清水建設、2027年3月期第1四半期決算、純利益4倍の57%営業増益で通期上方修正

清水建設の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比9.3%増の4,828億円、営業利益が11.8%増の192億円となり、大幅な増収増益を達成した。親会社株主に帰属する四半期純利益は、持分法投資利益や政策保有株売却益の計上が寄与し、前年同期比396.5%増の552億円と急拡大。好調な業績を受け、通期の経常利益と純利益予想を上方修正し、配当も前期比5円増の77円を計画する。主力の建設事業の工事採算改善が利益を押し上げ、年度計画に対しても順調な滑り出しとなった。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,828億円 | +9.3% | 2.3兆円 | 21% |
| 営業利益 | 193億円 | +11.8% | 1,530億円 | 13% |
| 純利益 | 553億円 | +396.5% | 1,655億円 | 33% |
| 営業利益率 | 4.0% | |||
業績のポイント
清水建設(清水建設)の2026年4〜6月期連結決算は、すべての利益段階で大幅増益となった。売上高は4,828億円(前年同期比9.3%増)と伸長し、完成工事高の増加と工事採算改善により営業利益は192億円(同11.8%増)を確保した。経常利益は、清和綜合建物の持分法適用関連会社化に伴う負ののれん相当額355億円の計上などで556億円(同201.0%増)に急拡大。親会社株主に帰属する四半期純利益は、さらに政策保有株式の売却益117億円も加わり、552億円(同396.5%増)と前年同期の約5倍に達した。
利益の急拡大は一過性の要因に支えられた面が大きいが、本業の建設事業も堅調だ。完成工事総利益は前年同期比31.4%増の474億円、完成工事利益率は9.2%から10.8%に改善した。一方、開発事業等の総利益は同49.1%減の58億円と振るわず、不動産市況の変調を示唆する。工事損失引当金は前期末から97億円減少しており、将来の赤字工事リスクの後退も確認された。
通期業績予想は、経常利益と純利益のみ上方修正。経常利益は従来予想比355億円増の1,835億円(前期比50.0%増)、純利益は同355億円増の1,655億円(同30.7%増)とした。売上高(2.31兆円)と営業利益(1,530億円)は据え置いたが、持ち直しつつある民間設備投資や公共投資の底堅さを背景に、上振れの可能性もある。
セグメント別動向
セグメント別では、建設事業が業績を牽引した。当社建設事業(建築・土木)の外部売上高は3,549億円(前年同期比10.5%増)、セグメント利益は155億円(同158.3%増)と大幅な伸び。国内の大型工事進捗と利益率改善が寄与し、特に建築工事の利益率が10.8%(同9.2%)へ向上したことが大きい。土木も堅調で、前年同期比13.4%増収を達成した。
道路舗装事業は、外部売上高337億円(同2.4%減)と微減ながら、セグメント利益は13億円(同22.4%減)と減益。価格競争や原油高による資材コスト上昇の影響を受けた。
投資開発事業は、外部売上高75億円(同48.4%減)、セグメント利益18億円(同66.1%減)と大幅減収減益。前期に大型物件の引き渡しがあった反動減が大きい。不動産販売のタイミングに左右される事業特性が表れた。
その他(エンジニアリング、グリーンエネルギー、建物ライフサイクル等)は、外部売上高865億円(同21.5%増)と拡大し、セグメント利益は22億円(同38.1%減)と減益。売上拡大の一方で収益性が低下しており、事業ポートフォリオの再構築が課題となる。
| セグメント | 外部売上高(億円) | 増減率 | セグメント利益(億円) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 当社建設事業 | 3,549 | +10.5% | 155 | 4.4% |
| 当社投資開発事業 | 75 | -48.4% | 18 | 24.8% |
| 道路舗装事業 | 337 | -2.4% | 13 | 3.9% |
| その他 | 865 | +21.5% | 22 | 2.6% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 当社建設事業 | 3,549億円 | 74% | 155億円 | 4.4% |
| 当社投資開発事業 | 76億円 | 2% | 19億円 | 24.9% |
| 道路舗装事業 | 338億円 | 7% | 13億円 | 3.9% |
| その他 | 865億円 | 18% | 22億円 | 2.6% |
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は2兆6,558億円(前期末比14億円増)とほぼ横ばい。現金同等物の増加や投資有価証券の増加が、受取手形・完成工事未収入金等の減少を補った。負債は工事未払金等の減少などで1兆6,266億円(同265億円減)に縮小し、有利子負債残高は5,732億円(同58億円増)とやや増加したが、自己資本比率は38.2%(同1.4ポイント上昇)と財務の安定性は高まった。
キャッシュ・フロー計算書は未作成だが、手元流動性は潤沢で、現金及び譲渡性預金等の残高は4,338億円(前期末比77億円増)を確保している。配当は前期比5円増の77円(中間38.5円、期末38.5円)を予定。連結配当性向40%を目安とする方針に変更はなく、負ののれん益はキャッシュフローを伴わないため配当予想には反映していない。自社株買いについては本日付で決議を公表しており、取得上限44万株・4億円の枠を設定。株主還元姿勢を強化している。
通期見通し
通期の連結業績予想は、経常利益と純利益が上方修正された。清和綜合建物の持分法適用に伴う負ののれん355億円が通期業績に織り込まれ、経常利益は従来の1,480億円から1,835億円(前期比50.0%増)、純利益は1,300億円から1,655億円(同30.7%増)に引き上げられた。一方、売上高2兆3,100億円(同12.3%増)、営業利益1,530億円(同28.9%増)は据え置き。建設工事の利益率改善を前提としつつ、資材高や労務費上昇への警戒も滲む。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆3,100億円 | 2兆3,100億円 | 2兆578億円 |
| 営業利益 | 1,530億円 | 1,530億円 | 1,186億円 |
| 経常利益 | 1,480億円 | 1,835億円 | 1,223億円 |
| 純利益 | 1,300億円 | 1,655億円 | 1,266億円 |
個別業績予想は修正しておらず、建設事業の受注高予想も前期比19.6%減の1兆4,500億円と保守的。第1四半期受注高が前年同期比35.0%減と低調だったことも影響している。ただし、手持ち工事の繰越高は2兆5,923億円(前期末比2.4%増)と豊富で、売上計画の達成は十分に視野に入る。
戦略トピック
当四半期の最大のトピックは、2026年6月30日付で清和綜合建物株式会社の株式を追加取得し、同社を持分法適用関連会社としたことだ。これにより、負ののれん相当額355億円を持分法による投資利益として計上。同社はオフィスビル等の賃貸・管理事業を手掛けており、清水建設のストック型ビジネスへのシフトを加速させる狙いがある。また、政策保有株式の売却を進めており、当四半期だけで投資有価証券売却益117億円を計上。資産効率の改善と資本政策の機動性が高まった。自社株買いも発表し、株主価値向上への意欲を示した。
リスクと課題
当面のリスクとして、国際情勢の不安定化に伴う景気下振れリスクや金融資本市場の変動が挙げられる。建設業界では資材・エネルギー価格の高止まりと人手不足に伴う労務費上昇が継続しており、工事採算の悪化要因となり得る。投資開発事業も市況変動の影響を受けやすく、セグメント利益の振幅が大きい。地政学リスクの高まりによる海外工事の遅延や採算悪化にも注意が必要だ。一方、国内の建設投資は底堅く、機会も大きい。働き方改革やDX推進による生産性向上が、持続的成長の鍵を握る。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/30)
2,317.5円
最新終値(2026/10/23)
2,029円-12.4%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#清水建設#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#上方修正#純利益急増#持分法投資利益#配当増額#自社株買い
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コメント
清水建設の第1四半期は、表面の数字以上に本業の改善が鮮明だ。営業利益率はまだ4.0%と低いが、建設事業の利益率が10.8%まで回復した点は評価できる。一過性利益を除くと経常利益は200億円弱と推定されるが、それでも前年同期比で堅調だ。
投資開発事業の急減速は気になるが、開発タイミングのズレであり、通期計画は維持。むしろ、清和綜合建物の持分法適用は不動産ストック収益の拡大につながり、長期的な収益安定に寄与しよう。
受注が前年比マイナス35%と低調だが、これは反動減の面が強く、通期予想も保守的。むしろ、手持ち工事高が過去最高水準にあり、売上計画の達成は容易とみる。政策保有株売却や自社株買いなど、資本効率を重視する経営姿勢は心強い。注目点は、秋以降の民間建築受注の回復度合いと、海外工事の利益率改善だ。
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