ニチガス、2027年3月期第2四半期決算、増収も電力事業の採算悪化で営業減益
ニチガスの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比10.6%増の975億円となった一方、営業利益は12.0%減の43億円で、増収減益でした。LPガス販売の伸びやプラットフォーム事業の拡大が売上を押し上げましたが、燃料高と電力販売量の減少で電気事業の利益が縮小しました。通期予想は据え置き、株式分割後換算の年間配当予想は前期比増配となります。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 976億円 | +10.6% | — | — |
| 営業利益 | 44億円 | -12.0% | 200億円 | 22% |
| 純利益 | 29億円 | -15.6% | 140億円 | 21% |
| 営業利益率 | 4.5% | |||
この決算のポイント
- 1LPガスの家庭用販売量は前年同期比5.4%増、お客さま件数は106万件に拡大
- 2電気事業の売上総利益は前年同期比74.3%減、燃料高と販売量の減少が響く
- 3プラットフォーム事業の売上高は92億円、グループ入りした事業会社が寄与
- 4通期営業利益予想は200億円で据え置き、前期比6.0%減を見込む
- 5株式分割前換算の年間配当予想は110.50円で、前期実績103円から増配
業績のポイント
ニチガス(日本瓦斯)は、2027年3月期中間期に売上高が前年同期比10.6%増の975億円となる一方、営業利益は12.0%減の43億円、親会社株主に帰属する中間純利益は15.6%減の29億円でした。売上は伸びましたが、電気事業の採算悪化で利益は前年を下回りました。
- LPガス販売: 家庭用を中心に販売量が伸び、原料高を背景に業務用の利幅も拡大しました。
- 電気事業: 燃料価格の上昇と空調需要の伸び悩みによる販売量減少で、売上総利益が大きく縮小しました。
- プラットフォーム事業: グループ入りした企業の寄与などで売上が増え、報告セグメントとして独立しました。
売上総利益は前年同期比2.3%減の313億円で、売上高の増加がそのまま利益増につながっていません。電気事業の利益減少がLPガス事業の増益を上回り、経常利益も14.1%減の43億円となりました。売上拡大と利益回復に差が出ており、今後は電力の調達環境と販売量の持ち直しが焦点です。
セグメント別動向
セグメント利益の前年同期比では、LPガス事業やプラットフォーム事業が伸びた一方、電気事業の落ち込みが目立ちました。なお、短信のセグメント利益は売上総利益に相当する開示値で、全社の営業利益とは集計範囲が異なります。
LPガス事業は、家庭用販売量が前年同期比5.4%増、業務用が3.1%増となり、お客さま件数も前期末から増加しました。前期の猛暑に比べ気温が緩やかに推移したことや、業務用の利幅拡大、高性能給湯器・コンロの販売が寄与しました。
電気事業は、セグメント利益が前年同期比74.3%減となりました。夏季の燃料価格が採算を圧迫し、家庭用販売量も13.2%減でした。一方、顧客数は前期末から増加し、電気のセット率も上昇しています。
都市ガス事業は、ガス販売量が概ね前年並みで、原料価格上昇によるスライドタイムラグが利益を押し下げました。機器・工事の利益増や顧客数の純増が下支えしています。
プラットフォーム事業は、グループ入りした企業の寄与で利益が前年同期比18.1%増となりました。人手不足やコスト上昇を受け、他のLPガス事業者との託送・保安などの共同利用を広げる方針です。
- LPガス+7.6%
- 電気-74.3%
- 都市ガス-0.7%
- プラットフォーム+18.1%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| LPガス事業 | 400億円 | 41% | 214億円 | 53.4% |
| 電気事業 | 218億円 | 22% | 8億円 | 3.7% |
| 都市ガス事業 | 265億円 | 27% | 83億円 | 31.2% |
| プラットフォーム事業 | 92億円 | 9% | 9億円 | 9.6% |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は1,508億円で、前期末から128億円減少しました。自己資本比率は43.2%と、前期末の40.9%から上昇しています。
| 項目 | 2027年3月期中間期 | 前年同期・前期末との比較 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 27億円 | 前年同期比57億円減 |
| 投資キャッシュフロー | -36億円 | 前年同期とほぼ同水準 |
| フリーキャッシュフロー | -9億円 | 前年同期は49億円の黒字 |
| 中間期末の現金同等物 | 174億円 | 前期末から64億円減 |
| 配当予想(株式分割前換算) | 年間110.50円 | 前期実績103円から7.3%増 |
営業キャッシュフローは税引前利益の減少に加え、原料高による在庫増や資材の先行手配が響き、前年同期から縮小しました。都市ガス導管の更新や配送拠点の整備を進める一方、ICT投資は運用段階に移り、投資額は漸減しています。
配当予想に変更はありません。自己株式を中間期末までに2億8,800万円取得し、5月には株式の消却も実施しました。会社はROIC向上を掲げ、自己資本比率40%を意識した資本構成と、適切なタイミングでの自己株式取得を目指しています。
通期見通し
2027年3月期の業績予想は、7月公表値から変更ありません。営業利益は200億円、親会社株主に帰属する当期純利益は140億円を見込み、いずれも前期を下回る計画です。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績(前年比からの概算) |
|---|---|---|---|
| 営業利益(百万円) | 20,000 | 20,000 | 約21,277 |
| 経常利益(百万円) | 20,000 | 20,000 | 約21,210 |
| 当期純利益(百万円) | 14,000 | 14,000 | 約14,815 |
前期実績の金額は、短信に記載された前年比から逆算した概算です。今回予想の前年比は営業利益6.0%減、経常利益5.7%減、純利益5.5%減で、会社は見通しを維持しました。
中間期は売上高が増えたものの、電気事業の利益縮小を受けて営業利益は前年割れでした。通期計画の達成には、下期の電力事業の採算改善と、LPガス・都市ガスの顧客基盤拡大が重要になります。
リスクと課題
会社は地政学リスクや自然災害の増加を挙げ、安全・安定供給と保安の重要性が高まっていると説明しています。利益面では燃料価格や需要の変動に加え、業界の人手不足やコスト上昇への対応が課題です。
- エネルギー価格の上昇: 中東情勢などで燃料価格が高騰すると、電力調達やガス原料のコストが増え、利幅を圧迫する可能性があります。
- 気候と需要の変動: 気温や天候で冷暖房需要やガス販売量が変わり、販売量と利益の見通しに影響します。
- 為替・金利の変化: 歴史的な円安や日銀の利上げは、仕入れコストや資金調達環境を通じて業績に影響するおそれがあります。
- 災害と保安対応: 地震・豪雨などによる設備被害や停電は、安定供給と安全確保の負担を高めます。
- 人手不足と業界再編: LPガス業界の人材・物流コストの課題に対し、連携やプラットフォーム共同利用を進められるかが成長の鍵です。
戦略トピック
ニチガスは、LPガス業界で細分化されている充填・配送・保安の仕組みを、事業者や地域を越えて統合・共有する戦略を進めています。中間期からプラットフォーム事業を独立した報告セグメントとしたのも、事業の重要性が高まったためです。
- 共同利用の拡大: 充填工場や配送、保安の仕組みを共有し、稼働率や人員配置の改善を目指します。
- デジタル保安: AI・IoTを活用したガス漏洩の早期検知システム「スペース蛍」や、スマート保安の普及を進めます。
- 顧客接点の強化: デジタルで効率化する一方、現場での人による対応も重視し、顧客獲得と契約の長期化につなげます。
全国約1万4,000社のLPガス事業者が人手不足やコスト高に直面するなか、会社は事業者間の連携を広げて業界再編を促す考えです。設備や保安の共通基盤が広がれば、既存のガス販売に加え、プラットフォーム事業が新たな収益源になる可能性があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
939円
最新終値(2026/10/29)
939円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
ニチガスをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電気・ガス業界の今
掲載19社ニチガスは電気・ガス業界の掲載19社中、売上高で16位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +16.6%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- −22.6%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 2社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 7.8%
- ニチガス−1.5%
- 電気・ガス(業界平均)+16.6%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は8社合計で売上高+6.4%・営業利益+11.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は7社、下回る企業は7社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは2社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは中部電力(売上高+7.7%)。




タグ#ニチガス#決算#決算分析#四半期決算#LPガス#電気事業#プラットフォーム事業#増収減益#株式分割#配当
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LPガスの顧客基盤拡大とプラットフォーム事業の伸長は、販売だけに頼らない収益モデルをつくるうえで前向きです。一方、中間期は電気事業の利益減少が大きく、売上成長と利益成長が一致していません。
下期は電力の調達コストと販売量の改善が通期計画の達成を左右します。保安・配送などの共同利用が実際の利益率向上につながるかも、ニチガスの成長戦略を見極めるポイントです。
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掲載企業
日本瓦斯株式会社
東証 8174
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次回の決算発表
同業他社の発表予定
今後2週間に604社が決算発表 · 注目企業と進捗率を見る他の決算期
4期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期





