テクマトリックス、2027年3月期第2四半期決算、過去最高を更新し増収増益
テクマトリックスの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上収益は前年同期比16.8%増、営業利益は10.5%増、親会社株主に帰属する中間利益は12.7%増となり、いずれも中間期として過去最高を更新しました。クラウド型セキュリティ製品の伸長に加え、CRMや医療システムのストック収益が増加しました。通期予想は据え置き、年間配当は前期比4円増の56円を見込みます。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 390億円 | +16.8% | 818億円 | 48% |
| 営業利益 | 35億円 | +10.5% | 82億円 | 43% |
| 純利益 | 24億円 | +12.7% | 54億円 | 44% |
| 営業利益率 | 9.0% | |||
この決算のポイント
- 1情報基盤事業はクラウド型セキュリティ製品が伸び、売上収益が前年同期比19.2%増の288億円
- 2医療システム事業は売上収益が5.3%増えた一方、メドメインの投資負担で営業利益は73.3%減
- 3受注残高は全体で1,202億円、情報基盤事業が916億円を占め、今後の売上基盤を形成
- 4年間配当予想は前期の52円から56円へ増額し、上期に約9.9億円の自己株式取得も実施
- 5通期予想は据え置き、売上収益818億円、営業利益82億円、親会社帰属利益53億8,000万円を計画
業績のポイント
テクマトリックス株式会社は2026年4〜9月期に、売上収益389億9,973万円、営業利益35億794万円、親会社の所有者に帰属する中間利益23億7,304万円を計上しました。前年同期比ではそれぞれ16.8%増、10.5%増、12.7%増となり、いずれも中間期として過去最高を更新しました。
- 売上総利益: 115億1,732万円と前年同期比9.8%増。売上拡大に伴い増加しました。
- 販売費及び一般管理費: 80億3,771万円と前年同期比9.7%増。人件費などの増加が利益の伸びを抑えました。
- 1株当たり中間利益: 59円14銭と前年同期の52円40銭から上昇しました。
中間期の売上と利益がそろって最高となった背景には、情報基盤事業のクラウド型セキュリティ製品の需要拡大があります。企業のサイバー攻撃対策や生成AI利用に伴う情報保護の需要が強く、アプリケーション・サービス事業でもサブスクリプション収益が積み上がりました。一方、販管費は人員増強などで増えており、今後は売上成長を利益率の改善につなげられるかが焦点です。
セグメント別動向
情報基盤事業は売上収益288億7,283万円、営業利益32億2,058万円となり、前年同期比で売上は19.2%増、営業利益は10.0%増でした。クラウド型セキュリティ製品の新規受注と大型更新が堅調で、AIを活用したSOC業務自動化ソリューションのクロスセルも進みました。メールセキュリティや脆弱性管理製品の導入も増えています。
アプリケーション・サービス事業は売上収益54億5,864万円と前年同期比15.7%増え、営業利益は前年同期の5,351万円の損失から2億689万円の黒字に転じました。CRMの新規受注や継続課金の積み上がり、ソフトウェアテスト需要、入札案件の受注が寄与しました。校務支援システム「ツムギノ」は導入が進みましたが、開発や人員などへの投資で教育分野の営業損失は拡大しました。
医療システム事業は売上収益46億6,825万円と前年同期比5.3%増えた一方、営業利益は8,047万円と73.3%減りました。医用画像管理システムの契約施設増加でストック収益が伸びましたが、前年同期のAI関連大型受注の反動で受注は減少しました。子会社化したメドメインが投資段階にあることも利益を押し下げています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 情報基盤事業 | 289億円 | 74% | 32億円 | 11.2% |
| アプリケーション・サービス事業 | 55億円 | 14% | 2億円 | 3.8% |
| 医療システム事業 | 47億円 | 12% | 80.47百万円 | 1.7% |
財務状況と資本政策
9月末の総資産は前年度末比5.4%増の1,280億6,025万円でした。現金及び現金同等物は同じ比較で84億8,871万円減少して273億1,309万円となり、親会社所有者帰属持分比率は前年度末の21.7%から20.6%へ低下しました。
| 項目 | 2026年9月末 | 比較・補足 |
|---|---|---|
| 総資産 | 1,280億6,025万円 | 前年度末比+5.4% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 20.6% | 前年度末21.7% |
| 現金及び現金同等物 | 273億1,309万円 | 前年度末比-23.7% |
| 自己株式取得 | 9億8,617万円 | 41万5,000株を取得 |
- 配当: 年間配当予想は56円で、前期実績52円から4円増。期末配当予想は32円です。
- キャッシュフロー: 提示された決算短信の数値から中間期の営業・投資・財務キャッシュフローは確認できず、現金増減の内訳は判断できません。
自己株式取得は7月31日の取締役会決議に基づいて実施しました。資本還元を進める一方、メドメインの連結子会社化に伴うのれんの増加や投資もあり、総資産の拡大に対して自己資本比率は低下しています。前渡金や契約負債も増加しており、継続課金型ビジネスの拡大を支える資金の動きと、財務余力の両方を確認したい局面です。
通期見通し
会社は2026年5月8日に公表した2027年3月期の業績予想を据え置きました。売上収益は前期比14.0%増、営業利益は5.7%増、親会社の所有者に帰属する当期利益は3.9%増を見込みます。
| 項目(百万円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績(概算) |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 81,800 | 81,800 | 約71,754 |
| 営業利益 | 8,200 | 8,200 | 約7,758 |
| 親会社帰属当期利益 | 5,380 | 5,380 | 約5,178 |
前期実績の概算は、短信に記載された今回予想と前期比から逆算した値です。中間期の進捗は、売上収益が通期予想の約47.7%、営業利益が約42.8%、親会社帰属利益が約44.1%です。上期は過去最高を更新したものの、通期営業利益の達成には下期の伸びが必要で、セキュリティ需要の継続と医療分野の投資負担の吸収がポイントになります。
受注・ストック収益
中間期末の受注残高は合計1,202億6,200万円で、情報基盤事業が大半を占めました。継続契約に基づくストック売上高も全体で278億2,600万円となり、ストック比率は83.5%です。
| セグメント | 受注高(百万円) | 受注残高(百万円) | ストック比率 |
|---|---|---|---|
| 情報基盤事業 | 41,651 | 91,659 | 87.1% |
| アプリケーション・サービス事業 | 5,969 | 7,636 | 73.3% |
| 医療システム事業 | 6,124 | 20,966 | 74.0% |
| 合計 | 53,745 | 120,262 | 83.5% |
情報基盤事業では、受注残に加えて新規受注と更新契約が売上を支えています。高いストック比率は収益の見通しやすさにつながる一方、受注残の売上化や契約更新の状況が成長の持続性を左右します。
戦略トピック
テクマトリックスは2026年4月30日、病理診断支援AIを手掛けるメドメインを連結子会社化しました。既存保有分と合わせた議決権比率は72.05%となり、取得対価は約30億293万円、取得に伴うのれんは約26億2,524万円です。
- 統合の狙い: メドメインの病理診断AI技術と、PSPのクラウド型PACSや遠隔画像診断の技術を組み合わせ、デジタル病理診断プラットフォームの開発とサービス化を進めます。
- 足元の損益影響: 取得後のメドメイン売上収益は6,302万円、中間損失は1億4,859万円でした。
- 今後の取り組み: 病理診断AIの臨床利用を見据え、医療機器承認への対応や、デジタル病理データの医学研究への活用を目指します。
同社は医療システム事業の領域拡大と、画像診断から病理診断までをつなぐサービス基盤の構築を狙います。短期的には開発や事業立ち上げの費用が利益を圧迫するため、顧客導入やサービス収益の拡大が投資回収の判断材料になります。
リスクと課題
サイバーセキュリティ需要の拡大は追い風ですが、外部環境の不透明さや人件費、成長投資の負担には注意が必要です。
- 景気・物価・金利: 原油高や円安を背景とする物価上昇、金利上昇、海外経済や金融市場の変動が企業の投資判断に影響し、IT案件の受注や導入時期が変わる可能性があります。
- サイバー攻撃とAI対応: 攻撃の高度化やAIの悪用、生成AI利用に伴う機密情報保護・AIガバナンスへの対応が顧客課題となる一方、製品・サービスの対応力や開発速度が競争上の課題になります。
- 人件費と先行投資: 販管費は人件費などの増加で前年同期比9.7%増えました。教育分野の製品開発や人員増強、医療分野の新規事業投資が、売上の拡大に先行して利益を圧迫する可能性があります。
- メドメインの事業化: 病理診断AIの臨床利用や承認対応には時間を要する可能性があり、想定どおりに導入や収益化が進まなければ、医療システム事業の利益回復が遅れるおそれがあります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
3,320円
最新終値(2026/10/30)
3,320円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
テクマトリックスをライバルと比較
年収・業績・株価を並べてITサービス業界の今
掲載31社テクマトリックスはITサービス業界の掲載31社中、売上高で15位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +4.6%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +29.6%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 9社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 14.5%
- テクマトリックス+51.9%
- ITサービス(業界平均)+4.6%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第2四半期累計は11社合計で売上高+10.5%・営業利益+14.1%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は2社、下回る企業は11社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは9社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはAppier(営業利益+16.7%)。





タグ#テクマトリックス#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#サイバーセキュリティ#メドメイン#ストック収益#増配
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サイバーセキュリティと継続課金型サービスが業績を押し上げ、売上・利益ともに中間期の最高を更新した点は評価できます。特に受注残高と高いストック比率は、短期的な案件の波を和らげる収益基盤として強みです。
一方、セグメント間では明暗があり、情報基盤事業が全体を牽引する一方で医療システム事業はメドメインの投資負担を抱えます。通期予想を達成できるかは、下期の利益伸長と医療分野の投資を将来の継続収益へ転換できるかを見極めたい決算です。
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