メルカリ、2026年6月期通期決算、営業利益57.7%増で過去最高益を更新

メルカリが8月5日に発表した2026年6月期通期決算は、売上収益が2292億9300万円(前年比19.0%増)、営業利益が439億500万円(同57.7%増)と大幅な増収増益となり、過去最高益を更新した。国内外のマーケットプレイス事業の拡大に加え、越境取引やフィンテック事業が収益を牽引し、全セグメントで増収増益を達成した。
決算の数字通期
1年間の確定値(前年比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 今期予想 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,293億円 | +19.0% | 2,750億円 |
| 営業利益 | 439億円 | +57.7% | 450億円 |
| 純利益 | 354億円 | +35.6% | — |
| 営業利益率 | 19.2% | ||
業績のポイント
メルカリ(メルカリ)の2026年6月期通期連結業績は、売上収益が2292億9300万円(前年比19.0%増)となり、3期ぶりの2桁増収を達成した。コア営業利益は441億8100万円(同60.2%増)、営業利益は439億500万円(同57.7%増)と大幅に拡大し、いずれも過去最高を大きく更新した。親会社株主に帰属する当期純利益は354億100万円(同35.6%増)と、2期連続の最高益更新となった。
主力のマーケットプレイス事業では、安心・安全な取引環境の構築を最優先に掲げ、ユーザー数・取引単価・利用頻度のすべてがスムーズに成長する基盤が確立した。特に、越境取引(クロスボーダー)分野の重点強化が奏功し、GMV(流通取引総額)は前年比19%増の高成長を記録した。フィンテック事業では、「メルペイ」のスマート払いや「メルカード」の利用拡大により、外部顧客からの収益が急拡大し、信用コストの適正な管理とあわせて利益貢献度を高めた。
米国市場では、地域密着型のトランザクション改善施策と、手数料体系の最適化がGMVの拡大をもたらし、売上収益・利益ともに高い伸びを示した。全社的な投資は続けつつも、増収効果がコストを吸収し、営業利益率は19.2%(前期14.3%)へ大幅に改善した。
セグメント別動向
メルカリの事業セグメントは、日本国内のマーケットプレイスとフィンテックを包含する「Japan Business」、米国マーケットプレイスの「US」、その他に区分される。各セグメントとも増収増益を果たし、全社の業績拡大を支えた。
Japan Business(マーケットプレイス)は、GMV成長を背景に売上収益が大きく伸長した。越境取引が主要な成長ドライバーとなり、取扱高は全体の約1割を占めるまでに拡大。新たな本人確認やAI活用による不正検知の強化が信頼性を高め、リピート率の向上に寄与した。フィンテック事業では、後払い決済「メルペイ スマート払い」の利用増加により、外部加盟店からの収益が急拡大。独自のAI信用スコアリングによる与信精度の高さから、貸倒関連費用を適正に抑制しつつ、売上収益は前年比2桁成長を記録した。
USマーケットプレイスは、ローカライズされた送料無料キャンペーンや出品促進策が奏功し、GMVは前年比30%超の高い成長率を達成。現地通貨ベースでの売上収益も大きく増加し、セグメント損益は前年の赤字から黒字化を果たしたとみられる(注:詳細な数値は非開示)。投資と回収のバランスが取れ始めたことで、事業の自立性が高まっている。
その他区分には、スタートアップ投資や新規事業が含まれ、引き続き先行投資段階にあるが、赤字幅は縮小傾向にある。会社全体としては、投資フェーズから収穫フェーズへの移行が鮮明となった一年だった。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Japan Business | - | - | - | - |
| US | - | - | - | - |
| その他 | - | - | - | - |
財務状況と資本政策
2026年6月期末の総資産は7266億2200万円と、前期末比で1828億5900万円の大幅増となった。これは、営業債権の増加や、市場性のある有価証券への投資拡大、さらには資金調達(社債発行など)による現金の増加が主因である。負債合計は5891億5400万円へ拡大したが、これは「メルペイ」などの利用による預り金(金融負債)の増加や、社債の発行によるもの。自己資本比率は18.9%と前期(18.3%)から微増し、財務の健全性は維持されている。
キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが△95億1200万円(前期△119億4900万円)とマイナスながら改善傾向。投資活動は△292億4000万円(同△313億6400万円)で、ソフトウェアやシステム開発への積極投資を継続している。一方、財務活動では社債発行や新株予約権の行使などにより734億7300万円の収入を確保し、期末の現金及び現金同等物は1840億6900万円(前期末1470億2800万円)に達した。
配当については、今期も無配(0円)を継続。来期(2027年6月期)も無配予想としており、依然として成長投資を優先する姿勢が明確だ。ただし、2025年8月には上限10億円の自己株式取得枠を設定し、取得した全株式を消却することを発表しており、株主還元に対する感度も徐々に高めていると評価できる。
リスクと課題
メルカリの持続的成長には、以下のリスクと課題が存在する。
- 競争環境の激化:国内CtoC市場は成熟化が進み、ヤフオク!やPayPayフリマなど競合サービスとの差別化が不可欠。海外ではeBayやPoshmarkなど強力なライバルが存在し、米国市場でのシェア拡大には継続的な投資が求められる。
- フィンテック事業の信用リスク:与信残高の増加に伴い、景気悪化時の貸倒れ増加リスクが高まる。独自AIモデルの精度維持と、適切な引当金の積み増しが重要だ。
- 規制・制度変更:金融関連事業では、資金決済法や割賦販売法などの法規制の変更が業績に影響を与える可能性がある。海外においても、デジタル課税や越境取引に関する規制の動向を注視する必要がある。
- 為替変動:米国事業の収益が円換算で圧縮されるリスクがある。2026年6月期は円安が追い風となったが、急激な円高は逆風に転じる。
- 技術投資の成果不透明:AIやブロックチェーンなど先端技術への積極投資は将来の競争力を左右するが、期待した効果が得られない場合、収益を圧迫する可能性がある。会社は、ソフトウェア資産の計上基準を厳格化しており、投資の選択と集中が一層重要となる。
通期見通し
2027年6月期の連結業績について、メルカリは売上収益を2600億円~2900億円(前期比13.4%~26.5%増)、コア営業利益を450億円以上(同1.9%増以上)と予想している。売上収益レンジの中間値(2750億円)でみると、前期比約20%増の高成長を継続する計画だ。コア営業利益は微増にとどまる見通しだが、積極的な成長投資を織り込んだ保守的なガイダンスとみられる。実際には、2026年6月期に440億円超を達成した営業利益力を考えれば、上振れの可能性は十分にある。
下表に前期実績と今期予想をまとめた。
| 項目 | 前期実績 (2026年6月期) | 今期予想 (2027年6月期) |
|---|---|---|
| 売上収益 | 229,293百万円 | 260,000~290,000百万円 |
| コア営業利益 | 44,181百万円 | 45,000百万円以上 |
会社は引き続きマーケットプレイスのGMV拡大と、フィンテックの着実な収益化を軸に、中長期的な利益成長を目指す方針だ。
戦略トピック:自己株式の取得と消却
メルカリは2026年8月5日、取締役会において自己株式の取得枠設定と、取得した全株式の消却を決議した。取得上限は10億円(普通株式300万株)、取得期間は2026年8月6日から2027年6月30日まで。取得後、速やかに全株式を消却する。これは、資本効率の向上と株主還元の一環であり、同社が初めて実施する自社株買いである。配当は未実施ながら、キャッシュ創出力が高まったことを受け、株主への利益還元を段階的に強化する姿勢が示された形だ。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
4,410円
最新終値(2026/10/23)
3,704円-16.0%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#メルカリ#決算#決算分析#通期決算#増収増益#過去最高益#マーケットプレイス#フィンテック#越境取引#US市場
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
メルカリは、ついに投資フェーズからの脱却を印象付ける決算となった。売上高営業利益率は19.2%に跳ね上がり、稼ぐ力の質的転換が鮮明だ。特に注目すべきは、越境取引と米国事業の黒字化の進展である。国内CtoC市場が成熟化する中で、成長の軸足を海外とフィンテックにシフトできるだろうか。次期の利益成長が限定的なのは成長投資を織り込んだ保守的なガイダンスとみられるが、実際の収益力はそれを上回る可能性が高く、今後の上方修正にも期待したい。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/mercari/report/2026-FY
関連記事
インターネット・プラットフォームの最新記事
- 決算解説楽天グループ2026年12月期 第2四半期楽天グループ、2026年12月期第2四半期決算、Non-GAAP営業利益296%増、フィンテック好調

- 決算解説LINEヤフー2027年3月期 第1四半期LINEヤフー、2027年3月期第1四半期決算、売上収益・調整後EBITDAが過去最高

- 決算解説カカクコム2027年3月期 第1四半期カカクコム、2027年3月期第1四半期決算、増収もTOB対応コストで減益

- 決算解説アイスタイル2026年6月期 通期アイスタイル、2026年6月期通期決算は増収増益、次期は純利益減も増配と自社株買い

- 事業再編完了楽天グループ10月1日楽天銀行が連結子会社化へ、フィンテック統合で楽天カード・証券を完全支配し230億円の所得税負担発生

- 情報漏えい再発防止策完了LINEヤフー7月21日LINEヤフー、情報漏えい再発防止策完了を報告、信頼回復へ一歩






