五洋建設、2027年3月期第1四半期決算、増収増益で国内土木と海外工事が伸長
五洋建設の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比4.6%増の1,821億円、営業利益が8.1%増の111億円、純利益が3.1%増の71億円となり、増収増益でした。大型工事の進捗で国内土木と海外建設が伸び、国内建築の減収を補いました。堅調な受注と通期予想の維持が続く一方、資材価格や有利子負債の増加には注意が必要です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,822億円 | +4.6% | 8,180億円 | 22% |
| 営業利益 | 111億円 | +8.1% | 590億円 | 19% |
| 純利益 | 71億円 | +3.1% | 350億円 | 20% |
| 営業利益率 | 6.1% | |||
この決算のポイント
- 1国内土木の受注高は前年同期比51.5%増の846億円、通期目標に対する進捗率は28.2%
- 2海外建設の売上高は29.8%増の458億円、シンガポール・香港の大型工事が進捗
- 3国内建築は売上高が14.2%減る一方、工事採算の改善でセグメント利益は0.9%増
- 4年間配当予想は前期比4円増の52円、自己株式を約49億円取得
- 5通期業績予想は据え置き、売上高8,180億円・営業利益590億円を計画
業績のポイント
五洋建設(五洋建設株式会社)は2027年3月期第1四半期に増収増益となり、経常利益も前年同期比5.0%増の105億円でした。売上高の増加額は80億円、営業利益の増加額は8億円で、工事の進捗が利益を押し上げました。
- 売上高: 前年同期比4.6%増。完成工事高の増加に加え、その他の売上高も伸びました。
- 営業利益: 8.1%増。売上高の拡大が寄与した一方、販売費及び一般管理費も増加しました。
- 純利益: 3.1%増。営業利益の伸びに加え、特別損益や税金の影響を受けました。
工事進捗が増収増益をけん引した一方で、純利益の伸びは営業利益を下回りました。大型工事が順調に進んだ国内土木と海外建設が売上高を伸ばし、国内建築の減収を補っています。建設資材価格の高止まりが続くなか、利益率を保てるかが今後の焦点です。
セグメント別動向
国内土木と海外建設が売上高を伸ばし、国内建築は減収ながら利益を確保しました。セグメント別では、受注状況にも大きな差が出ています。
国内土木事業は売上高が前年同期比8.7%増の756億円、利益は6.7%増の78億円でした。大型工事を含む手持ち工事が順調に進み、受注高も51.5%増の846億円となりました。官庁・民間工事の受注が堅調で、通期目標に対する進捗率は28.2%です。
国内建築事業は売上高が14.2%減の570億円でしたが、工事採算の改善で利益は0.9%増の37億円と前年同期並みを確保しました。受注高は27.9%減の959億円ながら、通期目標に対する進捗率は29.1%です。
海外建設事業はシンガポール・香港の大型工事が進み、売上高は29.8%増の458億円でした。一方、セグメント損失は前年同期の8億円から9億円へわずかに拡大しました。受注高は前年同期に大型案件を受注した反動で82.0%減となっています。
- その他: 売上高は33.4%増の38億円、利益は255.9%増の4億円。国内開発、造船、環境関連などが含まれます。
国内土木では受注と工事進捗の双方が順調ですが、海外は売上の伸びに利益が追いついていません。受注高の前年同期比だけでなく、受注残の積み上がりと海外工事の採算改善を継続して見る必要があります。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内土木事業 | 756億円 | 42% | 78億円 | 10.3% |
| 国内建築事業 | 570億円 | 31% | 37億円 | 6.5% |
| 海外建設事業 | 458億円 | 25% | -852百万円 | -1.9% |
| その他 | 38億円 | 2% | 4億円 | 11.7% |
通期見通し
五洋建設は2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。第1四半期は増収増益で始まり、通期では売上高3.0%増、営業利益6.7%増、純利益0.9%増を見込みます。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 8,180 | 8,180 | +3.0% |
| 営業利益(億円) | 590 | 590 | +6.7% |
| 経常利益(億円) | 540 | 540 | +1.5% |
| 純利益(億円) | 350 | 350 | +0.9% |
前回予想は2026年5月8日公表分で、今回も修正はありません。会社は国内の国土強靱化や防衛関連工事、物流施設・データセンターなどの民間投資に加え、シンガポール、香港、東南アジアの建設需要を見込んでいます。予想達成には、資材価格の上昇を工事採算に反映し、海外事業の利益改善につなげられるかが重要です。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末から93億円減少し、7,811億円でした。自己資本比率は25.1%から24.5%へ低下し、有利子負債は488億円増えています。
| 項目 | 2026年6月末・予想 | 前期末・前期比 |
|---|---|---|
| 総資産(億円) | 7,811 | 7,904から減少 |
| 自己資本比率 | 24.5% | 25.1%から低下 |
| 有利子負債(億円) | 2,449 | 1,961から増加 |
| 年間配当(円) | 52 | 前期48円から4円増 |
| 自己株式取得 | 約49億円 | 2,781,100株を取得 |
配当予想は中間26円、期末26円で、前期の年間48円から増配となる計画です。第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、期間中の営業キャッシュ・フローは確認できません。現金預金の減少や借入金・コマーシャルペーパーの増加を踏まえると、株主還元と工事資金の確保を両立しながら、負債の増加を抑えられるかが注目点です。
リスクと課題
国内外の建設需要は堅調ですが、資材コストや海外情勢など、工事採算や受注の先行きに影響する要因も残ります。会社が示す業績予想は一定の前提に基づくもので、実績は変動する可能性があります。
- 資材価格と供給制約: 資源・エネルギーや建設資材の高騰・高止まりが続いています。供給制約は解消に向かいつつあるものの、再燃すれば工期や工事原価を通じて利益を圧迫するおそれがあります。
- 海外の地政学リスク: ウクライナや中東情勢、米国の関税政策などで先行きは不透明です。海外建設の受注や資材調達、採算に影響する可能性があります。
- 海外工事の採算: 海外建設は増収でもセグメント損失が続きました。大型案件の進捗だけでなく、利益を確保できる工事運営が課題です。
- 負債と金利負担: 有利子負債が前期末から増え、支払利息も前年同期を上回りました。金利負担の増加が続けば、利益や財務の柔軟性を圧迫する可能性があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/7)
1,499.5円
最新終値(2026/10/23)
1,327.5円-11.5%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#五洋建設#決算#決算分析#四半期決算#建設業#増収増益#受注高#海外建設#配当増額
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コメント
国内土木の受注増と大型工事の進捗は、今後の売上を支える材料です。国内建築も減収のなかで利益を維持しており、採算管理には一定の手応えが見えます。
一方、海外建設は売上が大きく伸びても赤字が続き、受注高も前年の大型案件の反動で大幅に減りました。通期予想を据え置いた判断が妥当かを見極めるには、次の四半期以降の海外工事の採算と受注残の推移が重要です。有利子負債の増加を踏まえ、増配や自己株式取得を続けながら財務余力を保てるかも注目されます。
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掲載企業
五洋建設株式会社
東証 1893
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