の株式50%を伊藤忠商事に譲渡する基本合意書を締結。譲渡は2026年11月を予定し、譲渡価額は約19.46億米ドル、譲渡益は約300億円を見込む。
ACGは世界有数の航空機リース会社で、中長期的な成長には規模拡大が不可欠だが、当社単独ではリスク許容度や資本効率の制約があった。伊藤忠商事との共同事業により、ACGの競争力強化と当社の資本効率向上を同時に図る。譲渡後、ACGは持分法適用関連会社となる予定。
2. 伊藤忠商事・農林中央金庫への種類株式発行
第三者割当により、第1回から第3回の社債型種類株式を発行。発行総額は120億円で、うち伊藤忠商事に100億円、農林中央金庫に20億円を割当てる。配当年率は当初3.8%(2032年3月期まで)で、5年後から金銭償還が可能。調達資金は系統用蓄電池設備など環境インフラ投資に充当する。
また、本件増資と同時に資本金・資本準備金を各60億円減少させ、その他資本剰余金に振り替えることで、将来の配当原資を確保する。
リスクと課題
決算短信では特段のリスク項目は明示されていないが、業績・事業環境から以下のリスクが想定される。
- 為替変動リスク: 海外子会社の収益や純資産は円安で嵩上げされているが、急激な円高が進行すれば逆風となる。為替予約やヘッジ会計を活用しているものの、キャッシュフローや自己資本比率に影響を与える可能性がある。
- 航空機リース市況: 中長期的に需要拡大が見込まれるが、金利上昇や航空燃料高、地政学的リスクが航空会社の業績を圧迫し、リース料下落や機体価値減少につながる懸念。ACGの一部売却はこのリスク分散の一環とも読み取れる。
- 投資回収リスク: 環境インフラや再生エネルギーへの大型投資は政策変更や技術進歩の影響を受けやすく、収益性が想定を下回る可能性がある。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/3)
2,526.5円
最新終値(2026/10/23)
2,489.5円-1.5%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#東京センチュリー#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#航空機リース#ACG売却#種類株式#増配#海外展開
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コメント
今期はトランスポート部門の航空機・船舶売却益が突出しており、収益の質としては一時的要素が強い点には留意が必要だ。
とはいえ、海外ビジネスのITAD案件拡大やモビリティのインバウンド回復など、他のセグメントも堅調に推移しており、全般的な収益力向上が見て取れる。
ACG株式譲渡と種類株式発行は、資本効率の改善と成長投資の資金確保を両立する巧みな財務戦略であり、中長期的な企業価値向上への布石と評価できる。
ただし、譲渡後の連結対象外化に伴う利益規模縮小をどうカバーするかが今後の焦点だ。蓄電池投資など新たな成長分野へのリソース投入の成果を注視したい。
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