東邦ガス、2027年3月期第2四半期決算、原料費の期ずれで営業赤字
東邦ガスの2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比0.7%増の3,091億円となる一方、営業損益は3億円の赤字に転落し、親会社株主に帰属する中間純利益も66.5%減の67億円でした。原料費調整制度の期ずれが差益から差損に変わったことなどが響き、会社は通期純利益予想を上方修正する一方、営業利益予想を据え置きました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,092億円 | +0.7% | 7,000億円 | 44% |
| 営業利益 | -4億円 | — | 190億円 | -2% |
| 純利益 | 68億円 | -66.5% | 280億円 | 24% |
| 営業利益率 | -0.1% | |||
この決算のポイント
- 1原料費調整制度の期ずれが差損に転じ、営業損益は前年同期の黒字から3億円の赤字に転落。
- 2ガス販売量は前年同期比2.5%減、電気販売量は4.0%減。合計顧客数は1.1%増の314万件。
- 3通期純利益予想を前回の230億円から280億円へ上方修正、営業利益予想は190億円で据え置き。
- 4中間配当は株式分割後で1株11.25円、年間予想22.50円。前年の分割調整後と同額。
- 54月から9月に150億円の自己株式取得を実施し、10月には上限170億円の追加取得を決議。
業績のポイント
東邦ガス(東邦瓦斯)は2026年4〜9月期に増収となったものの、営業損益は前年同期の黒字から赤字に転落しました。売上高は前年同期比0.7%増の3,091億円、営業損益は238億円の黒字から3億円の赤字、親会社株主に帰属する中間純利益は66.5%減の67億円でした。
- 主因: 原料費調整制度による原材料費と売上高の期ずれ影響が、前年同期の差益から差損に転じました。
- 原価: 売上原価は前年同期比11.9%増の2,438億円。売上高の伸びを大きく上回り、利益を押し下げました。
- 販売量: ガスは前年同期比2.5%減、LPGは1.7%減、電気は4.0%減でした。
- 需要背景: 4、5月の気温が高めに推移した影響で家庭用ガス・LPGが減少。業務用ガスは顧客設備の稼働が前年同期を下回りました。
顧客数はガス、LPG、電気の合計で前年同期末から3万4,000件増の314万件となりましたが、販売量の減少と原料費の期ずれが利益を圧迫しました。原油価格は1バレル108.1ドルと前年同期より34.4ドル高く、為替も1ドル159.5円と13.5円の円安でした。売上の拡大だけでは利益改善につながらず、原料価格と料金反映のタイミングが今期の損益を大きく左右しています。
セグメント別動向
ガス事業は外部顧客向け売上高が前年同期比4.0%減の1,907億円、セグメント利益は96.5%減の7億円でした。ガス販売量が家庭用、業務用ともに前年同期を下回り、全体の利益を大きく押し下げました。会社はセグメント利益の減少要因を個別に定量開示していませんが、全社で説明した原料費調整制度の期ずれ影響が重なったとみられます。
電気事業は売上高が前年同期比4.2%増の521億円となった一方、セグメント損益は62億円の損失でした。利益は前年同期の12億円の黒字から悪化し、販売量も前年の高気温による需要増の反動などで4.0%減となりました。売上高の増加が利益の回復には結び付いていません。
LPG・その他エネルギー事業は、売上高が前年同期比14.1%増の484億円、セグメント利益は前年同期の4億円の損失から9億円の黒字に転じました。売上増の内訳や黒字化の個別要因は短信で説明されていません。その他事業は売上高が179億円で前年同期比11.8%増、利益は34億円で17.7%増でした。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ガス | 1,907億円 | 62% | 7億円 | 0.4% |
| LPG・その他エネルギー | 484億円 | 16% | 9億円 | 1.8% |
| 電気 | 521億円 | 17% | -63億円 | -12.0% |
| その他 | 179億円 | 6% | 34億円 | 19.1% |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末比588億円増の8,683億円、自己資本比率は前期末の59.0%から57.1%へ低下しました。投資有価証券の増加などで資産が膨らみ、社債の増加などで負債も増えています。
| 項目 | 2027年3月期中間期 | 前期末・前年との比較 |
|---|---|---|
| 総資産(億円) | 8,683 | 前期末比 +7.3% |
| 純資産(億円) | 4,961 | 前期末比 +3.9% |
| 自己資本比率 | 57.1% | 前期末 59.0% |
| 中間配当(円、分割後) | 11.25 | 前年中間配当を分割調整した額と同額 |
| 年間配当予想(円、分割後) | 22.50 | 前年実績を分割調整した額と同額 |
4〜9月には自己株式を150億円取得し、9月に前回の取得を終了しました。さらに10月29日、最大2,000万株・170億円の追加取得を決議しており、上限は自己株式を除く発行済み株式の5.7%です。株主還元を進める一方、投融資は通期で870億円を計画し、前期実績を46.7%上回ります。中間短信にはキャッシュ・フロー計算書の数値が示されていないため、営業キャッシュ・フローなどの評価には限界があります。
通期見通し
東邦ガスは2027年3月期の連結業績予想を修正し、売上高を7,000億円、親会社株主に帰属する当期純利益を280億円に引き上げました。営業利益と経常利益の予想は前回から据え置いています。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,700 | 7,000 | 6,510 |
| 営業利益 | 190 | 190 | 317 |
| 経常利益 | 250 | 250 | 378 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 230 | 280 | 314 |
会社は原油価格の前提を前回の1バレル100ドルから115ドルへ変更し、為替は1ドル160円で据え置きました。売上高予想は前回から300億円、純利益予想は50億円引き上げた一方、販売見通しでは電気の顧客数やガス・LPGの販売量を下方修正しています。通期では売上高が前期比7.5%増となる計画ですが、営業利益は40.2%減の見通しで、増収が利益成長を意味する状況ではありません。
リスクと課題
中間期は増収でも営業赤字となり、原料価格の変動や料金への反映時期が収益を左右する構図が表れました。販売量の減少も続いており、通期予想の達成には価格前提や需要の動きを見極める必要があります。
- 原料価格と為替: 原油高や円安が続けば調達費用が増える可能性があります。料金への反映との時間差が広がると、期ずれによる損益の振れが大きくなります。
- 販売量の減少: 中間期はガス、LPG、電気の販売量がいずれも前年同期を下回りました。気温や顧客設備の稼働状況が想定より弱ければ、売上や利益の下押し要因になります。
- 利益予想の達成: 通期営業利益予想は前期比40.2%減の190億円です。中間期に営業赤字となったため、下期に利益をどの程度回復できるかが焦点です。
- 財務負担の増加: 前期末から有利子負債残高が444億円増の2,174億円となり、自己資本比率も低下しました。投融資と株主還元を進めるなか、資金調達や財務の健全性を確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
1,235.5円
最新終値(2026/10/29)
1,235.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
東邦ガスをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電気・ガス業界の今
掲載19社東邦ガスは電気・ガス業界の掲載19社中、売上高で14位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +16.6%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- −22.6%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 2社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 7.8%
- 東邦ガス+8.2%
- 電気・ガス(業界平均)+16.6%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は8社合計で売上高+6.4%・営業利益+11.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は7社、下回る企業は7社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは2社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは中部電力(売上高+7.7%)。




タグ#東邦ガス#決算#決算分析#四半期決算#原料費調整制度#エネルギー事業#業績予想修正#自社株買い#配当
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注目点は、売上高が小幅増となった一方で営業損益が赤字に転じたことです。販売量の減少だけでなく、原料費調整制度の期ずれが利益を左右しており、短期の業績を売上成長だけで評価しにくい決算です。
純利益予想は上方修正されましたが、営業利益予想は据え置きで、前期実績も下回る見通しです。投資家は下期の営業利益回復と原料費の料金反映を、就職活動中の学生はガス以外の電気・LPG事業の収益性や投資の方向性を追いたいところです。
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掲載企業
東邦瓦斯株式会社
東証 9533
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