日立、2027年3月期第2四半期決算(中間決算)、調整後営業利益26%増

日立の2027年3月期第2四半期決算は、売上収益が前年同期比17.3%増の5兆6,140億円、調整後営業利益が26.6%増の6,432億円となり、増収増益でした。一方、親会社株主に帰属する中間利益は11.9%減の4,166億円です。エナジー事業などが利益を伸ばす一方、前年の一時的な収益がなくなり、純利益を押し下げました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5.6兆円 | +17.3% | 12.0兆円 | 47% |
| 営業利益 | 6,433億円 | +26.6% | 1.4兆円 | 44% |
| 純利益 | 4,166億円 | -11.9% | 9,200億円 | 45% |
| 営業利益率 | 11.5% | |||
この決算のポイント
- 1エナジーのセグメント損益は前年同期比59.1%増の2,748億円と、主要事業で最も高い伸び。
- 2通期の売上収益予想は12兆円、調整後営業利益予想は1兆4,500億円で、会社はそれぞれ13.3%、20.9%増を見込む。
- 3中間配当は前年同期の23円から32円に増額。通期の期末配当予想は未定。
- 4営業キャッシュフローは前年同期比6.6%増の7,989億円、フリーキャッシュフローは11.2%減の6,773億円。
- 5Astemo株式の一部を10月1日に譲渡し、持分比率は40.0%から19.0%に低下。売却対価は1,523億円。
業績のポイント
日立(日立製作所)の中間期は、売上収益が前年同期比17.3%増の5兆6,140億円、調整後営業利益が26.6%増の6,432億円でした。一方、親会社株主に帰属する中間利益は11.9%減の4,166億円となり、営業段階の好調さが最終利益にはつながりませんでした。
- 売上総利益: 1兆6,910億円と前年同期比18.6%増。売上収益の拡大に加え、売上総利益率は29.8%から30.1%に上昇。
- 調整後営業利益率: 11.5%と前年同期の10.6%から上昇。調整後営業利益の伸びが売上収益の伸びを上回りました。
- 税引前中間利益: 6,299億円と前年同期比7.4%減。前年に計上したその他の収益や金融収益が大きく減少しました。
本業の利益成長と純利益の減少が分かれる決算です。前年同期にはその他の収益が969億円、金融収益が1,023億円ありましたが、今期はそれぞれ26億円、229億円に縮小し、税引前利益と純利益を押し下げました。調整後営業利益の伸びと利益率の改善は本業の収益力を示す一方、純利益の前年同期比だけでは事業の勢いを捉えにくい内容です。
セグメント別動向
主要事業はすべて増益でした。特にエナジーのセグメント損益が大きく伸び、利益成長をけん引しました。以下のセグメント損益は、企業結合に伴う無形資産償却費を足し戻したAdjusted EBITAです。
デジタルシステム&サービスは、外部顧客向け売上収益が1兆4,497億円、セグメント損益が2,115億円でした。前年同期から売上・利益ともに増加しましたが、決算短信では個別の増減要因を詳しく説明していません。産業分野SI事業を今期から同セグメントに移管しており、前年同期も変更後の区分で表示されています。
エナジーは、外部顧客向け売上収益が1兆8,628億円、セグメント損益が2,748億円となり、前年同期比で売上・利益ともに大きく伸びました。5事業の中で最大の売上規模と利益額を持ち、今回の利益成長の柱です。短信は具体的な製品・地域別の要因までは示していません。
モビリティは、外部顧客向け売上収益が6,923億円、セグメント損益が559億円でした。鉄道システムを担う事業で、売上・利益とも前年同期を上回りました。コネクティブインダストリーズは売上1兆4,753億円、損益1,784億円、その他は売上1,230億円、損益141億円でした。いずれも利益は前年同期を上回っています。
セグメント損益の前年同期比は次の通りです。エナジーが最も高い伸びを示し、他の事業もそろって増益となりました。
- エナジー+59.1%
- モビリティ+37.1%
- コネクティブ+15.1%
- デジタル+11.6%
- その他+11.3%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| デジタルシステム&サービス | 1.4兆円 | 26% | 2,115億円 | 14.6% |
| エナジー | 1.9兆円 | 33% | 2,749億円 | 14.8% |
| モビリティ | 6,923億円 | 12% | 559億円 | 8.1% |
| コネクティブインダストリーズ | 1.5兆円 | 26% | 1,784億円 | 12.1% |
| その他 | 1,230億円 | 2% | 141億円 | 11.4% |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は15兆1,877億円で、2026年3月末から1,465億円増えました。親会社株主持分比率は43.0%と、前期末の43.7%から低下しています。
| 項目 | 2027年3月期中間期 | 前年同期・前期末との比較 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 7,989億円 | 前年同期比6.6%増 |
| 投資キャッシュフロー | -1,215億円 | 前年同期は134億円の収入 |
| フリーキャッシュフロー | 6,773億円 | 前年同期比11.2%減 |
| 中間配当 | 32円 | 前年同期の23円から増額 |
| 自己株式の取得 | 2,904億円 | 前年同期の1,716億円から増加 |
営業キャッシュフローは前年同期を上回りましたが、有形固定資産の取得などで投資キャッシュフローが支出に転じ、フリーキャッシュフローは減少しました。自己株式の取得も実施し、中間配当を増額する一方で、期末配当予想は未定です。利益成長に加え、投資と株主還元を並行して進める資本配分が続いています。
通期見通し
日立は2027年3月期通期について、売上収益12兆円、調整後営業利益1兆4,500億円を予想しています。いずれも前期実績に対する会社予想の増減率はプラスで、親会社株主に帰属する当期利益も増益を見込んでいます。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 前期比予想 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 12兆円 | +13.3% |
| 調整後営業利益 | 1兆4,500億円 | +20.9% |
| 親会社株主に帰属する当期利益 | 9,200億円 | +14.7% |
中間期の調整後営業利益は通期予想の約44%に当たります。売上収益は通期予想の約47%まで進みましたが、上期の進捗だけで達成可能性を判断するには、下期の事業環境や各セグメントの利益動向も確認する必要があります。短信の予想欄には前回予想との比較がなく、今回の修正の有無や修正理由は確認できません。
戦略トピック
日立は本田技研工業との契約に基づき、持分法適用会社Astemoの株式の一部を2026年10月1日に譲渡しました。売却対価は1,523億円で、日立の持分比率は40.0%から19.0%に低下し、Astemoは持分法適用会社ではなくなりました。
譲渡は中間期末後に完了したため、今回の中間期業績には売却完了後の影響は含まれていません。会社は、この株式譲渡が2027年3月期の親会社株主に帰属する当期利益に与える影響は重要ではないとしています。
リスクと課題
会社は、需要や為替、調達環境など複数の要因によって、実際の業績が見通しと大きく異なる可能性があると説明しています。事業の拡大と利益率改善を続けられるかに加え、外部環境の変化への対応が焦点です。
- 主要市場の需要変動: 日本、北米、欧州、アジアなどの景気や需要が急変した場合、売上収益や設備稼働に影響する可能性があります。
- 為替・原材料価格: 為替相場や原材料・部品価格の変動は、調達コストや海外事業の収益に影響します。
- 供給網と長期契約: 部品不足や価格変動、長期請負契約のコスト見積もりのずれ、契約解除が採算を圧迫するリスクがあります。
- 競争・技術開発: 価格競争の激化や新技術の市場投入の遅れは、受注や利益率に影響するおそれがあります。
- 人財・情報管理・災害: 人財確保、機密情報の管理、自然災害や政治・社会情勢の混乱も、事業継続上の課題として挙げています。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/28)
5,620円
最新終値(2026/10/28)
5,620円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/28更新
日立をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電機業界の今
掲載59社日立は電機業界の掲載59社中、売上高で2位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +23.6%全業界 +17.1%
- 今期計画 営業利益
- +20.1%全業界 +11.4%
- 予想の上方修正
- 19社下方 2社
- 営業利益率(業界)
- 10.6%
- 日立+15.9%
- 電機(業界平均)+23.6%
- 全業界+17.1%
- 足元の業績今期第1四半期累計は37社合計で売上高+11.6%・営業利益+51.1%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は8社、下回る企業は19社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは19社、下方修正は2社。修正幅が最も大きいのはカシオ(営業利益+30.8%)。






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本業の利益率が上がり、5つの報告セグメントすべてが増益となった点は、売上拡大だけに頼らない収益力の改善を示しています。特にエナジーの伸びが目立つ一方、短信だけでは個別の受注や市場要因まで読み取れず、次の決算で成長の持続性を確かめたいところです。
純利益の減少は本業悪化というより、前年同期にあったその他の収益や金融収益の反動が大きく影響しています。投資家は純利益の前年比だけでなく、調整後営業利益率とフリーキャッシュフローの推移を合わせて見ると、事業の実力と投資負担を判断しやすくなります。
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掲載企業

株式会社日立製作所
東証 6501
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今後2週間に584社が決算発表 · 注目企業と進捗率を見る他の決算期
4期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期





