東京精密、2027年3月期第1四半期決算、受注高83%増で通期予想を上方修正
東京精密が発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比18.9%増の367億1600万円、営業利益が同29.2%増の59億2000万円と増収増益となった。生成AI関連需要の拡大を背景に半導体製造装置の受注が急拡大し、受注高は83.3%増の658億2000万円に達した。好調な受注環境を受けて通期業績予想を上方修正、生成AI需要が牽引した受注急増と上方修正の好決算である。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 367億円 | +18.9% | 1,890億円 | 19% |
| 営業利益 | 59億円 | +29.2% | 440億円 | 13% |
| 純利益 | 47億円 | +44.5% | 308億円 | 15% |
| 営業利益率 | 16.1% | |||
業績のポイント
東京精密(株式会社東京精密)が発表した2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)決算は、売上高が前年同期比18.9%増の367億1600万円、営業利益が同29.2%増の59億2000万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同44.5%増の46億6700万円と大幅な増収増益となった。
生成AIを含むHPC(高性能コンピューティング)やHBM(広帯域メモリ)向け半導体の旺盛な需要を背景に、半導体製造装置部門の受注が爆発的に拡大。連結受注高は前年同期比83.3%増の658億2000万円とほぼ倍増し、過去最高水準を更新した。この好調な受注動向を踏まえ、同社は2027年3月期通期の業績予想を上方修正。売上高を従来予想の1,815億円から1,890億円(同13.3%増)に、営業利益を400億円から440億円(同30.4%増)に引き上げた。生成AI関連を中心に受注が急増し、通期利益予想を大幅に上方修正したことが最大のポイントである。
また、年間配当金も前期比42円増の304円を計画し、株主還元姿勢を強めている。第1四半期として極めて好調なスタートとなり、投資家の期待を大きく上回る内容だった。
セグメント別動向
半導体製造装置部門は、受注高が532億3600万円(前年同期比101.8%増)と倍増し、業績を強力に牽引した。生成AI向けプローバを中心に、中国の半導体デバイス検査需要が急拡大しており、受注残も高水準で積み上がっている。売上高は285億1500万円(同21.1%増)、営業利益は54億900万円(同34.2%増)と、第2四半期に納期が偏重する期初計画に沿いつつも、順調な出荷が進んだ。営業利益率は19.0%に達し、収益性も高い。
計測機器部門は、受注高が125億8300万円(同32.1%増)と堅調に推移した。ハイブリッド車生産やAI向けデータセンタ、ロボット関連など、自動化・省人化需要が底堅く、外需を中心としたものづくり市場の回復が追い風となった。売上高は82億100万円(同11.8%増)だったが、納期の後半偏重により営業利益は5億1100万円(同6.9%減)と微減益。営業利益率は6.2%にとどまった。ただし受注は増加基調で、第2四半期以降の売上計上で挽回が期待される。
両部門の受注・売上比較を下表にまとめる。
| セグメント | 受注高(百万円) | 受注高前年比 | 売上高(百万円) | 売上高前年比 | 営業利益(百万円) | 営業利益前年比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 半導体製造装置 | 53,236 | +101.8% | 28,515 | +21.1% | 5,409 | +34.2% | 19.0% |
| 計測機器 | 12,583 | +32.1% | 8,201 | +11.8% | 511 | -6.9% | 6.2% |
半導体製造装置の受注が前年比2倍超となり、計測機器も堅調だが利益は微減と、明暗が分かれる結果となった。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 半導体製造装置 | 285億円 | 78% | 54億円 | 19.0% |
| 計測機器 | 82億円 | 22% | 5億円 | 6.2% |
通期見通し
東京精密は第1四半期の実績と足元の受注環境を踏まえ、2026年5月13日に公表した通期業績予想を上方修正した。修正の主な要因は、半導体製造装置・計測機器両部門における受注済案件の出荷計画見直しと、新規受注案件の積み上げだ。特に半導体製造装置の旺盛な引き合いは第1四半期以降も継続しており、通期で大幅増収増益を見込む。修正内容は下表の通り。
| 項目 | 前回予想(5月) | 今回修正 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 181,500 | 189,000 | 166,839 |
| 営業利益(百万円) | 40,000 | 44,000 | 33,738 |
| 経常利益(百万円) | 40,000 | 44,000 | 34,825 |
| 純利益(百万円) | 28,000 | 30,800 | 24,739 |
売上高予想は前期比13.3%増の1,890億円、営業利益は同30.4%増の440億円と、いずれも過去最高を更新する見通し。営業利益率は23.3%(前期20.2%)へと改善し、収益性のさらなる向上が期待される。なお、第2四半期に納期が集中する計画のため、四半期ごとの業績にばらつきが生じる可能性はあるが、通期では大幅な上方修正を達成し、最高益更新へ向かう構図だ。
配当も大幅増配を予定しており、株主還元と成長投資のバランスが取れた前向きな見通しと評価できる。
財務状況と資本政策
2027年3月期第1四半期末の総資産は2,515億3100万円で、前期末比9億9800万円増加した。受取手形や売掛金などの売上債権が85億2100万円減少した一方、受注増に対応するための棚卸資産が49億9400万円増加、現金及び預金も68億5100万円増加しており、事業拡大に伴う資産構成の変化が表れている。自己資本比率は75.6%(前期末76.3%)と依然高水準で、財務基盤は極めて安定している。
負債は前期末比18億5500万円増の594億7200万円だが、契約負債(前受金)が38億8600万円増加したことが主因で、受注好調の裏付けともいえる。有利子負債は長期借入金の一部返済により減少傾向にある。キャッシュ・フロー計算書は未作成だが、第1四半期の減価償却費は14億3700万円(前年同期12億3000万円)と、設備投資が着実に進んでいる。
株主還元では、2027年3月期の年間配当を前期比42円増の304円(中間152円、期末152円)に増額する計画だ。前期の262円からの大幅増配は、利益成長を株主に積極的に還元する姿勢を示す。自社株買いに関する明示的な記載はないが、高水準の自己資本と豊富なキャッシュを背景に、柔軟な資本政策が期待される。
リスクと課題
東京精密が決算短信で示した、ならびに外部環境から推測される主なリスク・課題は以下の通り。
- 地政学・サプライチェーンリスク: 中東情勢の緊迫化や米中対立の激化により、原油・原材料価格の高止まりや海上物流の混乱が続けば、製造コストの上昇や納期遅延につながる可能性がある。
- 半導体市況の変動: 生成AI特需は当面堅調とみられるが、市況のピークアウトや顧客の設備投資抑制が急に起こると、受注が失速するリスクがある。特に中国向け需要は政策変更などの不透明要因をはらむ。
- 為替変動: 円高方向に振れた場合、海外売上比率が高い同社の業績を押し下げる。前期は為替差益が営業外収益に貢献したが、為替動向は予測困難だ。
- 受注の集中・納期偏重: 半導体製造装置は案件の大型化・複雑化により、特定四半期に売上計上が偏りやすい。今回も第2四半期に集中する計画で、四半期業績の変動が株価の乱高下を招く懸念がある。
- 技術革新競争: 半導体製造装置市場では、次世代プロセスへの対応や競合他社の技術進歩によるシェア変動リスクが常に存在する。研究開発投資の継続が不可欠だ。
これらのリスクはあるものの、現在の受注動向や技術優位性を考慮すれば、生成AI関連需要の持続性が最大の焦点といえる。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/4)
18,060円
最新終値(2026/10/23)
15,520円-14.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#東京精密#決算#四半期決算#増収増益#上方修正#半導体製造装置#生成AI#受注高増#配当増額
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コメント
本決算で最も注目すべきは、半導体製造装置の受注高が前年同期比101.8%増と倍増した点だ。生成AI向けプローバの需要は想定以上に急速に拡大しており、中国市場の検査装置投資も好調である。受注の質的・量的な拡大が、今後の成長を強く示唆している。
一方、計測機器部門の利益微減は、納期偏重による一時的なものであり、受注自体は増加しているため、第2四半期以降の回復が期待される。通期の上方修正幅は売上高4.1%増に対し営業利益10.0%増と、利益の伸びが大きく、操業度の改善や価格転嫁が進展している可能性がある。
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