山九、2027年3月期第2四半期決算(中間決算)、減収も純利益29.6%増

山九の2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比2.2%減の3,087億円となった一方、営業利益は3.9%増の213億円、親会社株主に帰属する中間純利益は29.6%増の175億円でした。物流事業の採算改善や政策保有株式の売却益などが利益を押し上げました。通期の連結業績予想は据え置く一方、株式を5分割し、分割前換算の年間配当予想を前期比で引き上げています。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,087億円 | -2.2% | 6,385億円 | 48% |
| 営業利益 | 214億円 | +3.9% | 470億円 | 45% |
| 純利益 | 175億円 | +29.6% | 330億円 | 53% |
| 営業利益率 | 6.9% | |||
この決算のポイント
- 1物流事業は単価改定や中国でのコスト削減が寄与し、売上高は前年同期比4.2%増。
- 2機工事業は設備建設や海外EV関連工事の減少で、売上高が前年同期比7.8%減。
- 3政策保有株式の売却益などを計上し、中間純利益は前年同期比29.6%増の175億円。
- 4通期の連結業績予想は据え置き、売上高6,385億円、営業利益470億円を見込む。
- 5株式を5分割し、年間配当は分割前換算で264円と前期の246円から増配する見通し。
業績のポイント
山九(山九)の2027年3月期中間期は、売上高が前年同期比2.2%減、営業利益が3.9%増、親会社株主に帰属する中間純利益が29.6%増でした。売上高が減る一方で営業増益を確保し、純利益の伸びは営業利益の伸びを大きく上回りました。
| 指標 | 前年同期からの増減額(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | -6,810 | -2.2% |
| 営業利益 | +804 | +3.9% |
| 経常利益 | +1,368 | +6.7% |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | +4,000 | +29.6% |
物流事業では価格改定や中国でのコスト削減が進み、利益を支えました。中間純利益には政策保有株式の売却益32億円と子会社清算益13億円など、特別利益の計上も寄与しています。したがって、純利益の大幅な伸びをそのまま本業の収益力の伸びとみなさず、継続的な利益改善と一時的な利益を分けて見る必要があります。
セグメント別動向
物流事業は増収増益、機工事業は減収減益となり、事業ごとに明暗が分かれました。営業利益の前年同期比は、物流事業が29.3%増、機工事業が2.2%減、その他が14.3%減です。
物流事業は売上高が前年同期比4.2%増。国内の海上コンテナ取扱量は減ったものの、輸出・倉庫作業の増加や単価改定、新規作業の開始が寄与しました。中国ではコスト削減、海外構内作業では契約更改が採算改善につながりました。
機工事業は売上高が前年同期比7.8%減。国内の鉄鋼・化学関連設備や環境関連工事が減少し、前期に施工した海外EV関連工事も剥落しました。一方、国内では大型定期修理工事の工事量が増え、新たな連結子会社の寄与もありましたが、海外の工事減少を補うには至りませんでした。
その他は売上高が前年同期比5.9%減。鉄・化学構内向けの機材賃貸が減少し、利益も前年同期を下回りました。物流の採算改善が全体の営業増益を支える一方、設備工事の受注・施工時期や海外案件の反動が業績を左右する構図です。
- 物流事業+29.3%
- 機工事業-2.2%
- その他-14.3%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 物流事業 | 1,528億円 | 50% | 60億円 | 3.9% |
| 機工事業 | 1,424億円 | 46% | 144億円 | 10.1% |
| その他 | 135億円 | 4% | 10億円 | 7.1% |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末比42億円増の5,654億円、自己資本比率は55.8%となり、前期末から1.8ポイント上昇しました。営業キャッシュ・フローも前年同期から増加し、資金創出力が改善しています。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・中間期 | 前期末・前年同期との比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 5,654億円 | 前期末比42億円増 |
| 自己資本比率 | 55.8% | 前期末比1.8ポイント上昇 |
| 営業キャッシュ・フロー | 328億円 | 前年同期の154億円から増加 |
| 投資キャッシュ・フロー | -109億円 | 前年同期は-82億円 |
| 財務キャッシュ・フロー | -206億円 | 前年同期は-82億円 |
配当は株式分割の前後で表示単位が異なります。2026年10月の1株を5株とする分割を考慮した年間配当予想は、分割前換算で264円と、前期の246円から増える計画です。分割後の期末配当予想は1株27円で、中間配当の分割前129円と単純合算できません。株式分割は投資単位を引き下げ、投資家層の拡大と株式の流動性向上を狙ったものです。
通期見通し
山九は2027年3月期の連結業績予想を変更せず、売上高6,385億円、営業利益470億円、親会社株主に帰属する当期純利益330億円を見込みます。会社予想の前年比はそれぞれ1.1%増、8.7%増、4.7%増です。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,385億円 | 6,385億円 | +1.1% |
| 営業利益 | 470億円 | 470億円 | +8.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 330億円 | 330億円 | +4.7% |
中間期は売上高が前年同期を下回りましたが、物流事業の採算改善や国内設備の維持・関連工事の底堅さを背景に、会社は連結予想を維持しました。一方、個別業績予想は修正し、売上高4,412億円、経常利益358億円、当期純利益277億円としています。連結予想は据え置きでも、足元の環境を踏まえた個別予想には慎重さが表れています。
リスクと課題
国内の設備維持需要や物流の単価改定が下支えとなる一方、外部環境や工事案件の時期によって業績が変動する可能性があります。会社が挙げた市場環境と事業構造を踏まえると、次の点が注目されます。
- 中国景気の減速: 住宅販売や個人消費の低迷が続き、日系企業の生産・販売や物流需要に影響する可能性があります。
- 中東情勢と物価上昇: 不安定な中東情勢や物価上昇が消費・物流を押し下げ、輸送や事業運営のコストにも影響し得ます。
- 設備工事の案件変動: 国内の設備更新・脱炭素関連工事が端境期にあり、前期の海外EV関連工事の反動も含め、案件の時期や規模が機工事業の売上を左右します。
- 海外メンテナンスの減少: 海外で工事の剥落や作業終了があり、国内の大型定期修理工事や新規連結子会社による補完が続くかが課題です。
- 利益の一時要因: 政策保有株式の売却益などが中間純利益を押し上げました。今後は本業の利益成長が続くかを、営業利益や事業別の採算で確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
1,652円
最新終値(2026/10/30)
1,652円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
山九をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて陸運・輸送業界の今
掲載30社山九は陸運・輸送業界の掲載30社中、売上高で14位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +6.8%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +2.1%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 6社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 10.5%
- 山九+5.0%
- 陸運・輸送(業界平均)+6.8%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は18社合計で売上高+8.1%・営業利益+9.4%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は16社、下回る企業は4社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは6社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは日本通運(営業利益+20.0%)。






タグ#山九#決算#決算分析#四半期決算#物流事業#機工事業#株式分割#増配
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売上高が減る局面でも営業増益を確保した点は、物流の価格改定やコスト管理が機能していることを示します。とくに物流事業が伸びる一方、機工事業では設備工事の端境期や海外案件の反動が表面化しており、事業間の差が大きくなっています。
中間純利益の伸びには政策保有株式の売却益などが含まれるため、投資家は通期予想の達成だけでなく、特別利益を除いた本業の利益水準にも注目したいところです。就職活動中の学生にとっては、物流、設備工事、メンテナンスを国内外で展開し、景気や案件サイクルの違いを抱える事業構成が、会社の強みと課題の両面を知る手掛かりになります。
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今後2週間に609社が決算発表 · 注目企業と進捗率を見る他の決算期
4期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期





