フューチャー、2026年12月期第3四半期決算、増収も初期ライセンス反動で営業減益

フューチャーの2026年12月期第3四半期決算は、売上高が前年同期比5.7%増の584億円となる一方、営業利益は4.2%減の112億円で、増収減益でした。前年に計上した次世代バンキングシステムの初期ライセンス収入の反動が利益を押し下げましたが、その影響を除いた損益は増収増益と説明しています。通期予想は据え置く一方、株式併合を経て12月23日に上場廃止予定と発表しました。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 584億円 | +5.7% | 806億円 | 73% |
| 営業利益 | 112億円 | -4.2% | 175億円 | 64% |
| 純利益 | 78億円 | -1.1% | 118億円 | 66% |
| 営業利益率 | 19.2% | |||
この決算のポイント
- 1ITコンサルティング&サービス事業は売上高が前年同期比6.9%増、営業利益は4.6%減。
- 2ビジネスイノベーション事業は売上高が5.7%減の一方、営業損益は98百万円の黒字に転換。
- 3通期営業利益予想は175億円で据え置き。第3四半期累計の進捗率は64.1%。
- 4年間配当予想は24円で、前期実績の46円から減少。期末配当予想は0円。
- 5株式併合などの議案を臨時株主総会に付議し、株式は12月23日に上場廃止予定。
業績のポイント
フューチャー(フューチャー株式会社)は、2026年12月期第3四半期累計で増収減益となりました。売上高は前年同期比5.7%増の584億円、営業利益は4.2%減の112億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は1.1%減の78億円です。EBITDAは3.2%減の137億円でした。
- 売上を押し上げた要因: 金融機関向け次世代バンキングシステムの新規導入プロジェクトや、幅広い業種の経営改革に関する大規模案件が進捗しました。
- 利益を押し下げた要因: 前期に複数の金融機関向けに計上した次世代バンキングシステムの初期ライセンス収入が、今期は反動減となりました。
- 費用面の動き: 採用費は前年同期の8億75百万円から15億71百万円に増加し、採用強化を進めました。
会社は、初期ライセンス収入の反動を除けば前年同期比で増収増益だったと説明しています。つまり、見かけ上の減益にはライセンス計上時期の影響が含まれており、既存プロジェクトやサービスの基調と分けて見る必要があります。一方、AIの普及でIT投資やシステム開発のあり方が変わる局面にあり、案件の質と収益性を保てるかが今後の焦点です。
セグメント別動向
ITコンサルティング&サービス事業は、売上高が前年同期比6.9%増の528億円、営業利益は4.6%減の115億円でした。次世代バンキングシステムの設計や医療DX、小売・食品卸・金融などの経営改革案件が進み、知財関連の保守売上も増加しました。一方、前年に計上した初期ライセンス収入の反動が利益を押し下げています。
ビジネスイノベーション事業は、売上高が5.7%減の55億円となりましたが、営業損益は前年同期の1億28百万円の赤字から98百万円の黒字に転換しました。スポーツチーム向けのシステム導入や支援が伸びた一方、天候不順で夏物商品の需要が弱く、高級ホテルのデザイン案件では建築費高騰を受けて中止・延期が発生しました。
IT事業では、AI-OCR「Future Edge AI」の利用拡大や、脆弱性管理サービス「FutureVuls」のAI連携機能強化が進みました。ビジネスイノベーション事業では、収益性の高いプライベートブランド商品の比率向上や固定費削減も採算改善に寄与しています。事業ごとに売上の勢いには差があるものの、主力のIT事業が全体の成長を支え、非IT領域では黒字化が進みました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ITコンサルティング&サービス事業 | 528億円 | 90% | 115億円 | 21.8% |
| ビジネスイノベーション事業 | 55億円 | 10% | 98百万円 | 1.8% |
財務状況と資本政策
9月末の総資産は前期末比6億円減の968億円、自己資本比率は68.9%と、前期末から4.5ポイント上昇しました。第3四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュフローの数値は開示されていません。
| 項目 | 2026年9月末・予想 | 比較対象 | 増減・内容 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 96,843 | 前期末 97,491 | -648 |
| 純資産(百万円) | 66,738 | 前期末 62,755 | +3,983 |
| 自己資本比率 | 68.9% | 前期末 64.4% | +4.5ポイント |
| 年間配当(円) | 24 | 前期実績 46 | 期末予想 0 |
利益剰余金の増加などで純資産が積み上がる一方、長期借入金の返済や未払法人税等の減少により負債は前期末から46億円減少しました。配当予想に修正はなく、自己株式の新たな取得も発表されていません。取締役会は自己株式の消却を決議していますが、株式併合議案が株主総会で承認されることが条件です。
通期見通し
2026年12月期の通期業績予想は据え置かれました。第3四半期累計の売上高は通期予想の72.5%、営業利益は64.1%、親会社株主に帰属する当期純利益は66.3%に達しています。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 80,600 | 80,600 | 本短信に記載なし |
| 営業利益(百万円) | 17,500 | 17,500 | 本短信に記載なし |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 11,800 | 11,800 | 本短信に記載なし |
売上高の通期予想は前期比6.1%増、営業利益は8.2%増、純利益は0.7%増です。会社は、初期ライセンス収入の反動を除けば増収増益としており、主力事業の案件進捗が予想達成を左右します。ただし、AIによる開発手法の変化や人材確保に伴う費用など、需要の拡大がそのまま利益成長につながるとは限らず、利益率の推移も確認が必要です。
戦略トピック
決算発表と同日の取締役会で株式併合、単元株式数の定めの廃止、定款変更、資本金の額の減少に関する議案を臨時株主総会に付議することを決めました。会社の発表では、株式は11月30日から12月22日まで整理銘柄に指定された後、12月23日に上場廃止予定です。
- 株主総会: 臨時株主総会は11月30日に開催する予定です。
- 自己株式の消却: 株式併合議案が原案どおり承認されることを条件に、保有する自己株式を消却する方針です。
- AI分野の強化: 「FutureVuls」のAI連携機能を強化し、AIエージェントと接続できる「FutureVuls MCP Server」を公開しました。
上場廃止に関する手続きは、通常の業績動向とは別に株主や投資家の判断へ大きく影響する重要事項です。株式併合の条件や今後の手続きは、決算短信だけでなく、同日公表の臨時株主総会に関する資料で確認する必要があります。事業面では、AIを使った新サービスと既存の知財を活用し、単なる開発受託にとどまらない価値提供を目指しています。
リスクと課題
会社は、原油・エネルギー価格の上昇、物価高、長期金利上昇、円安、人手不足などを不透明要因として挙げています。さらに、生成AIの急速な普及が従来型のシステム開発や汎用ITサービスの需要に変化をもたらす可能性があります。
- AIによる需要構造の変化: 汎用的なITサービスが代替される一方、AIを活用した新しいソリューションを提供できるかで企業間の選別が進む可能性があります。
- 人材確保とコスト上昇: キャリア採用の強化で採用費が増加しています。人手不足や賃金上昇が続けば、案件の拡大に対して利益率が伸びにくくなるおそれがあります。
- 案件の遅延・中止: 高級ホテルのデザイン案件では建築費高騰を背景に中止や後ろ倒しが発生しました。顧客の投資判断や市場環境が変われば、売上計上の時期にも影響します。
- 上場廃止に伴う投資上の制約: 上場廃止予定を踏まえ、株式の取引や株主としての手続きに関する条件・日程を会社の公表資料で確認する必要があります。
主力IT事業の受注は堅調ですが、売上成長だけでなく、AI時代に適したサービスへの転換、人材費を含むコスト管理、案件の採算性が課題です。投資家は業績予想の進捗に加え、上場廃止に関する会社発表を個別に追う必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/28)
2,428円
最新終値(2026/10/28)
2,428円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/28更新
フューチャーをライバルと比較
年収・業績・株価を並べてITサービス業界の今
掲載31社フューチャーはITサービス業界の掲載31社中、売上高で14位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +10.0%全業界 +17.1%
- 今期計画 営業利益
- +28.8%全業界 +11.4%
- 予想の上方修正
- 7社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 14.5%
- フューチャー+15.3%
- ITサービス(業界平均)+10.0%
- 全業界+17.1%
- 足元の業績今期第1四半期累計は12社合計で売上高+6.4%・営業利益+10.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は3社、下回る企業は11社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは7社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはAppier(営業利益+16.7%)。





タグ#フューチャー#決算#決算分析#四半期決算#増収減益#ITコンサルティング#生成AI#上場廃止
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売上の伸びだけを見ると堅調ですが、前年の初期ライセンス収入の反動が利益を押し下げており、今期の減益をそのまま事業の失速とみなすのは早計です。会社が説明する「初期ライセンスを除けば増収増益」という点は、主力事業の実力を読むうえで重要です。
それ以上に投資家が注意すべきなのは、上場廃止予定という資本市場上の大きな変化です。業績予想の達成度だけでなく、株式併合や株主総会の議案、今後の手続きについて、会社の追加開示を確認する必要があります。
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- 2026年12月期 第1四半期
- 2025年12月期 通期






