NTT、2026年度第1四半期決算、営業収益10.9%増も通期予想は据え置き

NTTの2026年度第1四半期決算は、営業収益が前年同期比10.9%増の3兆6,177億円、当社に帰属する四半期利益が5.8%増の2,748億円となり、増収増益を達成した。グローバル・ソリューション事業の拡大や値上げ効果が寄与した一方、営業利益の伸びは4.9%増と緩やかで、通期業績予想は据え置かれた。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3.6兆円 | +10.9% | 15.1兆円 | 24% |
| 営業利益 | 4,251億円 | +4.9% | 1.7兆円 | 25% |
| 純利益 | 2,748億円 | +5.8% | 9,800億円 | 28% |
| 営業利益率 | 11.8% | |||
業績のポイント
NTT(日本電信電話)の2026年度第1四半期(4〜6月期)連結決算は、営業収益が前年同期比10.9%増の3兆6,177億円、営業利益が同4.9%増の4,251億円、四半期純利益(当社帰属)が5.8%増の2,748億円と、増収増益を確保した。売上高にあたる営業収益は過去最高を更新する一方、利益の伸びは小幅にとどまった。これは、エネルギーコストや人件費の上昇 が収益を圧迫したためだ。
特にグローバル・ソリューション事業の収益が16.4%増と拡大をけん引し、全体の成長を支えた。コンシューマ通信事業でも、モバイルのARPU向上や光回線の堅調が寄与した。一方、通期業績予想は営業収益15兆600億円(前期比4.5%増)、営業利益1兆7,100億円(同0.2%増)と据え置かれており、第1四半期の進捗率は営業収益で24.0%、営業利益で24.9%と順調ながら、保守的な姿勢がうかがえる。
セグメント別動向
NTTの事業は「総合ICT事業」「グローバル・ソリューション事業」「地域通信事業」「その他」の4つに大別される。
総合ICT事業は、ドコモを中核とするコンシューマ通信や法人向けソリューションを含み、外部売上高は1兆5,422億円(前年同期比8.3%増)、セグメント利益は2,462億円(同2.7%増)だった。スマートライフ事業の拡大や法人需要の回復が増収に寄与したが、利益率は16.0%とやや低下した。
グローバル・ソリューション事業は、NTTデータグループなどが手掛ける海外ITサービスが好調で、外部売上高1兆2,269億円(同16.4%増)、セグメント利益634億円(同9.9%増)と大幅な伸びを示した。データセンター需要やクラウド移行支援が引き続き成長をけん引している。営業利益率は5.2%で、収益性のさらなる改善が課題だ。
地域通信事業はNTT東日本・西日本による固定通信サービスで、外部売上高6,036億円(同1.9%増)、セグメント利益985億円(同0.6%増)と微増。固定電話の減少を光回線やICTソリューションで補っている。
その他(不動産・エネルギー等)は、外部売上高2,449億円(同27.6%増)、セグメント利益233億円(同29.3%増)と高い伸び。エネルギー価格の上昇や不動産市況の好調が影響した。
| セグメント | 外部売上高(億円) | 前年同期比 | セグメント利益(億円) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 総合ICT事業 | 15,422 | +8.3% | 2,462 | 16.0% |
| グローバル・ソリューション事業 | 12,269 | +16.4% | 634 | 5.2% |
| 地域通信事業 | 6,036 | +1.9% | 985 | 16.3% |
| その他 | 2,449 | +27.6% | 233 | 9.5% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 総合ICT事業 | 1.5兆円 | 43% | 2,462億円 | 16.0% |
| グローバル・ソリューション事業 | 1.2兆円 | 34% | 635億円 | 5.2% |
| 地域通信事業 | 6,036億円 | 17% | 985億円 | 16.3% |
| その他 | 2,449億円 | 7% | 234億円 | 9.5% |
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は47兆4,597億円と前期末比7,384億円増加した。主に、銀行業の貸出金の増加や現金同等物の積み上がりによる。純資産は10兆3,480億円、自己資本比率は20.8%と安定している。
キャッシュフロー面では、営業活動によるキャッシュフローが5,744億円と前年同期比で482億円増加。銀行業の預金増加などが寄与した。投資活動では、設備投資やM&A支出により6,734億円の支出となり、フリーキャッシュフローは▲990億円と赤字だった。財務活動では、社債発行や借入により5,571億円の収入を確保し、現金同等物は2兆3,873億円に達した。
株主還元では、2026年度の年間配当予想を前期比0.1円増の5.4円(中間2.7円、期末2.7円)と増配を計画している。自社株買いの発表はなかったが、2026年7月に総額55億米ドル、38.5億ユーロ、4億英ポンドの無担保社債を発行しており、大型資金調達で成長投資を加速する構えだ。
通期見通し
2026年度通期の連結業績予想は、営業収益15兆600億円(前期比4.5%増)、営業利益1兆7,100億円(同0.2%増)、当期純利益9,800億円(同5.5%減)と、期初計画を据え置いた。第1四半期の進捗率は営業収益で24.0%、営業利益で24.9%と、例年並みのペースで進んでおり、通期達成への確度は高いとみられる。
ただし、為替変動や海外経済の不透明感 に加え、国内の競争激化やコスト上昇圧力が収益を圧迫する可能性があり、会社側は保守的な見通しを維持している。
戦略トピック
2026年7月1日、NTTグループは海外市場で総額55億米ドル、38.5億ユーロ、4億英ポンドの無担保社債を発行した。これは、グローバル事業拡大に向けたM&Aやデータセンター投資などの資金需要に対応するもので、過去最大級の外貨建て資金調達となった。調達コストの低減と財務基盤の強化を両立させる狙いがある。
リスクと課題
当第1四半期決算短信では、具体的な事業リスクの開示は省略されているが、NTTグループを取り巻く主なリスクとしては以下が挙げられる。
- 国内モバイル市場の競争激化(楽天モバイルやMVNOの攻勢)
- 固定通信の音声収入減少とブロードバンドの価格低下圧力
- 海外事業における地政学リスクや為替変動
- 大規模な設備投資負担と減価償却費の増加
- 金融子会社を通じた与信リスクや金利変動リスク
とりわけ、巨額の設備投資とM&Aを続ける中で、投資リターンの確実な回収 が経営上の重要課題となる。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
154.5円
最新終値(2026/10/23)
174.8円+13.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#NTT#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#グローバル事業#ドコモ#社債発行#配当増額#通信
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コメント
NTTの第1四半期は、グローバル事業の成長が際立ち、通信からITサービスへの軸足移行が鮮明になった。
増収率10.9%は大手通信事業者としては高いが、利益の伸びは鈍く、コスト管理が課題。特に総合ICT事業の利益率低下は、ドコモの競争環境を反映している可能性がある。
通期予想を据え置いたのは慎重な姿勢の表れだが、7月の大型社債発行はM&Aやデータセンター投資への意欲を示しており、中長期的な成長シナリオは崩れていない。
注目点は、海外事業の収益性改善と、国内通信事業のARPU維持策。配当利回りは低いものの、増配傾向は評価できる。投資家は、NTTデータグループの受注動向と、ドコモの新料金プランの影響を注視すべきだろう。
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