中部電力、2027年3月期第2四半期決算、浜岡原発の減損で最終赤字

中部電力の2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比11.3%増の1兆9,452億円となった一方、営業損益は780億円の赤字に転落し、親会社株主に帰属する中間純損益も2,804億円の赤字となりました。浜岡原子力発電所を巡る審査資料の不適切事案を受け、原子力関連資産の減損など3,704億円の特別損失を計上。通期の純損益予想も赤字を見込んでいます。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.9兆円 | +11.3% | 4.2兆円 | 46% |
| 営業利益 | -781億円 | — | — | — |
| 純利益 | -2,805億円 | — | -2,150億円 | — |
| 営業利益率 | -4.0% | |||
この決算のポイント
- 1電気事業営業収益は前年同期比11.4%増の1兆6,864億円
- 2営業損益は前年同期の1,455億円の黒字から780億円の赤字に転落
- 3浜岡原発関連の減損損失3,051億円と核燃料評価損653億円を計上
- 4通期純損益予想は2,150億円の赤字、年間配当予想は70円を維持
- 5自己資本比率は前期末の41.0%から38.5%に低下
業績のポイント
中部電力株式会社(中部電力)の2027年3月期中間期は、売上高が前年同期比11.3%増の1兆9,452億円となる一方、営業損益は前年同期の1,455億円の黒字から780億円の赤字に転落しました。親会社株主に帰属する中間純損益も、前年同期の1,663億円の黒字から2,804億円の赤字となり、浜岡原発を巡る不確実性が巨額減損に直結しました。
- 売上高: 電気事業営業収益の増加などを受け、前年同期比11.3%増。営業収益は1兆9,452億円でした。
- 営業利益: 営業費用が前年同期比26.3%増の2兆233億円となり、営業損益は赤字に転じました。
- 経常利益: 前年同期比79.1%減の410億円。持分法による投資利益は1,322億円と前年同期の683億円から増加し、営業赤字を一部補いました。
- 中間純利益: 特別損失3,704億円を計上し、前年同期の黒字から赤字に転落しました。
売上高は伸びましたが、営業費用の増加が収益の伸びを上回り、本業の採算は悪化しました。さらに、浜岡原発の再稼働時期や安全対策工事費を見通しにくくなったことから、原子力関連資産の回収可能性を厳しく見積もり、減損損失を計上しています。営業外では持分法投資利益が増えたものの、特別損失を吸収するには至りませんでした。
セグメント別動向
短信の損益計算書に記載された事業別の営業収益では、電気事業、その他事業のいずれも前年同期を上回りました。ただし、今回提供された決算短信の記載範囲には、報告セグメントごとの営業利益や利益率の内訳は示されていません。
| 事業別営業収益(百万円) | 当期 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 電気事業 | 1,686,400 | 1,514,185 | +11.4% |
| その他事業 | 258,805 | 233,646 | +10.8% |
電気事業は営業収益が前年同期比11.4%増となりました。一方で、電気事業営業費用は1兆7,783億円に増加しており、連結全体の営業損益が赤字となる中、売上の伸びだけでは採算改善につながっていません。短信本文には費用増加の詳細な内訳や、事業別利益の増減要因までは記載されていないため、燃料費など個別要因の断定はできません。
その他事業は営業収益が前年同期比10.8%増の2,588億円でした。電気事業と同程度の伸び率ですが、連結業績への寄与や利益率を判断するには、事業別利益の開示が必要です。
財務状況と資本政策
2026年9月末の総資産は前期末比2,776億円減の7兆3,751億円、自己資本比率は前期末の41.0%から38.5%に低下しました。中間期末の純資産は2兆9,169億円で、前期末から2,959億円減っています。
| 項目 | 2026年9月末・中間期 | 前期末・前年実績 | 比較 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 7,375,135 | 7,652,700 | -277,565 |
| 純資産(百万円) | 2,916,882 | 3,212,806 | -295,924 |
| 自己資本比率 | 38.5% | 41.0% | -2.5ポイント |
| 年間配当予想(円) | 70 | 70 | 据え置き |
中間配当は1株35円で、期末も35円を予定し、年間配当予想は前期と同じ70円です。配当予想に変更はありません。中間連結キャッシュ・フロー計算書の数値は今回の短信本文に掲載されていないため、営業・投資・財務キャッシュフローの実績は確認できず、自社株買いについても記載はありません。自己資本比率の低下と通期赤字予想を踏まえ、今後は原子力関連の追加費用や資金需要が財務余力に与える影響が焦点となります。
通期見通し
中部電力は2027年3月期の業績予想を修正し、売上高4兆2,000億円、経常利益1,100億円、親会社株主に帰属する当期純損益2,150億円の赤字を見込みます。売上高は前期比18.4%増の計画ですが、経常利益は62.2%減となり、最終赤字を予想しています。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 前期実績 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 4,200,000 | 3,138,258 | +18.4% |
| 経常利益(百万円) | 110,000 | 290,? | -62.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | -215,000 | 確認できず | 赤字予想 |
短信の業績予想欄では、経常利益の前期比が62.2%減と示されていますが、比較対象となる前期実績の金額は提示された記載から確定できません。また、会社は直近予想からの修正ありとしていますが、修正前の予想値は今回の資料本文にありません。浜岡原発の審査資料を巡る事案に伴い、原子力関連資産の減損や核燃料評価損を中間期に計上したことが、最終赤字予想の背景です。
リスクと課題
今回の業績を大きく左右したのは、浜岡原発の再稼働や資産価値を巡る不確実性です。加えて、本業の費用増が売上高の伸びを上回っており、利益回復には費用と電力事業の採算を見極める必要があります。
- 浜岡原発の審査・再稼働: 基準地震動の策定に関する不適切事案を受け、3、4号機の新規制基準に係る許可申請を取り下げました。再稼働時期や安全対策工事費の見通しが不透明となり、減損や追加費用につながる可能性があります。
- 原子力関連資産の評価: 原子力発電事業の固定資産について3,049億円の減損損失、核燃料について653億円の評価損を計上しました。将来の事業シナリオ次第で、資産価値や費用負担がさらに変動するリスクがあります。
- 営業費用の増加: 中間期の営業費用は前年同期比26.3%増となり、増収にもかかわらず営業赤字に転落しました。費用増が続けば、持分法投資利益など営業外収益だけでは利益を支えきれない懸念があります。
- 財務余力の低下: 自己資本比率は前期末から2.5ポイント低下しました。通期の純損益も赤字予想であり、追加の損失や投資負担が財務指標に及ぼす影響に注意が必要です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
2,681.5円
最新終値(2026/10/29)
2,681.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
中部電力をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電気・ガス業界の今
掲載19社中部電力は電気・ガス業界の掲載19社中、売上高で3位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +16.6%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- −22.6%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 2社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 7.8%
- 中部電力+28.0%
- 電気・ガス(業界平均)+16.6%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は8社合計で売上高+6.4%・営業利益+11.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は7社、下回る企業は7社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは2社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは中部電力(売上高+7.7%)。




タグ#中部電力#決算#決算分析#四半期決算#浜岡原子力発電所#減損損失#電力会社#配当#業績予想
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営業収益の増加だけを見ると堅調ですが、営業損益の赤字転落と巨額の原子力関連損失が示す通り、今期は売上成長より浜岡原発の不確実性が業績を左右する局面です。
今後の注目点は、申請取り下げ後の審査対応や再稼働の見通しだけでなく、追加の減損・工事費負担が必要になるかどうかです。年間配当を維持する方針は株主還元の継続を示す一方、赤字予想と自己資本比率の低下を踏まえると、財務余力との両立も確認したいところです。
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