東亜建設、2027年3月期第1四半期決算、売上減も純利益6.7%増
東亜建設の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比8.7%減の761億円となる一方、親会社株主に帰属する純利益は6.7%増の36億円でした。国内建築の大型案件が前年に売上計上された反動で減収となりましたが、海外事業の伸長や採算改善が利益を支えました。通期予想は据え置きで、売上減でも純利益は増加しました。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 762億円 | -8.7% | 3,600億円 | 21% |
| 営業利益 | 51億円 | -0.9% | 211億円 | 24% |
| 純利益 | 37億円 | +6.7% | 145億円 | 25% |
| 営業利益率 | 6.7% | |||
この決算のポイント
- 1営業利益は前年同期比0.9%減の51億円にとどまり、売上総利益の増加を販管費の増加が相殺した。
- 2海外事業の営業利益は前年同期比405.1%増の13億円、東南アジアの港湾工事が進捗した。
- 3国内土木の受注高は前年同期比18.1%増の606億円、大型港湾工事の設計変更を獲得した。
- 4年間配当予想は77円で据え置き、前期の年間100円には特別配当23円が含まれていた。
- 5通期予想は売上高3600億円、営業利益211億円で変更なし。営業利益は前期比12.8%減の計画。
業績のポイント
東亜建設(東亜建設工業)の2027年3月期第1四半期は、売上高が前年同期比8.7%減の761億88百万円、営業利益が0.9%減の51億21百万円でした。一方、経常利益は3.8%増の52億25百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は6.7%増の36億79百万円となりました。
- 売上高: 前年同期から72億68百万円減。国内建築で前年に大型物流施設の売上があった反動が大きい。
- 営業利益: 前年同期から47百万円減。売上総利益は増えたものの、販売費及び一般管理費の増加が利益を押し下げた。
- 純利益: 前年同期から2億31百万円増。経常利益の増加に加え、親会社株主に帰属する利益が伸びた。
減収でも純利益は増加した一方、営業利益はほぼ横ばいでした。売上高に対する営業利益率は前年同期の約6.2%から約6.7%に上昇しており、売上規模の縮小だけでは捉えきれない採算の改善が見られます。前年同期は大幅な増益だったため、その反動も踏まえて通期での利益の積み上がりを見極める必要があります。
セグメント別動向
国内土木事業は売上高332億20百万円、営業利益28億87百万円でした。売上高は前年同期比4.1%減で、手持ち工事は順調に進んだものの、一部の大型港湾工事の売上が前年を下回りました。高採算案件の竣工反動や船舶の原価差損も利益を圧迫しました。
国内建築事業は売上高174億86百万円、営業利益20億30百万円でした。前年同期に複数の大型倉庫・物流施設の売上が集中した影響で、売上高は37.2%減少しましたが、採算改善により営業利益は4.9%増えました。防衛関連施設や給食センター、マンションを受注した一方、大型物流倉庫の反動で受注高は減少しました。
海外事業は売上高224億86百万円、営業利益13億12百万円でした。東南アジアの大型港湾工事が順調に進捗し、売上高は23.1%増加しました。過年度工事の設計変更獲得や、前年に計上した工事損失引当金が発生しなかったことも利益を押し上げました。
その他は不動産、建設機械、PFIなどで、売上高29億96百万円、営業利益4億93百万円でした。利益の前年同期比は62.0%増です。国内建築の売上減を海外の伸びが補う構図で、国内土木の受注高も大型港湾工事の設計変更により前年同期比18.1%増の606億97百万円となりました。
- 国内土木-23.5%
- 国内建築+4.9%
- 海外+405.1%
- その他+62.0%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内土木事業 | 332億円 | 44% | 29億円 | 8.7% |
| 国内建築事業 | 175億円 | 23% | 20億円 | 11.6% |
| 海外事業 | 225億円 | 30% | 13億円 | 5.8% |
| その他 | 30億円 | 4% | 5億円 | 16.5% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末から244億90百万円減の2809億45百万円、自己資本比率は前期末から3.1ポイント上昇して41.3%でした。第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、短信では四半期の現金収支は開示されていません。
| 項目 | 2026年3月末・前期実績 | 2026年6月末・今期 | 増減・補足 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 305,435 | 280,945 | -24,490 |
| 自己資本比率 | 38.2% | 41.3% | +3.1ポイント |
| 現金預金(百万円) | 49,380 | 45,872 | -3,508 |
| 年間配当(円) | 100 | 77(予想) | 前期に特別配当23円 |
総資産の減少は、現金預金や受取手形・完成工事未収入金などが減ったことが主因です。自己資本比率は改善しましたが、純資産は利益計上を配当支払いが上回り、前期末から5億37百万円減少しました。今期の配当予想は中間・期末各38.5円で変更はなく、前期の年間配当には普通配当77円に加えて特別配当23円が含まれていました。
通期見通し
会社は2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。売上高は前期比0.4%増の3600億円を見込む一方、営業利益は12.8%減の211億円、純利益は25.1%減の145億円を予想しています。
| 項目(百万円) | 5月13日公表予想 | 今回予想 | 前期実績(増減率から概算) | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 360,000 | 360,000 | 約358,566 | +0.4% |
| 営業利益 | 21,100 | 21,100 | 約24,197 | -12.8% |
| 経常利益 | 20,800 | 20,800 | 約24,615 | -15.5% |
| 純利益 | 14,500 | 14,500 | 約19,359 | -25.1% |
前期実績は短信に記載された増減率から算出した概算です。第1四半期の売上高は通期予想の約21%、営業利益は約24%に当たります。会社は予想を変更しておらず、資機材価格や労務費の上昇が続く環境で、国内建築の受注回復や海外工事の採算維持が予想達成の焦点になります。
戦略トピック
東亜建設は中期経営計画「2026~2028」に基づき、事業戦略とサステナビリティ戦略を一体で進める方針です。長期目標として、2035年度に売上高5000億円、営業利益300億円を掲げています。
- 国内インフラ: 海上土木を軸に、港湾・鉄道・道路などの整備に取り組む。公共投資や国土強靱化、防衛関連インフラの需要を見込む。
- 海外事業: 東南アジアを中心に、アフリカや南アジアでも海上土木工事を展開する。今期は大型港湾工事の進捗と設計変更の獲得が業績に寄与した。
- 連結範囲: 第1四半期からR2TOA CORPORATIONを新たに連結した。短信では業績への具体的な影響額は示されていない。
国内では防災・減災や安全保障関連のインフラ整備が中長期の需要を支える可能性があります。ただし、長期目標の達成には受注の確保に加え、工事の採算管理や人材の確保が欠かせません。
リスクと課題
会社は、公共投資が堅調な一方で、外部環境や建設コストを注視する必要があるとしています。今後の利益を左右する主なリスクは次の通りです。
- 資機材価格・労務費: 建設資材や人件費の上昇が続けば、工事原価が膨らみ、採算や営業利益を圧迫する可能性がある。
- 工事採算と進捗: 大型案件の売上計上時期や高採算工事の竣工状況で四半期業績が変動する。国内土木では船舶の原価差損が利益を押し下げた。
- 海外情勢・為替: 米国の通商政策、中東情勢の緊迫化、エネルギー価格の高騰などが市場や工事環境に影響する。海外工事では地域情勢や為替変動にも注意が必要。
- 受注構成の変化: 国内建築では前年の大型物流施設の反動で受注が減少した。案件の空白が続けば、先々の売上高や稼働に影響するおそれがある。
建設市場には国土強靱化や安全保障関連の需要が見込まれるものの、受注量だけでなく、コスト上昇を工事価格に反映できるかが収益を左右します。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/30)
2,025円
最新終値(2026/10/23)
2,037円+0.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#東亜建設#決算#決算分析#四半期決算#建設業#海外事業#港湾工事#配当#通期業績予想
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
今回の決算は、国内建築の前年反動による減収を海外事業の成長が一部補い、純利益は増えたものの、国内土木の採算低下が営業利益を押し下げる形でした。利益の増減だけでなく、海外の大型工事で設計変更を獲得できた点と、国内土木の受注高が増えた点に注目したいところです。
通期予想は据え置かれましたが、利益は前期を下回る計画です。資材・労務費の上昇が続くなか、今後は国内建築の受注回復と海外工事の利益率を保てるかが、計画達成を見極める材料になります。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/toa-corporation/report/2027-Q1
関連記事
港湾・海洋土木の最新記事
- 決算解説五洋建設2027年3月期 第1四半期五洋建設、2027年3月期第1四半期決算、増収増益で国内土木と海外工事が伸長
- 決算解説大成建設2027年3月期 第1四半期大成建設、2027年3月期第1四半期決算、増収増益も受注減少で通期予想据え置き

- 決算解説鹿島2027年3月期 第1四半期鹿島、2027年3月期第1四半期決算、営業利益7.8%増で受注高21.1%増

- 決算解説大和ハウス2027年5月期第1四半期タマホーム、2027年5月期第1四半期決算、営業損失も通期業績予想を大幅上方修正

- 法廷決定関連大成建設9月15日大成建設リニア工事独占禁止罰金確定、最高裁が上告棄却で有罪判決最終決定

- 上告取下げ鹿島10月19日鹿島建設、中央新幹線工事の独禁法違反事件で上告取り下げ、排除措置命令めぐる一連の訴訟が終結

掲載企業
東亜建設工業株式会社
東証 1885
これが最新の決算解説です





