平和不動産、新中計BX5で31年度に事業利益290億円以上、長期目標を450億円へ上方修正
平和不動産は2027〜2031年度の新中期経営計画「BX5」を策定し、2031年度に連結事業利益290億円以上、ROE10%以上を目指す。長期ビジョン「WAY 2040」の利益目標は、連結営業利益約250億円以上から連結事業利益約450億円以上に引き上げる。再開発や賃貸収益の拡大に加え、海外不動産に初進出し、株主還元では累進配当を掲げた。

開示の要点
- 計画期間
- 2027〜2031年度
- 事業利益
- 2031年度に290億円以上
- EPS
- 2031年度に220円以上
- ROE
- 2031年度に10%以上
- 長期目標
- 事業利益約450億円以上
長期ビジョンの利益目標を引き上げ、BX5を始動
平和不動産は新中計「Bazukuri Transformation 5(BX5)」で、2031年度に連結事業利益290億円以上、EPS220円以上を目指す。ROE目標は10%以上とし、2026年度までの現中計の見通しを上回る水準を掲げた。
| 指標 | 現状(2026年度見通し) | 新計画(2031年度) |
|---|---|---|
| 連結営業利益・連結事業利益 | 営業利益158億円 | 事業利益290億円以上 |
| EPS | 174円 | 220円以上 |
| ROE | 9%程度 | 10%以上 |
連結事業利益は、連結営業利益に持分法投資損益と固定資産売却益を加えた指標で、現状欄の営業利益とは定義が異なる。2026年度の見通しは、現中計で当初掲げた営業利益140億円以上、EPS135円以上、ROE7%以上を上回る。長期ビジョン「WAY 2040」の目標も、連結営業利益約250億円以上から連結事業利益約450億円以上へ上方修正したが、こちらも指標の定義が異なる。会社は、現中計で札幌再開発やホテル事業などを進め、当初計画を上回る成長が見込めることを新計画策定の背景に挙げた。
再開発を全国に広げ、賃貸収益と資本効率を高める
成長の軸を、再開発の拡大と資産の収益力向上、海外進出の組み合わせに置く。重点施策は5つの「BX戦略」で構成する。
- 全国主要都市の再開発: 札幌の「SAPPORO ONE」や「北4西3地区第一種市街地再開発事業」を進める。京都のホテル開発など、主要都市の案件も並行して推進する。
- 日本橋兜町・茅場町の強化: 「(仮称)日本橋茅場町一丁目6地区開発計画」を進め、FinGATE事業や商業店舗の誘致を通じて金融関連機能の集積を図る。
- 賃貸収益と資本回転型事業の拡大: 積極的なリーシングや賃料改定、ホテル収益の成長を目指す。既存物件の賃料は年3.0%の成長を想定する。
- 海外不動産事業への進出: 成長機会の獲得と資本効率向上を狙い、創業以来初めて海外事業に取り組む。
- 資産運用・仲介収益の拡大: 平和不動産リート投資法人や大成建設プライベート投資法人の成長を支援し、アセットマネジメントフィーなどの拡大につなげる。
会社は、オフィスを人材獲得や生産性向上につながる人的資本投資と捉える企業が増え、ホテル市場もインバウンド需要などを背景に成長すると見込む。一方でインフレや金利上昇によるコスト増も想定し、賃料収入の拡大と物件売却を伴う資本回転型事業を組み合わせて、資産効率を高める考えだ。
5年間で再開発などに投資、物件売却も活用
2027〜2031年度の資金配分では、再開発や物件取得、海外投資を進める。事業で生み出す資金と物件売却収入、有利子負債を組み合わせ、投資と株主還元に振り向ける計画だ。
- 再開発投資: 約1,900億円。日本橋兜町・茅場町に約350億円、札幌に約1,200億円、その他に約350億円を配分する。
- その他の投資: 物件取得に約500億円、海外不動産投資などに約300億円、設備投資(CAPEX)に約150億円を計画する。
- 資金調達の想定: 事業による創出など約2,500億円のうち物件売却収入を約2,000億円と見込む。有利子負債による収入は約600億円を想定する。
- 現金水準: 2027年度期初の現金は約250億円、2031年度末は約150億円を見込む。
投資額の大きな部分を札幌の再開発に充てる一方、物件売却を資金源として組み込んでいる。札幌や日本橋の大型案件は将来の賃貸収入や地域価値向上につながる可能性があるが、計画の進捗や資産売却の条件、金利動向が収益に影響する。
累進配当を掲げ、人的資本とガバナンスも強化
株主還元は配当性向50%程度を目安に、2026年度の年間配当103円を起点とする累進配当を実施する。自己株式取得は株価水準や投資計画、財務状況などを踏まえて機動的に判断する方針だ。
- 株主還元: 2027〜2031年度の連結配当性向は50%程度とし、配当の累進を目指す。起点となる年間配当103円には特別配当15円を含む。
- 人的資本: 新卒女性採用比率は5年平均で30%以上、女性管理職比率は2030年度までに20%以上を目指す。男性育児休暇取得率は同年度までに100%を目標とする。
- 働きやすさと生産性: 有給休暇取得率は毎年70%以上を掲げる。AI活用による業務効率化や健康経営、多様性を生かす組織づくりも進める。
- ガバナンス・環境: 政策保有株式の残高比率を2031年度までに連結純資産の5%程度に縮減する。GHG排出量は2050年度までのネットゼロを目指す。
配当の下限を明示したものではないが、累進配当の方針は株主還元の継続性を意識したものといえる。採用や管理職登用、休暇取得の目標は、学生や転職希望者にとって職場づくりを測る材料になる。一方、AI活用と少数精鋭の方針も掲げており、事業拡大と生産性向上をどう両立するかが注目される。
開示前後の株価推移
開示当日の終値(2026/10/30)
2,258円
最新終値(2026/10/30)
2,258円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
平和不動産をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて建設・不動産業界の今
掲載61社平和不動産は建設・不動産業界の掲載61社中、売上高で57位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +3.4%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +1.5%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 11社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 10.1%
- 平和不動産+0.3%
- 建設・不動産(業界平均)+3.4%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は33社合計で売上高+7.2%・営業利益+17.1%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は5社、下回る企業は28社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは11社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはユアテック(営業利益+16.9%)。






タグ#平和不動産#中期経営計画#不動産再開発#日本橋兜町#札幌再開発#海外不動産#株主還元
この記事はいかがでしたか?
登録不要・匿名で送信コメント
今回の計画は、再開発による資産価値向上だけでなく、物件売却益や持分法投資損益も含む連結事業利益を成長指標に据えた点が特徴だ。長期目標の引き上げは意欲的だが、営業利益とは異なる定義のため、利益の内訳や物件売却への依存度を確認したい。大型再開発の実行力と資本回転の両立に加え、初の海外事業が収益源の多様化につながるかが中長期の焦点となる。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
関連記事
大手不動産デベロッパーの最新記事
- 決算解説三井不動産2026年3月期 通期三井不動産・2026年3月期通期、純利益12%増の2,786億円——4期連続で過去最高を更新、分譲の利益伸長とホテル好調が寄与

- 決算解説三菱地所2027年3月期 第1四半期三菱地所、2027年3月期第1四半期決算、営業利益94%増で大幅増益

- 決算解説住友不動産2027年3月期 第1四半期住友不動産、2027年3月期第1四半期決算、営業利益・純利益とも過去最高

- 決算解説東京建物2026年12月期 第1四半期東京建物・2026年12月期Q1、営業利益46.7%減の126億円——住宅分譲の反動減が響くもビル事業は堅調、通期増配計画は維持

- 子会社の異動三菱地所10月16日三菱地所、物流関連の特定目的会社を完全子会社化、150億円出資で事業強化



