重工業・防衛・エネルギー機械6社、2026年3月期比較で見えた勝者と利益格差
6社の決算は、防衛・航空・電力需要が追い風となる一方、案件採算で明暗が分かれた。三菱重工は売上高と営業利益で首位となり、前年比も二桁増。対してカナデビアは増収ながら営業利益が54.8%減った。受注の強さだけでは勝てず、利益を残す実行力が問われる。なお住友重機械は2025年12月期で、他5社と決算期が異なる。
今期の総括
受注は強く、利益は選別
業界全体の動き
6社の売上高成長率は平均6.6%。営業利益率は平均6.8%でした。追い風は共通でも、利益への変換力には差が出ています。
- 防衛需要が重工各社を押し上げました。地政学リスクの高まりで、防衛装備や宇宙関連の案件が拡大しています。
- エネルギーと電力インフラも成長分野です。脱炭素投資に加え、AIやデータセンター向けの電力需要が支えています。
- 航空需要の回復も収益に寄与しました。IHIは民間航空エンジンの整備需要を取り込みました。
- 事業の選別が進んでいます。不採算事業の譲渡や資産売却で、利益率と資本効率を高める動きが目立ちました。
受注は強く、利益は選別が今期の特徴です。大型案件を確実に利益へつなげる力が問われています。
売上高ランキング
営業利益ランキング
営業利益率ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
総合的な勝者は三菱重工業です。売上高は4兆9,742億円で6社中首位。前年比14.1%増と、最大手ながら高い成長も示しました。営業利益は4,322億円で首位、前年比21.8%増です。防衛・宇宙とエナジーの伸びが、規模と成長を両立させました。
収益性ではIHIが先頭です。営業利益率は10.1%で首位となり、三菱重工の8.7%を上回りました。民間航空エンジンや防衛の伸びに加え、事業整理や資産売却も利益を支えています。
最も苦戦したのはカナデビアです。売上高は6,452億円、5.7%増でしたが、営業利益は122億円、54.8%減。営業利益率も1.9%と6社で最も低い水準です。海外子会社の技術トラブルや機械・脱炭素部門の不振が響きました。
一方、カナデビアの受注高は過去最高の8,977億円です。受注を採算の良い売上へ移せるかが、反転の条件になります。
- 好調
- 三菱重工業
- 苦戦
- カナデビア


注目の動き・戦略比較
各社は需要を追うだけでなく、稼ぐ事業の組み替えも進めています。
- 三菱重工業は防衛・宇宙とエナジーが成長をけん引しました。受注高は7兆6,536億円に達し、今後の売上を支える案件を積み上げています。
- IHIは不採算事業の整理や資産売却を進めました。売上高は1.0%増にとどまりましたが、営業利益は15.3%増。利益率も10.1%で首位です。
- 川崎重工業は航空宇宙とロボットが追い風でした。売上高は8.5%増ですが、営業利益は1.4%増。パワースポーツの採算低下が利益の伸びを抑えました。
- 住友重機械工業は受注高が24%増の1兆1,584億円でした。売上高は0.4%減、営業利益は6.6%減で、受注の売上化が次の焦点です。純利益の300.7%増には、前期の減損解消などが影響しました。
- カナデビアは受注高が最高を更新しました。一方、技術トラブルで営業利益は54.8%減。受注残を利益に変える施工・品質管理が課題です。
- 日本製鋼所は防衛や電力インフラ向けの需要を取り込みました。売上高は10.6%増、営業利益は10.9%増。不適切行為があった子会社の吸収合併も進め、ガバナンス強化を図ります。
規模では三菱重工、利益率ではIHIが強みを見せました。各社の戦略は、拡大一辺倒から採算重視へ移っています。
業界共通のリスク
需要が強くても、大型案件の採算や供給網が崩れれば利益は細ります。投資家も働く人も、受注額だけでなく実行力を確認したいところです。
- 案件採算の悪化:資材費や人件費の上昇が、長期契約の利益を圧迫します。
- 技術・品質トラブル:カナデビアのような海外案件の不具合は、追加費用や信用低下につながります。
- 需要の変動:航空、半導体、民間設備投資は景気や顧客の投資計画で揺れます。
- 為替と貿易政策:円相場や関税の変化が、輸出採算や顧客の投資判断に影響します。
- 人材と供給網:防衛・エネルギーの受注増に、生産能力や専門人材の確保が追いつかない可能性があります。
- 規制とガバナンス:安全保障、環境規制、品質管理への対応が、コストと事業継続を左右します。
順位変化と構造トレンド
売上高と営業利益の首位は、ともに三菱重工業でした。一方、営業利益率はIHIが首位で、会社の規模と稼ぐ効率は別の順位です。
売上高の伸び率では三菱重工が14.1%増で首位。日本製鋼所も10.6%増と高い成長を示しました。対照的に、住友重機械は0.4%減。同社の純利益は300.7%増ですが、営業利益は減少しており、利益回復の中身を分けて見る必要があります。
比較には決算期の違いにも注意が必要です。住友重機械は2025年12月期で、他社の2026年3月期とは対象期間が異なります。
就活生・転職希望者へ
防衛、航空、電力インフラの需要拡大は、技術職や品質管理、調達、プロジェクト管理の活躍機会を広げます。大型案件を動かす仕事では、専門知識だけでなく、社内外との調整力も重要です。
一方、受注増は納期や人手への負荷にもつながります。会社選びでは成長分野だけでなく、案件の採算管理や安全・品質体制も確認しましょう。カナデビアの減益は、技術トラブルが業績を大きく左右することを示しています。
タグ#重工業#防衛産業#エネルギー機械#三菱重工業#IHI#川崎重工業#住友重機械工業#カナデビア#日本製鋼所#航空エンジン#電力インフラ#決算比較
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