ジャフコ、2027年3月期第2四半期決算、営業利益15億円を確保

ジャフコの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上高59億68百万円、営業利益15億70百万円、中間純利益14億88百万円を計上した。前年同期は連結から個別への移行に伴い比較数値がなく、単純な増減は確認できない。投資先2社のIPOがあった一方、国内投資分のキャピタルゲインは前期通期実績との年換算比較で30.9%にとどまり、業績は上場・売却環境に左右される構図が続く。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 60億円 | — |
| 営業利益 | 16億円 | — |
| 純利益 | 15億円 | — |
| 営業利益率 | 26.3% |
この決算のポイント
- 1国内投資分のキャピタルゲインは前期通期との年換算比較で30.9%にとどまった
- 2投資先2社がIPOし、バイアウト投資では1社の株式譲渡を実施した
- 3管理収入は前期通期との年換算比較で10.7%増、成功報酬は同47.4%に低下した
- 4営業キャッシュフローは56億70百万円、投資活動への支出は32億4百万円だった
- 5年間配当予想は最低133円で前期と同額、DOE6%と配当性向50%を基準にする
業績のポイント
ジャフコ(ジャフコ グループ)の2027年3月期中間期は、売上高が59億68百万円、営業利益が15億70百万円、中間純利益が14億88百万円だった。前年同期は非連結決算への移行により比較数値がなく、前年比は算出されていない。
- 売上の内訳: 営業投資有価証券の売上高は40億6百万円、ファンドの管理収入は19億61百万円だった。
- 投資回収: 投資先のIPOはベンチャー投資で2社、バイアウト投資では主なEXITとして1社の株式を譲渡した。
- キャピタルゲイン: 国内投資分は14億63百万円。前期の国内投資分実績に対する年換算比較は30.9%で、会社は前事業年度の水準を下回ったとしている。
- 費用・損益: 投資損失引当金の純額は7,200万円の戻入れだった一方、他社ファンド運用損2億19百万円を営業外費用に計上した。
IPOがあっても利益の柱は弱含み。国内投資分のキャピタルゲインが前年の通期水準を大きく下回る一方、管理報酬は新ファンドの運用開始を背景に伸びた。前年同期との比較ができず、今回の利益水準を単純に増益・減益と評価するのではなく、EXIT収益と継続的な管理報酬の両方を追う必要がある。
セグメント別動向
ファンド運用事業は単一セグメントで、売上高59億68百万円、営業利益15億70百万円、営業利益率は26.3%だった。前年同期の比較はなく、投資実行額やEXITの動きから事業の勢いを補う必要がある。
| ファンド運用の指標 | 中間期実績 | 前期通期との比較 |
|---|---|---|
| ベンチャー投資実行額 | 57億48百万円 | 年換算で86.0% |
| バイアウト投資実行額 | 1億95百万円 | 年換算で6.5% |
| 投資実行額合計 | 59億43百万円 | 年換算で61.4% |
| IPO社数 | 2社 | 前期通期は2社 |
| IPO投資額に対する初値評価額 | 2.7倍 | 前期通期は2.1倍 |
投資実行はベンチャー投資が中心だった一方、バイアウト投資は低水準にとどまった。IPOは2社と前期通期の社数に並び、初値評価額も投資額の2.7倍となったが、上場後の評価が実際の売却収益に結び付くかは別の論点だ。管理収入では、SV8シリーズの運用開始を受けて管理報酬が前期通期との年換算比較で19.4%増えた一方、EXITの低調さから成功報酬は同47.4%となった。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ファンド運用事業 | 60億円 | 100% | 16億円 | 26.3% |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は1,590億62百万円で前期末から12億6百万円増加し、自己資本比率は84.7%だった。営業活動によるキャッシュフローは56億70百万円の収入を確保した。
| 項目 | 2026年9月末・中間期 | 前期末比・前期実績 |
|---|---|---|
| 総資産 | 1,590億62百万円 | +12億6百万円 |
| 純資産 | 1,347億29百万円 | +6億16百万円 |
| 自己資本比率 | 84.7% | -0.3ポイント |
| 営業活動によるCF | +56億70百万円 | 中間期実績 |
| 投資活動によるCF | -32億4百万円 | 中間期実績 |
| 財務活動によるCF | -35億26百万円 | 中間期実績 |
- 配当: 中間配当は66.5円。通期予想は期末66.5円を最低額とし、年間133円を最低額とする。前期の年間配当は133円だった。
- 株主還元方針: 年間配当はDOE6%と配当性向50%のいずれか大きい金額を基準とし、中間配当はDOE3%を基準にする。
- 自己株式取得: キャッシュフロー計算書上の取得支出は0百万円未満の表示で、自己株買いの大きな実施は確認できない。
投資有価証券の時価変動などを受けて資産・負債・純資産が増加したと会社は説明している。配当は最低額を明示する仕組みを導入しており、株式市場やIPOの動向で利益が振れやすい事業特性を踏まえつつ、株主還元の下限を示す方針といえる。
戦略トピック
ジャフコは国内ファンドの運用を軸とし、募集中のジャフコSV8シリーズのファンド総額は中間期末時点で688億円となった。前回のSV7シリーズの総額978億円を上回る規模を目標に、募集を続けている。
- ファンド運用の拡大: SV8シリーズは2025年12月に設立。今中間期から運用が始まり、国内投資に係る管理報酬の増加につながった。
- 海外事業の整理: JAFCO Investment (Asia Pacific) Ltd.は2025年10月に、JAFCO America Ventures Inc.(Icon Ventures)は2026年1月に譲渡を完了した。
- 決算方式の変更: 子会社がなくなったことに伴い、前第3四半期から連結決算を個別決算へ移行。前中間期の財務諸表がないため、前年同期比を開示していない。
海外子会社の譲渡後は、国内ファンドの投資・運用実績が業績を読み解く中心となる。SV8の募集目標達成に向けた資金集めに加え、投資先のIPOやM&AによるEXITを安定して実現できるかが、今後の管理報酬と成功報酬の双方に影響する。
リスクと課題
会社は、株式市場や新規上場市場の動向を強く受け、収益水準の振れが大きいため、合理的な業績予想は困難としている。実際に今回も前年同期比較と通期業績予想を開示していない。
- IPO・株式市場の変動: 上場環境や株価の変化は、保有株式の評価や売却益に影響する。投資先にIPOがあっても、売却時期や市場価格次第でキャピタルゲインは変動する。
- EXITの低迷: 国内投資分のキャピタルゲインは前事業年度の水準を下回った。EXITが少ない状態が続けば、成功報酬や投資回収の収益が弱まる可能性がある。
- 未上場投資の評価損: 投資損失引当金残高は88億68百万円で、未上場営業投資有価証券残高に対する引当率は19.9%。前期末の19.3%から上昇しており、投資先の事業進捗や評価の悪化に注意が必要だ。
- ファンドへの支払約束: 中間期末の出資金支払約束額は207億円で、前期末の136億3百万円を上回った。SV8シリーズ分を当第1四半期末から含めた変更があり、資金需要と投資機会の両面を確認したい。
管理報酬はファンド運用の継続収入となる一方、利益の振れを左右するキャピタルゲインや成功報酬は市場環境に依存する。投資先の評価損やファンドへの資金拠出が、将来の収益と手元資金にどう影響するかが課題となる。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/28)
2,190円
最新終値(2026/10/28)
2,190円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/28更新
ジャフコをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて証券業界の今
掲載13社ジャフコは証券業界の掲載13社中、売上高で11位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +22.5%全業界 +17.1%
- 予想の上方修正
- 1社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 13.8%
- ジャフコ−7.8%
- 証券(業界平均)+22.5%
- 全業界+17.1%
- 予想修正今期予想を上方修正したのは1社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのは日本取引所(営業利益+34.3%)。
- 会社計画2027年度の会社計画(2社合計)は営業利益+29.6%。営業利益の伸びは全業界の計画(+11.4%)を上回る。




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今回の数字で注目したいのは、IPOが2社あってもキャピタルゲインが前事業年度の水準を大きく下回った点です。投資先の上場数だけでは回収収益を測れず、売却のタイミングや市場価格が利益を左右するベンチャーキャピタル特有の不安定さが表れています。
一方、SV8シリーズの運用開始で管理報酬が増えており、ファンドの積み上がりは収益基盤を支える材料です。SV8の資金募集と投資先のEXITが進み、継続収入と成功報酬の両方を伸ばせるかを次の決算で見たいところです。
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