大手電力3社・2027年3月期中間決算、増収の裏で利益に明暗、関西の底力と中部の苦戦
大手電力3社はそろって増収となりましたが、営業利益は関西電力だけが黒字を確保し、東京電力と中部電力は赤字に転落しました。中部電力は浜岡原発関連の巨額損失、関西電力は株式売却益が純利益を下支え。売上の伸びが利益に結び付かない構図が、投資家にも就活生にも見逃せない中間決算です。
今期の総括
3社増収も本業の利益に明暗
業界全体の動き
3社とも増収でしたが、売上増が本業の利益改善につながった会社はありません。東京電力と中部電力は営業赤字に転じ、関西電力も営業利益が大きく減りました。
| 会社 | 売上高 前年比 | 営業利益 前年比 | 主な要因 |
|---|---|---|---|
| 東京電力 | 32,713億円 +3.8% | -337億円、前年比不明 | 費用増で営業赤字 |
| 中部電力 | 19,452億円 +11.3% | -781億円、前年比不明 | 浜岡原発関連損失 |
| 関西電力 | 22,351億円 +11.3% | 832億円 -69.9% | 費用増、株式売却益 |
業界を動かした要因は、次の3点です。
- 売上の拡大: 3社すべてが増収で、業界平均の伸び率は+8.8%。東京電力は+3.8%にとどまり、中部・関西はともに+11.3%でした。
- 費用の増加: 東京電力は営業費用が前年同期の2兆9,332億円から3兆3,049億円へ増加。関西電力も営業費用が4,203億円増え、増収を上回りました。
- 原子力関連の不確実性: 中部電力は浜岡原発関連の減損損失3,051億円などを計上。東京電力は中東情勢を受けた燃料価格の不透明さから通期予想を未定としました。
売上高の業界平均は2兆4,838.7億円ですが、規模の大きさだけでは採算を測れません。3社の営業利益平均は-95.3億円で、増収と利益の回復が別の課題になった期です。
売上高ランキング
売上高 前年同期比
勝者と敗者
営業段階で黒字を維持した関西電力と、原子力関連損失で赤字が膨らんだ中部電力の差が際立ちました。関西電力の営業利益率は3.7%で、3社平均の-0.4%を上回ります。
- 関西電力: 営業利益は832億円で前年同期比69.9%減。それでも黒字を保ちました。中間純利益は1,829億円で、きんでん株式の一部売却益1,051億円が減益幅を抑えています。
- 中部電力: 営業損失は781億円、純損失は2,805億円。浜岡原発関連の減損損失3,051億円と核燃料評価損653億円を計上しました。
- 東京電力: 営業損失は337億円。営業費用が売上高の伸びを上回り、経常利益も前年同期比67.9%減の906億円でした。
黒字を保った関西も減益は深刻です。関西電力の営業利益は前年同期比で約7割減り、売上高の増加だけでは費用増を吸収できませんでした。一方、中部電力の純損失には大規模な特別損失が影響しており、営業赤字と原子力資産の評価を分けて見る必要があります。投資家は一時利益と継続的な収益力を見極め、就活生は安定供給を担う事業でも業績変動が大きい点を押さえたいところです。
- 好調
- 関西電力
- 苦戦
- 中部電力


営業利益ランキング
営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
各社の注目点は、資産の評価や売却、株主還元、事業構成に分かれます。関西電力は配当を増やす一方、通期の営業減益を見込みます。
- 東京電力: エナジーパートナーの売上高は2兆3,761億円、パワーグリッドは7,502億円。中間純利益は527億円の黒字ですが、前年同期の純損失には災害特別損失が含まれます。燃料価格の見通しが定まらず、通期予想は売上高・各利益とも未定です。
- 中部電力: 浜岡原発関連の減損損失などを計上し、通期純損益は2,150億円の赤字を予想。自己資本比率は前期末の41.0%から38.5%に低下しましたが、年間配当予想は70円を維持しています。
- 関西電力: きんでん株式の一部売却で特別利益1,051億円を計上。年間配当予想は80円で、前期実績の75円から5円増やす方針です。通期営業利益予想は2,500億円で、営業利益の中間期進捗率は33%です。
3社の違いは、利益を支える要素にも表れています。関西電力は株式売却益と配当方針、中部電力は浜岡原発の資産評価、東京電力は燃料価格の不確実性が焦点です。単発の利益や配当だけでなく、本業の採算と通期見通しがどう変わるかが、各社の経営評価を左右します。
業界共通のリスク
3社に共通するのは、増収でも費用や特別損失が利益を圧迫し得る点です。影響の現れ方は各社で異なり、燃料価格、原子力資産、利益の一時性を分けて確認する必要があります。
- 燃料価格の変動: 東京電力は中東情勢を背景に燃料価格の見通しが定まらず、通期予想を未定としました。提示データ上、見通しの不確実性が最も明確なのは東京電力です。
- 原子力関連の評価・費用: 中部電力は浜岡原発関連の減損損失などを計上し、通期も純損失を予想します。3社の中では中部電力が最も直接的な影響を受けています。
- 営業費用の増加: 東京電力と関西電力では費用増が増収を上回りました。中部電力も営業費用が前年同期比26.3%増え、各社で本業の採算を圧迫しています。
- 一時利益による見え方の変化: 関西電力の純利益にはきんでん株式の売却益が含まれます。東京電力の前年同期純損失には災害特別損失があり、単純な前年差だけでは通常の収益力を比較しにくい状況です。
燃料価格や原子力を巡る不確実性は、業績予想や資産評価にも波及します。投資家は営業利益と純利益の差、特別損益、通期予想の前提を合わせて確認したいところです。就活生にとっても、電力会社の仕事は安定供給だけでなく、コスト管理や設備の安全性、事業環境の変化への対応と結び付いています。
就活生・転職希望者へ
決算から見えるのは、電力会社の仕事が安定供給を支える一方、燃料価格や設備の状況によって収益が大きく変わることです。会社ごとに事業の焦点や経営課題が異なり、志望先の比較では業績と事業内容の両方を確認する必要があります。
- 東京電力: エナジーパートナー、パワーグリッドなど複数の事業を持ちます。燃料価格の見通しが定まらず、通期予想が未定である点は、事業環境の変化への対応を考える材料です。
- 中部電力: 浜岡原発関連の減損損失を計上しました。原子力を巡る不確実性が業績に与える影響の大きさは、設備や安全に関わる仕事を考える際にも重要な背景です。
- 関西電力: 営業利益は黒字を維持しましたが、前年同期比で69.9%減りました。通期営業利益予想に対する進捗率は33%で、下期の業績回復が焦点です。
会社選びでは、足元の利益順位だけでなく、どの事業が売上を支え、どのリスクが経営課題になっているかを見ておきましょう。各社とも利益の中身に違いがあり、決算資料から事業構成や費用、設備投資の方向を読み取ることが、職種やキャリアを考える手掛かりになります。
大手電力会社を比較
年収・業績・株価を並べて電気・ガス業界の今
掲載19社- 業界の株価(1年)
- +16.6%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- −22.6%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 2社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 7.8%
- 足元の業績今期第1四半期累計は8社合計で売上高+6.4%・営業利益+11.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は7社、下回る企業は7社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは2社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは中部電力(売上高+7.7%)。




タグ#大手電力#電力業界#東京電力#中部電力#関西電力#2027年3月期#中間決算#燃料価格#浜岡原発#営業利益#株主還元
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