全国保証、2027年3月期第1四半期決算、純利益9.4%増で増収増益

全国保証が発表した2027年3月期第1四半期決算は、営業収益が前年同期比 2.5%増 の 117億7200万円 、親会社株主に帰属する四半期純利益が 9.4%増 の 65億6200万円 となり、増収増益を達成した。営業利益はほぼ横ばいだったが、金利上昇を背景とした運用収益の拡大や持分法投資利益の増加により営業外収益が 58.6%増 と急拡大し、経常利益は 7.9%増 の 93億3500万円 と伸長した。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 118億円 | +2.5% | 606億円 | 19% |
| 営業利益 | 77億円 | +0.1% | 420億円 | 18% |
| 純利益 | 66億円 | +9.4% | 327億円 | 20% |
| 営業利益率 | 65.6% | |||
業績のポイント
全国保証(全国保証)が発表した2027年3月期第1四半期決算は、増収増益となった。営業収益は前年同期比 2.5%増 の 117億7200万円 、親会社株主に帰属する四半期純利益は 9.4%増 の 65億6200万円 。営業利益は 77億2400万円 と前年同期比 0.1%増 にとどまったが、金利上昇に伴う運用収益や持分法投資利益の増加により営業外収益が 58.6%増 の 18億5000万円 に膨らみ、経常利益は 7.9%増 の 93億3500万円 と堅調だった。
保証債務残高は2026年6月末で 21兆5773億円 に積み上がり、新規保証実行とM&Aによるインオーガニック成長が寄与。営業費用は与信関連費用(債務保証損失引当金繰入額)が 25.1%増 の 13億2100万円 となったが、全体では 7.4%増 の 40億4800万円 に抑制された。住宅ローン金利上昇は代位弁済率に大きな影響を与えておらず、むしろ金融機関の外部保証ニーズを高める方向に働いている。
セグメント別動向
全国保証の事業は、住宅ローンを中心とする信用保証事業の単一セグメントである。営業収益の大部分は金融機関からの保証料で、営業外収益として運用収益が加わる。今期の営業収益 117億7200万円 のうち、保証料収入は保証債務残高の増加に伴い拡大した。
営業費用は 40億4800万円 (前年同期比 7.4%増 )で、内訳は債務保証損失引当金繰入額 13億2100万円 (同 25.1%増 )、給与手当等 6億2300万円 (同 6.8%増 )、その他経費 23億5800万円 (同 8.0%増 )。与信コストの増加ペースは一巡しつつあり、通期では前期比 8.1%増 の60億円を見込む。
営業外収益は 18億5000万円 (同 58.6%増 )と大幅に伸びた。金利上昇局面で保有する満期保有目的債券の償還に伴うポートフォリオ入替が進み、受取利息・配当金が増加した。保証料の前受収益と必要資本の合計4,000億円超の運用利回り改善が、今後の収益押し上げ要因として期待される。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 信用保証事業 | 118億円 | 100% | 77億円 | 65.6% |
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は前年同期末比 1.4%減 の 4937億1000万円 。流動資産は有価証券の減少等で 6.0%減 の1230億2400万円だが、投資有価証券が 3190億2500万円 (同 3.2%増 )と増え、固定資産はほぼ横ばい。負債は未払法人税等の減少で 1.9%減 の2507億3900万円、純資産は 2429億7000万円 、自己資本比率は49.2%と健全だ。
株主還元では、2027年3月期の配当予想を 123円 (前期比 2.5%増 )に増配し、配当性向 50% を維持する。安定的・継続的な配当に加え、自社株買いについても機動的に対応する方針。ROEは前期の13.4%から 14% を目標に掲げ、保証債務残高の拡大と資産運用効率化で達成を目指す。
リスクと課題
- 金利上昇は全体としてポジティブだが、変動金利型住宅ローンの125%ルールにより代位弁済率の急上昇は想定しづらいものの、長期的な景気後退や雇用悪化に伴う与信コスト増加には注視が必要。
- 企業倒産件数が物価高や人件費上昇で増加傾向にあり、個人の所得環境悪化が住宅ローン返済に波及するリスクは否定できない。
- 新設住宅着工戸数の低迷が続けば、オーガニックな保証債務残高の伸びが鈍化する可能性がある。中古住宅市場や既存ローン市場(M&A・ABL等)でのシェア拡大で補っているが、競争激化も想定される。
- 金融機関の与信判断厳格化や規制変更が保証需要に影響を与える可能性がある。
通期見通し
2027年3月期通期の業績予想では、営業収益 606億円 (前期比 3.2%増 )、営業利益 420億円 (同 1.5%増 )、親会社株主に帰属する当期純利益 327億円 (同 0.5%増 )を見込む。営業利益の伸びが営業収益に比べて小さいのは、株式給付信託制度導入に伴う一時費用9億円や営業費用の増加(与信関連費用8.1%増など)が影響する。一方、営業外収益では負ののれん発生益の剥落などがあるが、金利上昇による運用収益増で補う計画だ。
| 項目 | 前回予想 (2026/5公表) | 前期実績 (2026/3期) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 606億円 | 587億3900万円 | +3.2% |
| 営業利益 | 420億円 | 413億8200万円 | +1.5% |
| 当期純利益 | 327億円 | 325億2600万円 | +0.5% |
| 一株当たり配当金 | 123円 | 120円 | +2.5% |
保証債務残高は2027年3月末に 22.5兆円 (前期末比 5.0%増 )を計画し、新規保証実行金額1兆9600億円(同2.1%増)を見込む。代位弁済率は低位推移を想定し、与信関連費用は60億円(同8.1%増)に抑える。
戦略トピック
全国保証は2026年7月31日、中日本総合信用株式会社の株式を取得し、持分法適用関連会社化したと発表した。これにより、同社が保証する残高6259億円のうち、持株比率に応じた2410億円を保証債務残高として計上し、インオーガニック成長を加速させた。中部地方の第二地方銀行との関係強化も期待される。同社は既存住宅ローン市場からの獲得を目的に、ABL貸付・RMBS(合計1兆7680億円)や損失補填契約(3741億円)など多様な手法を駆使しており、累計のインオーガニック獲得残高は7社1兆5207億円に上る。
さらに、同日、インテリックスホールディングスグループの2社(インテリックス、FLIE)および楽天銀行と、住宅ローンに係る新たな取り組みを開始した。住宅購入検討者が物件選びの段階で借入可能額や審査見通しを把握しやすくする仕組みを整え、中古住宅購入時の資金計画の不安を軽減する。不動産取引の円滑化と、全国保証の保証機会拡大の両面で効果が期待される。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
3,038円
最新終値(2026/10/23)
3,119円+2.7%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#全国保証#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#金利上昇#M&A#住宅ローン保証#保証債務残高#株主還元
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コメント
全国保証の第1四半期は、本業の保証料収入の伸びに加え、金利上昇局面を追い風にした運用収益の急拡大が光った。やや保守的に映る通期計画だが、第1四半期の純利益進捗率は約20%と順調だ。
注目すべきは、インオーガニック戦略の多様化だ。M&AだけでなくABL貸付・RMBSや損失補填契約といった金融的手法を駆使し、既存住宅ローン市場(210兆円超)から着実に残高を獲得している点は、他社にない強みである。金利ある世界への回帰は、同社にとって二重のメリット(保証ニーズ増加+運用利回り向上)をもたらしており、中期的に希少な成長ストーリーを描けると評価したい。
ただし、好調な雇用環境や不動産価格上昇が支える低い代位弁済率は、景気変動で容易に反転しうる点に留意。配当性向50%と高い株主還元を維持しつつ、今後は自社株買いの機動的な実施が株主価値向上のカギを握るだろう。
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