東京ガス、2027年3月期第2四半期決算、営業利益8.4%増も純利益23.6%減

東京ガスの2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比2.1%増、営業利益が8.4%増となる一方、親会社株主に帰属する中間純利益は23.6%減でした。北米シェールガス事業の増収などが営業利益を押し上げましたが、前年同期に計上した為替換算調整勘定取崩益がなくなり、純利益は減少しました。通期は売上高の増加を見込む一方、営業利益・純利益は前期を下回る予想です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.4兆円 | +2.1% | 3.2兆円 | 43% |
| 営業利益 | 1,033億円 | +8.4% | 1,740億円 | 59% |
| 純利益 | 990億円 | -23.6% | 1,400億円 | 71% |
| 営業利益率 | 7.5% | |||
この決算のポイント
- 1海外セグメント利益は北米シェールガス事業などが寄与し、前年同期比129.5%増
- 2エネルギー・ソリューションのセグメント利益は販売量減や原価増で22.9%減
- 3都市ガス販売量は2.5%減、電力販売量は7.9%減。小売契約件数は増加
- 4年間配当予想は前期の110円から120円へ増配。中間配当も50円から60円に増加
- 5通期営業利益予想は1,740億円で前期比12.0%減。業績予想の修正あり
業績のポイント
東京ガス(東京瓦斯株式会社)の中間期は、売上高が1兆3,758億円(前年同期比2.1%増)、営業利益が1,032億円(同8.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が990億円(同23.6%減)でした。営業利益の伸びに対し純利益が減ったのは、前年同期に為替換算調整勘定取崩益を特別利益として計上していた反動が大きいためです。
- 売上高: ガス・電力販売量は減ったものの、北米シェールガス事業の増収などで前年同期比283億円増
- 営業利益: 原油価格上昇などで営業費用は203億円増となった一方、営業利益は80億円増
- 経常利益: 1,079億円と前年同期比25.2%増。営業外損益の改善も寄与
- 中間純利益: 前年同期の為替換算調整勘定取崩益がなくなり、前年同期比306億円減
営業増益と純利益減益が分かれた決算です。営業段階では海外事業が伸びた一方、国内のガス・電力需要は弱く、原油高もコストを押し上げました。純利益の減少は本業の営業利益の悪化を示すものではなく、前年の一時的な特別利益との比較が影響しています。
セグメント別動向
海外事業の利益拡大が全体を支えた一方、主力のエネルギー・ソリューションは減益でした。以下の売上高はセグメント情報の外部顧客向け売上高、利益は各セグメントの営業損益です。
エネルギー・ソリューションは売上高1兆1,696億円(前年同期比0.6%減)、セグメント利益は770億円(同22.9%減)でした。都市ガス販売量は2.5%減、電力販売量は7.9%減で、気温影響による需要減や業務用・工業用の販売減が響きました。円安や原油高による原価上昇も利益を圧迫しています。
海外は売上高1,380億円(同25.4%増)、セグメント利益537億円(同129.5%増)と大幅な増収増益でした。北米シェールガス事業の増収に加え、持分法投資損益が前年の損失から利益に転じたことが押し上げ要因です。
- ネットワーク: 売上高470億円(同0.8%増)。営業損失は142億円と、前年同期から32億円改善
- 都市ビジネス: 売上高213億円(同21.4%増)、営業利益91億円(同50.3%増)。利益には持分法投資損失を含まない営業損益を記載
海外の利益成長が国内主力の減益を補う構図です。ガス・電力の小売契約件数は増加していますが、販売量の減少が続けば、主力事業の収益回復には販売量以外の付加価値や原価管理も重要になります。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー・ソリューション | 1.2兆円 | 85% | 763億円 | 6.5% |
| ネットワーク | 470億円 | 3% | -142億円 | -30.3% |
| 海外 | 1,380億円 | 10% | 517億円 | 37.4% |
| 都市ビジネス | 213億円 | 2% | 91億円 | 42.6% |
財務状況と資本政策
9月末の総資産は4兆1,354億円と2026年3月末から6.2%増えました。自己資本比率は42.4%で、前期末から1.7ポイント低下しています。
| 項目 | 2026年9月末・中間期 | 2026年3月末・前期末 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 総資産(億円) | 41,354 | 38,923 | +6.2% |
| 自己資本比率 | 42.4% | 44.1% | -1.7ポイント |
| 現金及び預金(億円) | 3,599 | 1,871 | +92.3% |
| 中間配当(円) | 60 | 50 | +10円 |
| 年間配当予想(円) | 120 | 110 | +10円 |
東京ガスは2026年5月から9月にかけて自己株式801万株を約500億円で取得し、4月には自己株式3,613万株を消却しました。負債は社債発行やコマーシャル・ペーパーなどで前期末比11.1%増となり、総資産の伸びが自己資本の伸びを上回ったことが自己資本比率の低下につながっています。現金及び預金の増加は貸借対照表上の残高であり、この短信の記載範囲にはキャッシュ・フロー計算書の数値はありません。
通期見通し
2027年3月期の売上高は3兆1,940億円(前期比12.7%増)を見込む一方、営業利益は1,740億円(同12.0%減)、純利益は1,400億円(同38.3%減)の予想です。決算短信は直近の業績予想からの修正が「有」としていますが、今回の資料本文に修正前の数値は掲載されていないため、修正幅は比較できません。
| 項目(億円) | 2027年3月期予想 | 2026年3月期実績 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 31,940 | 28,347 | +12.7% |
| 営業利益 | 1,740 | 1,976 | -12.0% |
| 経常利益 | 1,600 | 1,937 | -17.4% |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 1,400 | 2,268 | -38.3% |
都市ガス販売量は通期で1.7%減、電力販売量は0.3%減を見込んでおり、国内販売量の大幅な伸びを前提としない計画です。会社の見通しでは為替レートは1ドル157.24円、原油価格は1バレル104.54ドルで、いずれも前期実績より円安・原油高の水準です。売上高の増加が利益の増加に結び付かない予想であり、原価や海外事業の収益動向が通期の焦点になります。
リスクと課題
中間期は海外事業が利益を伸ばしましたが、ガス・電力販売量の減少や原油高など、主力事業の収益を左右する要因も表面化しました。今後はエネルギー価格や為替の変動に加え、需要動向と海外事業の収益性を確認する必要があります。
- 国内需要の減少: 業務用・工業用の需要減や気温影響で都市ガス販売量が前年同期比2.5%減。電力販売量も7.9%減となり、主力事業の売上・利益を圧迫する可能性
- 原油価格の上昇: 中間期の原油価格は1バレル108.07ドルと前年同期の73.69ドルを上回り、売上原価の増加要因になりました
- 為替変動: 中間期の為替レートは1ドル159.49円。円安は海外事業の円換算額を押し上げる一方、エネルギー調達コストや資産評価にも影響します
- 通期利益の減少予想: 営業利益は前期比12.0%減、純利益は38.3%減の見通し。販売量、原油価格、海外事業の利益が計画に届くかが課題です
東京ガスは通期の為替・原油価格前提を公表していますが、実際の市況が想定から離れれば業績も変動し得ます。海外事業の伸びが続くかだけでなく、国内エネルギー事業の採算をどこまで維持できるかが重要です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
6,446円
最新終値(2026/10/29)
6,446円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
東京ガスをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電気・ガス業界の今
掲載19社東京ガスは電気・ガス業界の掲載19社中、売上高で4位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +16.6%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- −22.6%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 2社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 7.8%
- 東京ガス+21.1%
- 電気・ガス(業界平均)+16.6%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は8社合計で売上高+6.4%・営業利益+11.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は7社、下回る企業は7社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは2社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは中部電力(売上高+7.7%)。




タグ#東京ガス#決算#決算分析#四半期決算#2027年3月期#海外事業#エネルギー事業#増配#自己株式取得
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営業利益の増加だけを見ると堅調ですが、利益成長の主役は海外事業で、国内のガス・電力販売量はともに減少しています。海外の好調が続くかに加え、主力事業の減益をどう止めるかが、この先の評価を左右しそうです。
年間配当の増額や自己株式取得・消却は株主還元を意識した動きです。一方、通期予想は増収減益で、前年の特別利益の反動もあるため、次の決算では営業利益の進捗と海外事業の利益水準を分けて見る必要があります。
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