マクセル、2027年3月期第1四半期決算、売上高24%増で利益も大幅増

マクセルの2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比24.4%増、営業利益は44.8%増、純利益は50.5%増となりました。医療機器向け電池や粘着テープ、車載光学部品の販売が伸び、円安も利益を押し上げました。中東情勢に伴う原材料高などのリスクは残るものの、会社は通期予想を据え置き、年間配当を前期比6円増の56円とする計画です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 377億円 | +24.4% | 1,430億円 | 26% |
| 営業利益 | 29億円 | +44.8% | 100億円 | 29% |
| 純利益 | 24億円 | +50.5% | 67億円 | 36% |
| 営業利益率 | 7.6% | |||
この決算のポイント
- 1医療機器用一次電池や粘着テープなどが伸び、売上高は前年同期比24.4%増
- 2機能性部材料と光学・システムが増益をけん引、価値共創事業は減収減益
- 3通期予想は売上高1,430億円、営業利益100億円で据え置き
- 4年間配当予想は前期比6円増の56円、自己株式120億円を消却
- 5中東情勢による原材料高や供給不足、顧客の生産調整をリスクとして挙げる
業績のポイント
マクセル(マクセル)の2027年3月期第1四半期は、売上高376億6,500万円(前年同期比24.4%増)、営業利益28億7,200万円(同44.8%増)、親会社株主に帰属する純利益23億9,700万円(同50.5%増)でした。売上高の増加額は73億9,500万円、営業利益の増加額は8億8,800万円です。
- 販売の伸び: 一次電池、粘着テープ、車載光学部品が増収に寄与しました。
- 需要の回復: 半導体関連製品は顧客の在庫消化が進み、販売に回復傾向が見られました。
- 利益の押し上げ: 粘着テープや車載光学部品の増収に加え、円安が営業利益を押し上げました。対米ドルの平均為替レートは1ドル159円でした。
- 経常利益・EPS: 経常利益は31億2,700万円(同55.1%増)、1株当たり四半期純利益は65円03銭でした。
複数事業の販売増で大幅増益となり、前年同期の減収減益から業績が持ち直しました。原材料費の上昇が続くなか、増収だけでなく販売価格への転嫁も進め、利益を伸ばしています。一方、前年に一過性のライセンス収入があった事業もあり、セグメントごとの利益の伸びには差が出ています。
セグメント別動向
4事業のうち3事業が増収となり、機能性部材料と光学・システムの利益改善が目立ちました。営業利益の前年比はグラフで示し、本文では売上の動きと背景を整理します。
エネルギーは売上高が前年同期比47.3%増でした。村田製作所から譲り受けた事業を含む医療機器用・車載用一次電池が好調で、製造を終了した角形リチウムイオン電池の減収を補いました。営業利益は前年の一過性ライセンス収入の反動で減少した一方、原材料費上昇分の販売価格への反映を進めています。
機能性部材料は売上高が22.5%増でした。中東情勢を背景にした需給逼迫で顧客の在庫積み増しが発生し、粘着テープや塗布型セパレーターなど産業用部材が伸びました。増収により営業利益も大きく改善しました。
光学・システムは売上高が17.4%増でした。車載光学部品が増えたほか、在庫調整が進んだ半導体関連製品にも販売回復の兆しが出ており、営業利益は前年同期から倍増しました。
- 価値共創事業: 国内・北米向けを中心に健康・理美容製品が減り、売上高は14.9%減。減収の影響で営業利益も大幅に縮小しました。
成長を支えたのは、電池、産業用部材、車載光学、半導体関連と複数の需要分野です。これに対し、健康・理美容製品は弱く、事業ごとの濃淡が残ります。通期計画では光学・システムの売上高が前期比で減る想定となっており、第1四半期の回復が続くかが注目点です。
- エネルギー-15.2%
- 機能性部材+210.5%
- 光学システム+101.4%
- 価値共創-85.6%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー | 152億円 | 41% | 8億円 | 5.0% |
| 機能性部材料 | 96億円 | 26% | 10億円 | 9.9% |
| 光学・システム | 92億円 | 24% | 11億円 | 12.3% |
| 価値共創事業 | 36億円 | 10% | 32百万円 | 0.9% |
通期見通し
マクセルは2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。第1四半期の売上高は通期計画の26.3%、営業利益は28.7%、純利益は35.8%に達しています。
| 指標 | 第1四半期実績 | 通期予想 | 通期予想の前年比 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 37,665 | 143,000 | +10.5% | 26.3% |
| 営業利益(百万円) | 2,872 | 10,000 | +26.7% | 28.7% |
| 純利益(百万円) | 2,397 | 6,700 | -18.9% | 35.8% |
第1四半期は堅調なスタートとなりましたが、会社は中東情勢の継続による原材料費・電力費・輸送費の高騰、原材料や副資材の供給不足、顧客の生産調整を懸念しています。コスト増を販売価格に反映し、入手困難な原材料はグループ内で融通する方針です。通期では売上高と営業利益の増加を見込む一方、純利益は前期を下回る計画で、利益の最終着地とコスト対応が焦点になります。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は1,853億4,100万円で、2026年3月末から2.7%増でした。自己資本比率は前期末の48.2%から48.9%へ上昇しています。
| 項目 | 2026年6月末・予想 | 比較・補足 |
|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 185,341 | 前期末比+2.7% |
| 自己資本比率 | 48.9% | 前期末48.2% |
| 現金及び預金(百万円) | 27,555 | 前期末から4,002減 |
| 年間配当(円) | 56 | 前期実績50円、6円増の予想 |
| 自己株式の消却 | 12,075百万円 | 2026年5月29日に実施 |
純資産は931億9,500万円で、前期末から3.3%増となりました。純利益の計上が配当支払いを上回る一方、自己株式の消却により資本剰余金と利益剰余金が減少しています。第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、現金収支の詳細は短信から確認できません。年間配当は増額する計画で、自己株式消却と合わせて株主還元を進めています。
研究開発・成長投資
第1四半期の設備投資は29億8,700万円で、前年同期の7億2,500万円から増加しました。研究開発費は15億600万円で、前年同期比1.6%増です。
- 設備投資: 通期計画は100億円で、前期比98.3%増を見込んでいます。
- 研究開発費: 通期計画は60億円で、前期比1.0%減の見通しです。
- 成長分野: 会社はポートフォリオ改革による収益性向上と成長事業の強化に加え、全固体電池を中心とする新事業の早期業績貢献をめざします。
設備投資が前年同期を大きく上回った一方、研究開発費は小幅な増加にとどまりました。投資の規模だけでなく、既存事業の採算改善と全固体電池など新事業の収益化が、中長期の利益成長につながるかがポイントです。
リスクと課題
会社は、中東情勢をはじめとする外部環境の不透明さが2027年3月期の業績に影響する可能性を示しています。コスト上昇の販売価格への転嫁や、供給制約への対応が通期計画の達成を左右します。
- 原材料・エネルギー価格: ナフサ関連原材料や電力、輸送費の上昇が続けば、利益率を圧迫する可能性があります。
- 原材料・副資材の供給不足: 調達難や生産財の不足が生産に影響し、納期遅延や販売機会の減少につながるおそれがあります。
- 顧客の在庫・生産調整: 一部では在庫積み増しが売上を支えましたが、顧客の生産調整や市場停滞に転じれば受注が弱まるリスクがあります。
- 事業ごとの需要差: 価値共創事業では健康・理美容製品が低調でした。回復が遅れれば、成長事業の利益で補う必要が高まります。
- 為替変動: 円安は当四半期の利益を押し上げましたが、為替レートの変化は業績予想を上下させる要因です。
マクセルは販売価格へのコスト転嫁やグループ内での原材料融通を対策として挙げています。ただし、価格転嫁の進み方や顧客需要は外部環境に左右されるため、増収基調が続くかだけでなく、コスト上昇を吸収できるかを継続して見る必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/24)
2,118円
最新終値(2026/10/23)
2,470円+16.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#マクセル#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#一次電池#粘着テープ#全固体電池#配当増額
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コメント
複数の事業で需要回復が見られ、売上高の伸びが営業利益の増加につながった点は前向きです。特に粘着テープや半導体関連製品の改善が続くかは、今後の収益力を測る手掛かりになります。
一方、当四半期の増益には円安も寄与しており、外部環境に左右される面があります。原材料高を販売価格に反映できるか、そして健康・理美容製品の弱さをどう立て直すかが、通期予想の達成を見極める焦点です。
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