鹿島、2027年3月期第1四半期決算、営業利益7.8%増で受注高21.1%増

鹿島の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比1.5%減の6,400億円と減収ながら、営業利益が同7.8%増の405億円、純利益が同16.6%増の309億円と増益を確保した。土木事業の採算改善と海外開発事業の売却益が全体を牽引した。建設事業受注高は同21.1%増の6,302億円と好調で、期初計画通りの通期予想を据え置いた。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,401億円 | -1.5% | 2.9兆円 | 22% |
| 営業利益 | 405億円 | +7.8% | 2,000億円 | 20% |
| 純利益 | 309億円 | +16.6% | 1,700億円 | 18% |
| 営業利益率 | 6.3% | |||
業績のポイント
鹿島(鹿島建設)の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は、売上高が前年同期比1.5%減の6,400億円にとどまった。国内・海外とも建設事業の完成工事高が減少したことが主因だ。一方、売上総利益は同12.7%増の853億円となり、営業利益は同7.8%増の405億円、経常利益は同14.4%増の444億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同16.6%増の309億円となった。土木事業の売上総利益率が21.4%と通期予想20.4%を上回ったことが利益を押し上げ、営業利益率は5.8%から6.3%に改善した。
受注高は建設事業で同21.1%増の6,302億円と大きく伸びた。国内建設は同38.6%増の4,863億円と官民とも堅調で、特に建築工事の受注が大幅に増加した。海外建設は同15.3%減の1,438億円だった。当社個別の受注高は開発事業等を含めて同34.7%増の4,689億円に達した。通期予想は期初計画から据え置かれたが、繰越高は前期末比28.1%増の3兆2,413億円となり、売上計上の進捗に厚みが出ている。
セグメント別動向
鹿島の報告セグメントは土木事業、建築事業、開発事業等、国内関係会社、海外関係会社の5つ。セグメント別売上高・営業利益は以下の通り(単位:億円、内部取引含む)。
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 土木事業 | 1,062 | +13.3% | 152 | +56.8% |
| 建築事業 | 2,261 | -15.2% | 123 | -24.0% |
| 開発事業等 | 113 | +23.1% | 4 | -39.5% |
| 国内関係会社 | 869 | +7.7% | 42 | -20.2% |
| 海外関係会社 | 2,405 | +5.1% | 81 | +48.7% |
土木事業は最盛期にある複数の大型工事の進捗が寄与し、売上高・採算とも大きく改善した。営業利益率は14.3%と全セグメントで最も高い水準に達し、収益の柱として存在感を増した。
建築事業は施工初期段階の工事が多く売上高が減少した。売上総利益率は11.3%と前年から改善したものの、売上減の影響で営業利益は減益となった。
開発事業等は売上高こそ増えたが、不動産開発の売上総利益減少で営業利益が4億円にとどまった。ただし下半期に米国流通倉庫など複数の売却を予定しており、通期計画達成が視野にある。
国内関係会社は建設・開発とも売上を伸ばしたが、販管費や賃上げコストが利益を圧迫した。海外関係会社は建設事業が大洋州・アジアの反動で減収だった一方、米国の開発事業等の売却件数増加が全体を押し上げた。海外開発は今期計画の10〜15件中すでに3件を売却し、米国流通倉庫開発が業績の上振れ要因として注目される。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 土木事業 | 1,062億円 | 17% | 153億円 | 14.4% |
| 建築事業 | 2,246億円 | 35% | 123億円 | 5.5% |
| 開発事業等 | 104億円 | 2% | 5億円 | 4.7% |
| 国内関係会社 | 584億円 | 9% | 42億円 | 7.2% |
| 海外関係会社 | 2,405億円 | 38% | 81億円 | 3.4% |
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は前期末比2,398億円減の3兆3,844億円となった。受取手形・完成工事未収入金等が2,931億円減少した一方、現金預金が888億円増加した。負債合計は同1,908億円減の1兆9,972億円。有利子負債残高は8,177億円(前期末8,331億円)に減少した。自己資本比率は40.4%(前期末39.0%)に改善した。
株主還元では、年間配当金を前期実績と同じ146円00銭(中間73円・期末73円)で予定している。また、2026年5月14日の取締役会決議に基づき、自己株式5,639,500株を取得した。信託口を通じた役員・従業員向け株式交付も実施し、自己株式残高は1,461億73百万円に増加した。財務の安全性は高く、自己資本比率が40%台を回復している点は評価できる。
リスクと課題
会社が決算短信で言及した主なリスク・課題は以下の通り。
- 不安定な国際情勢に伴うインフレ圧力の高まりと政策金利の上昇
- 国内建設市場における労務需給のひっ迫、原油由来製品の価格上昇・出荷制限
- 建設資材の供給状況や価格動向の不透明さ
- 海外開発事業における地政学リスク、インフレ再燃、金利上昇による不動産市況への影響
- 国内・海外建設事業の受注競争激化による採算確保の難しさ
特に、海外関係会社の開発事業は米国の流通倉庫を中心に好調だが、金利上昇局面では売却価格や投資利回りの悪化が業績下振れ要因となる。国内建設は受注高が伸びている一方、労務費上昇を工事価格へ転嫁できるかが利益率維持のカギを握る
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
5,252円
最新終値(2026/10/23)
4,745円-9.7%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#鹿島#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#受注高増加#海外開発事業#土木事業#建築事業#自己株買い
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コメント
第1四半期は減収ながら増益を確保し、特に土木事業の利益率改善が光る。受注高の大幅増は今後の売上高を押し上げる好材料だが、通期予想は保守的な印象で、上振れ余地がある。
注目点は海外開発事業の進捗。米国流通倉庫の売却が計画通り進めば、通期利益の上積みにつながる。一方、建設資材価格や労務費の上昇が続く中、採算管理の徹底が求められる。
自己資本比率の改善や自社株買いなど財務戦略は堅実で、株主還元姿勢も評価できる。今後の受注動向と開発事業の売却時期が株価のカギを握る。
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