中部電力が浜岡原発の基準地震動策定過程で選定手法を虚偽説明、規制庁に報告せまる
中部電力(9502)は14日、浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査において、基準地震動の算定方法や代表波の選定プロセスについて、事実と異なる説明を行っていたことを認める調査報告書を公表した。審査過程での虚偽対応が発覚し、再稼働への道はさらに遠のいた。

地震動評価での不正行為の詳細と経緯
中部電力の特別調査委員会(2026年1月〜9月実施)がまとめた報告書によると、同社は2014年以降、浜岡原発3・4号機の再稼働に向け行っていた新規制基準適合性審査において、長期間にわたり不適切な行為を行っていた。具体的には、地震の揺れを試算する「統計的グリーン関数法」における代表波の選定について、本来は計算結果の平均値からの残差が最小のものを選ぶべきところ、残差最小でない計算結果をあえて選定したり、計算条件の一部を変更したケースで既存の入力値を流用したりしていたことが認定された。また、異なる手法による評価結果を組み合わせる「ハイブリッド合成法」における接続周期の設定についても、適切な根拠なく行ったり、結果を加工して提示したりしていた。報告書は、これらの行為が統計的グリーン関数法が指向する客観性や透明性と相容れないと指摘し、適合性審査の前提である基準地震動の妥当性を著しく損なうものとした。
内部通報や監査機能の崩壊と経営層の関与
本件の背景には、社内のコンプライアンス体制の深刻な崩壊があった。2019年と2021年に地震動評価に関する内部通報(ヘルプライン通報)が2回行われていたが、主管部署である原子力土建部が自ら調査を行い、実態を隠蔽するような報告書を提出していた。また、適合性審査会合の資料を客観的にチェックする役割を担う「ライン外専門家」からも指摘を受けており、その後も是正されずに済んでいた。報告書は、これらの不正行為が行われた背景に、浜岡原発の早期再稼働を最優先し、それを正当化するための「独自の理論」が部署内に蔓延していたと分析。経営層もスケジュールの遅れを批判するなど圧力をかけ、現場が過酷な審査条件に対処できず、やむを得ず不正を行ったとの認識を示唆する供述もあったことが明らかにされた。
規制庁への報告状況と今後の影響予測
中部電力は2026年1月5日、本事案の発覚を受けて調査委員会を設置し、9月11日に最終報告書を受け取った。その後、規制庁との面談において、地震動評価の詳細や代表波選定の経緯について説明を求められており、事後的にバックデータを作成して虚偽の説明を行っていた疑いも含まれている。NRA(原子力規制委員会)は既に浜岡原発の新規制基準適合性審査の停止を決めており、本報告書の公表により、審査の再開にはさらなる時間と信頼回復努力が不可欠となる見込み。中部電力は報告書を受け、「意識・行動の変革」「組織風土の改革」「ガバナンス・牽制機能の変革・強化」を柱とする経営改革に取り組むと表明したが、原子力事業へのステークホルダーからの不信感は根強く、早期の再稼働期待は大きく後退した。
開示前後の株価推移
開示当日の終値(2026/9/14)
2,885円
最新終値(2026/10/23)
2,620円-9.2%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#中部電力#浜岡原子力発電所#コンプライアンス#内部通報#新規制基準#地震動評価#ガバナンス#NRA
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コメント
信頼回復の鍵は透明性の担保。本件は単なる技術的ミスではなく、組織風土とガバナンスの根本的な欠陥を示している。経営層が再稼働スケジュールを過度に優先させた圧力が、不正行為の温床となった可能性も示唆されており、中部電力は今後、技術的要因だけでなく、社内の心理的安全性や異議申立て機制の有効性について検証する必要がある。投資家にとっては、原子力事業存続のリスクが依然として高いことを意識し、再発防止策の実効性が担保されるまで慎重な姿勢を維持すべきだろう。
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