中部電力、浜岡原発の減損計上で通期純利益2150億円の赤字予想に修正、特別損失は3800億円程度
中部電力は2027年3月期の連結純損益予想を、従来の1600億円の黒字から2150億円の赤字へ修正した。浜岡原子力発電所の減損損失3049億円と核燃料評価損653億円を計上し、特別損失は通期で3800億円程度となる見通し。経常利益も前回予想比40.5%減の1100億円に下方修正する一方、売上高は7.7%増の4兆2000億円に引き上げた。前期は2277億円の黒字で、原発の再稼働不透明感が巨額損失に表れた。

開示の要点
- 通期純利益
- -2150億円
- 通期経常利益
- 1100億円
- 特別損失
- 3800億円程度
- 原子力減損
- 3049億円
- 核燃料評価損
- 653億円
通期純利益は黒字予想から赤字へ
中部電力は2027年3月期の売上高予想を引き上げる一方、経常利益と純利益を下方修正した。純利益は前回の1600億円の黒字予想から2150億円の赤字予想に転じ、前期の2277億円の黒字からも赤字転落となる。
| 連結業績 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 39,000 | 42,000 | 35,460.41 |
| 経常利益(億円) | 1,850 | 1,100 | 2,910.72 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(億円) | 1,600 | -2,150 | 2,277.95 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 211.81 | -284.51 | 301.57 |
売上高は前回予想比7.7%増、経常利益は40.5%減の見込み。売上高は前期実績を上回る一方、経常利益は前期を下回り、純利益は黒字から赤字に変わる。
浜岡原発の申請取り下げを受け減損
浜岡原子力発電所の再稼働時期や安全対策工事を巡る不確実性が高まったことから、中部電力は原子力発電事業の資産などを減損処理する。中間連結会計期間に計上する特別損失は合計3703億円となった。
- 減損損失: 原子力発電事業に関する電気事業固定資産や固定資産仮勘定など3049億円。
- 通期見通し: 第3四半期以降に実施する設備投資などの減損損失約100億円を含め、特別損失は合計3800億円程度となる見込み。
同社は、調査委員会から2026年9月11日に報告書を受領した後、同月25日に浜岡原発3、4号機の新規制基準に関する原子炉設置変更許可申請書などを取り下げた。申請資料や審査対応への信頼性に重大な疑義が生じ、将来の事業シナリオを特定しにくくなったことを減損の背景としている。
JERAの改善見込みをミライズの悪化が上回る
経常利益の下方修正には、中東情勢の長期化などを背景に、JERAの収支改善を見込む一方で、中部電力ミライズの収支が悪化することが影響した。
- 中部電力ミライズ: 期ずれ差損の拡大に加え、電源調達費用の増加を見込む。
- JERA: 収支の向上を見込むものの、連結全体では前回予想比750億円程度の経常減益となる見通し。
- 原油CIF価格: 今回予想は1バレル105ドル程度で、前回の90ドル程度から引き上げた。
- 為替レート: 今回予想は1ドル157円程度で、前回の159円程度から見直した。
売上高の増加と利益の改善は連動しない内容となった。売上高の上方修正だけで業績全体を判断せず、電源調達費用や期ずれ差損、原発関連の特別損失を分けて見る必要がある。
再稼働時期と追加損失の不確実性
会社は、原発の運転停止がさらに長引き、再稼働後の販売収益が減る一方、安全性向上対策工事の費用が増えるケースを会計上の前提に置いた。実際の事業シナリオを特定できない中で、入手可能な情報に基づき将来キャッシュ・フローを見積もったとしている。
第3四半期以降の原子力発電設備の維持管理などに関する投資についても、減損損失として計上する見込みだ。業績予想は将来の不確実な要因を前提としており、会社は実際の業績が予想と大きく異なる可能性があると説明している。
開示前後の株価推移
開示当日の終値(2026/10/29)
2,681.5円
最新終値(2026/10/29)
2,681.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
中部電力をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電気・ガス業界の今
掲載19社中部電力は電気・ガス業界の掲載19社中、売上高で3位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +16.6%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- −22.6%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 2社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 7.8%
- 中部電力+28.0%
- 電気・ガス(業界平均)+16.6%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は8社合計で売上高+6.4%・営業利益+11.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は7社、下回る企業は7社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは2社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは中部電力(売上高+7.7%)。




タグ#中部電力#業績予想修正#浜岡原子力発電所#減損損失#核燃料評価損#電力#2027年3月期
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今回の純損失予想には浜岡原発関連の巨額な特別損失が大きく影響する一方、経常利益も前回予想から下がる見通しです。したがって、赤字の規模だけでなく、電源調達費用や期ずれ差損が利益に与える影響も注視したいところです。原発の再稼働時期や追加の安全対策費用が見通しにくく、損失計上が今回で確定するとは限らない点も、今後の開示を読むうえで重要です。
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