中国塗料、2027年3月期第2四半期決算、営業利益26%増で価格転嫁進む

中国塗料の2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比15.8%増、営業利益が26.4%増、純利益が33.5%増となり、増収増益でした。中国の新造船向け出荷や東南アジアの需要が伸び、原材料高に対する販売価格の調整も利益を押し上げました。中東情勢によるコスト上昇が続くなか、価格転嫁と高付加価値製品の拡販が業績を支えています。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 793億円 | +15.8% | 1,600億円 | 50% |
| 営業利益 | 114億円 | +26.4% | 200億円 | 57% |
| 純利益 | 79億円 | +33.5% | 130億円 | 61% |
| 営業利益率 | 14.4% | |||
この決算のポイント
- 1中国の新造船向けと東南アジアの需要が伸び、両地域の売上高はそれぞれ前年同期比34.5%、34.9%増。
- 2日本のセグメント利益は価格調整などで前年同期から20億99百万円増え、前年同期比111.1%増。
- 3欧州・米国は売上高が前年同期比2.2%減、セグメント利益は76.8%減と地域別で明暗。
- 4通期売上高予想は1,600億円、営業利益予想は200億円。中間期の営業利益進捗率は57.2%。
- 5年間配当予想は100円。前期の111円には特別配当14円が含まれ、普通配当ベースでは3円増。
業績のポイント
中国塗料(中国塗料株式会社)の2027年3月期中間期は、売上高793億42百万円(前年同期比15.8%増)、営業利益114億37百万円(同26.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益78億92百万円(同33.5%増)でした。売上高の伸びを利益の伸びが上回り、営業利益率は前年同期の13.2%から14.4%へ上昇しました。
- 販売価格の調整: 原材料価格や運送費、人件費の上昇を受け、日本を中心に価格を見直し、採算改善につなげました。
- 高付加価値製品の拡販: 船舶のCO2排出削減ニーズを背景に、高性能船底防汚塗料など環境対応型製品の販売を進めました。
- 原材料在庫の効果: 中間期の売上原価には価格高騰前に調達した原材料が含まれ、コスト上昇の利益への影響を一部抑えました。
- 営業外損益の改善: 為替差損がなくなったことなどから、経常利益は120億23百万円と前年同期比36.4%増でした。
値上げと製品構成の改善が増益を後押ししました。一方、中東情勢の緊迫化で原材料コストは上昇しており、価格改定が追いつかない地域や製品分野では利益が圧迫される可能性があります。中間期の好調を通期につなげるには、価格転嫁の継続と高採算製品の販売拡大が焦点です。
セグメント別動向
地域別では、日本、中国、東南アジアが増収増益となる一方、韓国と欧州・米国は減益でした。利益の前年比を比べると、日本と東南アジアの伸びが大きく、欧州・米国の落ち込みが目立ちます。
日本は、売上高が前年同期比21.5%増、セグメント利益は111.1%増でした。船舶用塗料の出荷が堅調で、原材料高を受けた価格調整に加え、工業用の重防食塗料も伸びました。
中国は、売上高が34.5%増となりました。新造船向けの出荷量が大きく増え、修繕船向けでも高付加価値製品が伸びましたが、原材料コスト上昇などでセグメント利益は3.7%減でした。
東南アジアは、売上高が34.9%増、セグメント利益が77.2%増でした。修繕船向けに加え、タイの重防食案件が好調で、コストに見合う価格設定も利益を押し上げました。
韓国は、前年同期に大型案件が集中した反動や造船所の工程遅延で売上高が6.0%減、利益も10.7%減でした。欧州・米国は、修繕船の入渠数減少やユーロ高による欧州の収益性低下で売上高が2.2%減、利益は76.8%減となりました。成長地域が欧米の減益を補う構図ですが、欧州・米国の採算回復が課題です。
- 日本+111.1%
- 中国-3.7%
- 韓国-10.7%
- 東南アジア+77.2%
- 欧州・米国-76.8%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 271億円 | 34% | 40億円 | 14.7% |
| 中国 | 146億円 | 18% | 15億円 | 10.6% |
| 韓国 | 90億円 | 11% | 12億円 | 13.4% |
| 東南アジア | 125億円 | 16% | 33億円 | 26.5% |
| 欧州・米国 | 162億円 | 20% | 2億円 | 1.3% |
通期見通し
会社は2027年3月期の連結業績予想を修正し、売上高1,600億円、営業利益200億円、親会社株主に帰属する当期純利益130億円を見込みます。いずれも前期比で増加する計画で、中間期の営業利益は通期予想の57.2%に達しました。
| 項目 | 通期予想 | 前期比 | 中間実績 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 160,000 | +14.8% | 79,342 | 49.6% |
| 営業利益(百万円) | 20,000 | +14.7% | 11,437 | 57.2% |
| 経常利益(百万円) | 20,500 | +14.9% | 12,023 | 58.6% |
| 純利益(百万円) | 13,000 | +18.2% | 7,892 | 60.7% |
短信は同日公表の「業績予想の修正に関するお知らせ」を参照するよう案内していますが、修正前の予想値は記載していません。このため、ここでは今回の予想と前期比を示しています。中間期の利益進捗は売上高の進捗を上回りますが、原材料価格の上昇や地域別の採算差が続くため、下期も価格調整と販売構成の改善が計画達成の鍵になります。
財務状況と資本政策
2026年9月末の総資産は1,692億33百万円で、2026年3月末から116億72百万円増加しました。自己資本比率は61.0%と期末から0.4ポイント上昇し、財務基盤は引き続き厚みがあります。
| 項目 | 2026年9月末・中間期 | 比較対象 | 増減・内容 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 169,233 | 2026年3月末 157,560 | +11,672 |
| 自己資本比率 | 61.0% | 2026年3月末 60.6% | +0.4ポイント |
| 営業CF(百万円) | 772 | 前年同期 2,927 | 減少 |
| 投資CF(百万円) | -330 | 前年同期 -660 | 支出縮小 |
| 財務CF(百万円) | -4,609 | 前年同期 -5,679 | 支出縮小 |
営業キャッシュフローは、税引前利益が増えた一方、売上債権や棚卸資産の増加、法人税の支払いが重なり、前年同期を下回りました。現金及び現金同等物は中間期末に349億29百万円で、期首から31億28百万円減少しています。
中間配当は1株50円で、前期の中間配当48円から2円増えました。年間配当予想は100円で、前期の111円には特別配当14円が含まれるため、普通配当ベースでは前期の97円から3円の増配計画です。中間期の自己株式取得支出はほぼなく、短信に大規模な自社株買いの記載はありません。
戦略トピック
中国塗料は完全子会社の神戸ペイントを2027年4月1日付で吸収合併する予定です。神戸ペイントも船舶用塗料を主力とし、合併後は中国塗料が存続会社となります。
- 一体運営を推進: 生産、製品ブランド、販売チャネルを一体化し、グループ経営の合理化と業務効率化を目指します。
- 株式や金銭の交付なし: 完全子会社との合併のため、新株発行や金銭の交付は行わない計画です。
- 会社の基本事項は維持: 商号、本店所在地、代表者、事業内容、資本金、決算期に変更はありません。
両社の事業運営をまとめることで、製造や販売の重複を見直し、効率を高める狙いがあります。統合後にどの程度コスト削減や製品・販売体制の強化につながるかが、実行面での注目点です。
リスクと課題
需要は地域や用途によって強弱があり、原材料高や地政学リスクが続くなかで、価格転嫁を利益に結びつけられるかが重要です。船舶用塗料の需要動向や為替の変化にも注意が必要です。
- 中東情勢と原材料価格: 調達不安や原材料価格の上昇が続けば、販売価格の調整が遅れる地域・分野で利益率を押し下げる可能性があります。
- 為替変動: 欧州・米国では米ドルに対するユーロ高が収益性低下の要因になりました。通貨の変動が続けば、海外事業の採算に影響します。
- 造船所の工程や入渠数: 韓国では一時的な工程遅延、欧州・米国では修繕船の入渠数減少が出荷に響きました。案件の集中や時期のずれが売上の振れにつながります。
- 運転資金の増加: 売上債権や棚卸資産が増え、中間期の営業キャッシュフローは前年同期を下回りました。今後も運転資金の増加が続けば、利益の伸びに比べて現金創出が弱くなる懸念があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
3,515円
最新終値(2026/10/30)
3,515円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
中国塗料をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて化学業界の今
掲載60社中国塗料は化学業界の掲載60社中、売上高で42位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +24.8%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +24.1%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 19社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 8.8%
- 中国塗料−15.1%
- 化学(業界平均)+24.8%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は36社合計で売上高+13.3%・営業利益+51.0%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は27社、下回る企業は4社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは19社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのは大阪有機(営業利益+45.3%)。





タグ#中国塗料#決算#決算分析#四半期決算#船舶用塗料#増収増益#価格転嫁#東南アジア#配当
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業績の強さは、船舶用塗料の需要増だけでなく、原材料高に対して販売価格を調整し、高付加価値品の販売を伸ばした点にあります。特に日本と東南アジアが利益成長をけん引し、価格設定の改善が数字に表れました。
一方、売上債権や在庫の増加で営業キャッシュフローは利益の伸びほど増えていません。下期は通期計画の達成だけでなく、売上を現金回収につなげられるか、欧州・米国の採算を持ち直せるかにも注目したいところです。
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