東京電力、2027年3月期第2四半期決算、営業赤字に転落し通期予想は未定

東京電力の2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比3.8%増えた一方、営業損益は黒字から赤字に転じました。燃料費などを含む営業費用が収益の伸びを上回り、営業損失を計上。親会社株主に帰属する中間純利益は黒字化しましたが、前年同期に計上した大規模な災害特別損失がなくなった影響が大きく、通期業績予想は中東情勢などを理由に未定です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3.3兆円 | +3.8% |
| 営業利益 | -337億円 | — |
| 純利益 | 527億円 | — |
| 営業利益率 | -1.0% |
この決算のポイント
- 1電気事業などの営業収益は前年同期比3.8%増の3兆2,713億円でした。
- 2営業損益は前年同期の2,170億円の黒字から336億円の赤字に転落しました。
- 3経常利益は前年同期比67.9%減の906億円で、営業外収益の増加だけでは補えませんでした。
- 4中間純利益は527億円の黒字でしたが、前年同期の7,123億円の赤字には災害特別損失が含まれます。
- 5中東情勢を受けて燃料価格の見通しが定まらず、通期業績予想は売上高・各利益とも未定です。
業績のポイント
東京電力(東京電力ホールディングス)の2027年3月期中間期は、売上高が前年同期比3.8%増の3兆2,713億円となった一方、営業損益は前年同期の黒字から336億円の赤字に転落しました。親会社株主に帰属する中間純利益は527億円の黒字でした。
- 営業費用: 前年同期の2兆9,332億円から3兆3,049億円へ増加し、売上高の伸びを上回りました。
- 経常利益: 前年同期比67.9%減の906億円でした。持分法による投資利益は増えたものの、営業損失を埋めきれませんでした。
- 純利益の比較: 前年同期は災害特別損失9041億円を計上しており、今期の黒字化にはその反動が含まれます。
増収でも営業赤字に転落した点が中間決算の核心です。前年同期の純損失からの改善だけを見ると、電力事業の採算回復を過大評価するおそれがあります。売上の増加が利益につながっていないため、今後は燃料価格や費用の動き、通期予想が示される時期が焦点です。
セグメント別動向
セグメントでは、外部顧客向け売上高が伸びた事業と、利益が悪化した事業が分かれました。セグメント利益は中間連結損益計算書の経常利益と調整される指標で、営業利益とは異なります。
| セグメント | 外部売上高の前年比 | セグメント利益の前年差(百万円) |
|---|---|---|
| ホールディングス | +32.9% | +155,754 |
| フュエル&パワー | -25.6% | +60,161 |
| パワーグリッド | +23.1% | -118,512 |
| エナジーパートナー | -2.8% | -178,728 |
| リニューアブルパワー | +96.1% | +14,985 |
ホールディングスとフュエル&パワーはセグメント利益が増えた一方、パワーグリッドとエナジーパートナーは黒字から赤字へ転じました。なかでもエナジーパートナーは外部売上高が減り、セグメント利益も悪化しています。リニューアブルパワーは売上高が大きく伸びたものの、全社の営業損失を補う規模には至っていません。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ホールディングス | 914億円 | 3% | - | - |
| フュエル&パワー | 14億円 | 0% | - | - |
| パワーグリッド | 7,502億円 | 23% | - | - |
| エナジーパートナー | 2.4兆円 | 73% | - | - |
| リニューアブルパワー | 523億円 | 2% | - | - |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末からほぼ横ばいで、自己資本比率は小幅に上昇しました。一方、営業活動によるキャッシュフローは前年同期のプラスからマイナスに転じており、利益だけでなく資金の動きにも注意が必要です。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・中間期 | 前期末・前年同期 | 比較 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 15,567,486 | 15,575,602 | 前期末比 -0.1% |
| 自己資本比率 | 22.2% | 21.8% | +0.4ポイント |
| 営業CF(百万円) | -86,304 | 164,632 | 前年同期から減少 |
| 投資CF(百万円) | -427,680 | -410,515 | 支出が拡大 |
| 財務CF(百万円) | 193,721 | -59,547 | プラスに転換 |
普通株式の配当は中間・期末ともに0円で、年間配当予想も0円です。配当予想の修正はなく、自社株買いの記載もありません。営業CFがマイナスとなるなか、投資活動の支出を続け、財務活動では資金を確保しており、株主還元よりも事業運営や資金繰りへの対応が優先される状況です。
通期見通し
東京電力は2027年3月期の連結業績予想を、売上高・営業損益・経常損益・親会社株主に帰属する当期純損益のすべてで未定としました。前回公表予想からの修正幅や、通期の数値目標は示されていません。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 未定の理由 |
|---|---|---|
| 売上高 | 未定 | 燃料価格などの見通しが不透明 |
| 営業損益 | 未定 | 中東情勢等の影響を見極め中 |
| 経常損益 | 未定 | 燃料価格などの見通しが不透明 |
| 親会社株主に帰属する当期純損益 | 未定 | 中東情勢等の影響を見極め中 |
会社は、中東情勢などの影響で燃料価格の見通しが不透明なため、現時点では具体的な予想を示せないと説明しています。見通しを提示できる状況になった段階で、速やかに公表するとしています。足元では中間期の営業損失が出ているため、予想の公表時には燃料費の前提と利益回復の道筋が重要になります。
リスクと課題
短期的には燃料価格の変動と、営業損失からの回復が焦点です。福島第一原発の廃炉・賠償についても、将来費用を確定しにくい要素が残っています。
- 燃料価格と中東情勢: 地政学的な変化で燃料価格の見通しがぶれれば、調達費用や収益に影響し、通期予想の策定も難しくなります。
- 営業採算の悪化: 売上高が増えた一方で営業費用がそれを上回って増加しました。費用の増加が続けば、営業損失が拡大する可能性があります。
- 廃炉・賠償費用の不確実性: 福島第一原発の廃炉は前例のない取り組みで、燃料デブリの取り出しなどの進展に応じて費用見積もりが変動する可能性があります。
- 賠償額を見積もれない損害: ALPS処理水の海洋放出後に生じた輸入停止措置などによる損害は、被害状況の全容を把握できず、合理的な見積もりが難しい部分が残っています。
- 資金繰り: 営業CFがマイナスとなり、投資CFも支出超過でした。資金調達やキャッシュの動向が継続的な課題です。
これらの不確実性は、利益見通しだけでなく、将来の費用負担や資金需要にも影響します。通期予想の公表後は、燃料価格の前提と廃炉・賠償に関する費用の変化を合わせて確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
495.1円
最新終値(2026/10/29)
495.1円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
東京電力をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電気・ガス業界の今
掲載19社東京電力は電気・ガス業界の掲載19社中、売上高で1位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +16.6%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- −22.6%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 2社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 7.8%
- 東京電力−33.8%
- 電気・ガス(業界平均)+16.6%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は8社合計で売上高+6.4%・営業利益+11.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は7社、下回る企業は7社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは2社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは中部電力(売上高+7.7%)。




タグ#東京電力#決算#決算分析#四半期決算#2027年3月期#営業赤字#燃料価格#原発廃炉
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売上高の増加だけでは利益回復を判断できず、営業赤字への転落は重く受け止めるべき内容です。中間純利益の黒字化は前年の大規模な災害特別損失がなくなった影響を含むため、通常の収益力が大きく改善したと結論づけるのは早計です。
投資家にとっては、通期予想が未定のまま残る不確実性が大きな焦点です。就職活動中の学生は、電力供給を支える事業の重要性に加え、燃料価格の変動や廃炉・賠償という長期課題を抱える経営環境にも目を向けたいところです。
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