日本取引所、2027年3月期第2四半期決算、営業利益65%増で通期予想を維持

日本取引所の2027年3月期第2四半期決算は、営業収益が前年同期比46.7%増、営業利益が65.1%増、親会社株主に帰属する中間利益が65.6%増となる大幅な増収増益だった。現物株の売買代金増加を背景に取引料が伸び、清算関連収益も拡大した。9月に公表した通期予想と年間配当予想は据え置き、年間配当は前期比21円増の82円を見込む。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,310億円 | +46.7% | 2,525億円 | 52% |
| 営業利益 | 847億円 | +65.1% | 1,545億円 | 55% |
| 純利益 | 572億円 | +65.6% | 1,050億円 | 54% |
| 営業利益率 | 64.6% | |||
この決算のポイント
- 1現物売買代金の増加などで取引関連収益は前年同期比54.9%増の538億70百万円。
- 2清算関連収益は前年同期比79.5%増の413億99百万円となり、収益拡大を支えた。
- 3情報関連収益は前年同期比15.7%増の188億31百万円、上場関連収益は16.4%増。
- 4通期営業利益予想は1,545億円で据え置き、中間期の進捗率は54.8%。
- 5年間配当予想は82円で前期比21円増。配当性向60%以上を目標に掲げる。
業績のポイント
日本取引所(日本取引所グループ)の2027年3月期中間期は、営業収益が1,310億2百万円(前年同期比46.7%増)、営業利益が846億68百万円(同65.1%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益が572億10百万円(同65.6%増)だった。売上にあたる営業収益の伸びを営業利益の伸びが上回り、営業利益率は64.6%となった。
- 取引関連収益: 現物の売買代金が前年同期を上回り、取引料の増加などで前年同期比54.9%増。
- 清算関連収益: 清算手数料などが前年同期比79.5%増となり、収益の伸びを後押し。
- 上場・情報関連収益: 新規・追加上場料や年間上場料、相場情報料、指数ビジネスの収益が増加。
- 費用: 営業費用は前年同期比24.0%増。営業収益の増加率を下回り、利益の伸びにつながった。
取引と清算の収益がそろって拡大したことが今回の決算の中心だ。特に取引料は現物売買の活発化を受け、前年同期比62.8%増となった。一方、人件費やシステム維持・運営費、その他の営業費用も増えており、今後は収益の勢いと費用増加のバランスが利益成長を左右する。
セグメント別動向
開示資料では事業セグメント別の営業利益は示されていないため、営業収益を構成する事業カテゴリーの動きを整理する。金額では取引関連と清算関連が大きく伸び、上場・情報関連も増収となった一方、システム関連の伸びは比較的緩やかだった。
| 収益カテゴリー | 営業収益(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 取引関連 | 53,870 | +54.9% |
| 清算関連 | 41,399 | +79.5% |
| 上場関連 | 9,198 | +16.4% |
| 情報関連 | 18,831 | +15.7% |
| システム関連 | 7,237 | +5.6% |
取引関連収益は、現物の売買代金増加を受けて取引料が伸びた。取引料のうち現物分は前年同期比74.3%増で、取引関連収益の拡大をけん引した。金融デリバティブの取引料も増えた一方、コモディティ・デリバティブは減少しており、商品ごとの動きには差がある。
清算関連収益は前年同期比79.5%増となった。上場関連収益は新規・追加上場料の増加などを背景に伸び、情報関連収益も相場情報料と指数ビジネスの収益増で増収となった。システム関連ではarrownet利用料やコロケーションサービス利用料が増えたが、カテゴリー全体の増収率は5.6%にとどまった。
通期見通し
2027年3月期の通期業績予想は、2026年9月24日に公表した内容から変更がない。中間期の営業利益は通期予想の54.8%、親会社の所有者に帰属する中間利益は54.5%に達し、いずれも予想額の半分を超えた。
| 指標 | 2027年3月期通期予想 | 中間期実績 | 予想進捗率 |
|---|---|---|---|
| 営業収益(百万円) | 252,500 | 131,002 | 51.9% |
| 営業利益(百万円) | 154,500 | 84,668 | 54.8% |
| 税引前利益(百万円) | 156,500 | 85,469 | 54.6% |
| 親会社帰属当期利益(百万円) | 105,000 | 57,210 | 54.5% |
予想の前提として、通期の1日平均売買代金は株券等で11兆円、長期国債先物は5万2,000単位などの取引水準を置いている。取引所の収益は売買代金や取引高に連動するため、下期の市場活動が前提を下回れば収益に影響する。会社は業績予想に変更を加えておらず、今後は市場の売買動向が計画達成の焦点となる。
財務状況と資本政策
9月末の総資産は清算関連資産の減少を主因に57兆9,794億95百万円となり、2026年3月末から約13兆6,201億円減少した。ただし清算業務に伴う資産・負債は同額を両建て計上するため、総資産の変動だけでは事業運営上の財務余力を判断しにくい。
| 項目 | 2026年9月末・中間期 | 比較・補足 |
|---|---|---|
| 総資産 | 57兆9,794億95百万円 | 2026年3月末比約13兆6,201億円減 |
| 調整後資産 | 4,580億46百万円 | 2026年3月末比43億84百万円増 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 0.6% | 清算関連等を除く参考値は69.3% |
| 中間配当 | 41円 | 前年同期の25円から16円増 |
| 年間配当予想 | 82円 | 前期実績61円から21円増 |
| 自己株式取得 | 205億14百万円 | 中間期に取得した金額 |
自己株式の取得と配当支払いがあった一方、利益計上などにより資本合計は3,591億80百万円と、3月末から15億70百万円増えた。会社は財務の健全性や清算機関としてのリスクへの備え、市場の競争力を高める投資機会を踏まえ、業績に応じた配当を基本とし、配当性向60%以上を目標としている。決算短信にはキャッシュ・フロー計算書の数値が掲載されていないため、現金収支の詳細は確認できない。
リスクと課題
収益は株式市場の売買代金やデリバティブ取引高、清算業務の規模に左右される。会社の通期予想も一定の取引水準を前提としており、市場環境や運営コストの変化が利益の振れにつながる可能性がある。
- 市場取引の変動: 売買代金や取引高が想定を下回ると、取引料などの収益が減少し、通期予想の達成に影響する。
- 清算機関としてのリスク: 清算参加者のポジションにより清算引受資産・負債が大きく変動する。清算の安全性確保とリスクへの備えが継続的な経営課題となる。
- 営業費用の増加: 人件費やシステム維持費に加え、その他の営業費用も増加した。収益の伸びが鈍化する局面では、費用増が利益を圧迫するおそれがある。
- 市場競争と投資負担: 取引所としての競争力を維持するための投資機会を見極める必要があり、内部留保や株主還元とのバランスが課題となる。
清算関連の資産・負債が総資産に大きく影響するため、財務指標を見る際は調整後の数値もあわせて確認したい。業績予想は合理的な前提に基づく会社見通しであり、実際の結果は市場環境などによって変わり得る。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/27)
2,088円
最新終値(2026/10/27)
2,088円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/27更新
証券業界の今
掲載13社日本取引所は証券業界の掲載13社中、売上高で3位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +20.4%全業界 +16.1%
- 予想の上方修正
- 1社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 13.8%
- 日本取引所+17.7%
- 証券(業界平均)+20.4%
- 全業界+16.1%
- 予想修正今期予想を上方修正したのは1社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのは日本取引所(営業利益+34.3%)。
- 会社計画2027年度の会社計画(2社合計)は営業利益+29.6%。営業利益の伸びは全業界の計画(+10.8%)を上回る。






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売買代金の増加が取引料に直結し、清算関連収益も大きく伸びたことで、取引所ビジネスの市場連動性がはっきり表れた決算です。営業利益の伸びが営業収益を上回った点も好印象ですが、営業費用も増えており、増益の勢いが続くかは下期の市場活況にかかっています。
投資家が見るべき点は、年間配当予想の増額水準だけでなく、売買代金が会社の前提に沿って推移するかどうかです。就職活動中の学生にとっては、売買システムや清算機能、相場情報など、金融市場を支える複数の事業が収益を構成している点が企業理解の手がかりになります。
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