JVCケンウッド、27年3月期売上高予想を3,760億円に上方修正、純利益は前期比減
JVCケンウッドは2026年10月30日、2027年3月期の連結業績予想を修正した。売上収益は前回予想比3.3%増の3,760億円に引き上げる一方、事業利益は4.7%減の223億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は2.0%減の147億円に引き下げる。売上収益と事業利益は前期実績を上回るが、当期利益は前期の167.9億円から減少する。北米の無線システム事業の停滞が、国内用品や音楽配信の好調を打ち消す構図だ。

開示の要点
- 通期売上収益
- 3,760億円
- 通期事業利益
- 223億円
- 通期営業利益
- 195億円
- 通期当期利益
- 147億円
- 関税還付効果
- 事業利益に約45億円
売上予想は上方修正、利益は前回予想を下回る
売上収益は上方修正した一方、事業利益から当期利益までの各利益予想は下方修正した。前回予想、今回予想、前期実績は次の通り。
| 指標 | 前回予想(億円) | 今回予想(億円) | 前期実績(億円) |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 3,640 | 3,760 | 3,568.7 |
| 事業利益 | 234 | 223 | 208.8 |
| 営業利益 | 206 | 195 | 205.4 |
| 税引前利益 | 210 | 197 | 216.6 |
| 親会社帰属当期利益 | 150 | 147 | 167.9 |
前回予想に対する修正率は、売上収益が3.3%増、事業利益が4.7%減、営業利益が5.3%減、税引前利益が6.2%減、当期利益が2.0%減。前期実績と比べると売上収益と事業利益は増える一方、営業利益、税引前利益、当期利益は減る見通しだ。売上の伸びがそのまま利益の増加につながらない予想となった。
セーフティ&セキュリティの下振れを他分野の伸びで補う
分野別では、セーフティ&セキュリティ(S&S)の減収減益を、モビリティ&テレマティクスサービス(M&T)とエンタテインメント ソリューションズ(ES)の増収増益で一部補う。前回予想からの修正は次の通り。
| 分野 | 売上収益 前回→今回(億円) | 事業利益 前回→今回(億円) |
|---|---|---|
| S&S | 1,050→900 | 156→94 |
| M&T | 1,980→2,200 | 55→74 |
| ES | 540→580 | 23→55 |
| その他 | 70→80 | 0→0 |
S&Sは売上収益が150億円、事業利益が62億円、それぞれ前回予想を下回る。対照的にM&Tは売上収益が220億円、事業利益が19億円上振れし、ESも売上収益が40億円、事業利益が32億円上振れする。北米無線システムの停滞が利益を圧迫する一方、国内用品とコンテンツ販売が業績を支える構図だ。
国内用品と音楽配信が好調、北米では案件停滞
会社は、上期の販売動向と北米公共安全市場の変化を踏まえ、通期予想を見直した。主な理由は次の通り。
- M&Tの国内用品: 前期末から新たに導入した製品の販売が上期に増加し、通期も期初予想を上回る見込み。
- ESのエンタテインメント事業: 音楽配信などのコンテンツ販売が想定以上に好調で、通期予想を引き上げる。
- S&Sの無線システム事業: 北米の主要販売先である地方自治体で予算執行の見直しが表面化。見込み案件の凍結や新規受注の停滞があり、下期も想定を下回る見通し。
- 米国関税の還付: IEEPA関税の還付を織り込み、売上原価の減額などとして事業利益に約45億円、金融収益として税引前利益に約2億円を計上する想定。
関税還付の効果を含めても、利益予想は前回を下回る。とりわけS&Sの受注停滞が下期にも続く想定であり、M&TやESの上振れだけでは利益全体の下方修正を埋めきれない。
売上成長と利益回復の両立が焦点に
今回の修正は、事業ごとの明暗が全社業績に表れた形だ。売上収益と事業利益は前期実績を超える計画だが、営業利益以下は前期を下回る見通しで、利益水準の回復にはなお課題が残る。
投資家にとっては、北米自治体の予算執行見直しがどの程度続くか、S&Sの案件再開や新規受注が進むかが注目点となる。同時に、国内用品やコンテンツ販売の好調が下期も続くか、関税還付を除いた利益の稼ぐ力がどう推移するかを確認したい。会社は、発表日時点で入手可能な情報に基づく予想であり、実際の業績は今後の要因によって異なる可能性があるとしている。
開示前後の株価推移
開示当日の終値(2026/10/30)
885円
最新終値(2026/10/30)
885円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
JVCケンウッドをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電機業界の今
掲載59社JVCケンウッドは電機業界の掲載59社中、売上高で31位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +15.4%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +22.9%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 23社下方 3社
- 営業利益率(業界)
- 10.6%
- JVCケンウッド−28.5%
- 電機(業界平均)+15.4%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は25社合計で売上高+9.2%・営業利益+57.8%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は13社、下回る企業は21社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは23社、下方修正は3社。修正幅が最も大きいのは村田製作所(営業利益+36.8%)。






タグ#JVCケンウッド#業績予想修正#2027年3月期#無線システム#北米公共安全市場#音楽配信#関税還付
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今回の修正では、売上収益の上方修正だけで全体を判断しにくい。事業利益は前期実績を上回るものの、営業利益と当期利益は前期を下回る計画で、利益段階ごとの違いが大きい。焦点はS&Sの受注停滞がいつ和らぐかにある。関税還付の寄与も織り込まれているため、今後の決算では還付要因と各事業の本業の動きを分けて確認することが重要だ。
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