大成建設、2027年3月期第1四半期決算、増収増益も受注減少で通期予想据え置き

大成建設の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比 18.4%増 の 5,212億円、営業利益が 15.3%増 の 453億円 と増収増益を達成した。建築事業の利益率改善や開発事業の好調が貢献する一方、受注高は前年同期比で 24.5%減 と大幅に落ち込んだ。通期業績予想は据え置かれ、配当は前期比 22.6%増 の年 380円 への増配を計画している。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,212.15億円 | +18.4% | 2.4兆円 | 22% |
| 営業利益 | 453.17億円 | +15.3% | 1,880億円 | 24% |
| 純利益 | 309.09億円 | +4.8% | 1,510億円 | 20% |
| 営業利益率 | 8.7% | |||
業績のポイント
大成建設の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比 18.4%増 の 5,212億円、営業利益が 15.3%増 の 453億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が 4.8%増 の 309億円 となり、増収増益を達成した。売上総利益率は前年同期の15.4%から16.4%へ改善し、特に建築事業と開発事業の利益率向上が寄与した。一方、営業外損益の悪化や販管費の増加(同41.2%増の402億円)が利益の伸びを抑制した。
受注高は前年同期比 24.5%減 の 4,759億円 にとどまり、大型案件の反動や受注環境の変化が影響した。通期業績予想は売上高 2兆4,200億円(前期比 15.8%増)、営業利益 1,880億円(同 0.0%増)、純利益 1,510億円(同 11.2%減)と前期比で据え置かれた。第1四半期の進捗率は売上高で21.5%、営業利益で24.1%と順調だが、受注低迷が今後の業績に影を落とす可能性がある。
セグメント別動向
当四半期のセグメント業績は以下の通りである。
| セグメント | 売上高(億円) | 前年同期比 | セグメント利益(億円) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 土木事業 | 1,656 | +16.9% | 153 | 9.2% |
| 建築事業 | 3,096 | +21.6% | 250 | 8.1% |
| 開発事業 | 424 | +1.7% | 93 | 22.0% |
| その他 | 34 | +41.7% | 7 | 20.6% |
(注:売上高は外部顧客向け、セグメント利益・利益率は報告セグメント利益ベース)
土木事業は、連結子会社の増加により増収となったものの、当社及び子会社の利益率低下が響き、営業利益は前年同期比 37.9%減 の 153億円 に沈んだ。国内外の官公庁向け工事が堅調だったが、利益率の高い一部案件の完工が前期に集中した反動が出た。
建築事業は、当社及び連結子会社の工事量増加に加え、利益率が好転し、営業利益は同 199.1%増 の 250億円 と急回復した。国内民間の設備投資が持ち直し、大型物件の進ちょくが寄与した。開発事業は分譲マンションや不動産販売が好調で、営業利益は同 46.2%増 の 93億円 となった。その他事業では物流関連が伸び、営業利益も同 69.6%増 の 7億円 と堅調だった。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 土木事業 | 1,772.88億円 | 34% | 153.35億円 | 8.6% |
| 建築事業 | 3,155.75億円 | 61% | 250.23億円 | 7.9% |
| 開発事業 | 461.46億円 | 9% | 93.36億円 | 20.2% |
| その他 | 45.34億円 | 1% | 7.1億円 | 15.7% |
通期見通し
2027年3月期通期の連結業績予想は、2026年5月14日公表値から変更なく、売上高 2兆4,200億円、営業利益 1,880億円、経常利益 1,870億円、親会社株主に帰属する当期純利益 1,510億円 である。
| 項目 | 前期実績 | 当期予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,089億円 | 2,420億円 | +15.8% |
| 営業利益 | 1,879億円 | 1,880億円 | +0.0% |
| 経常利益 | 1,957億円 | 1,870億円 | -4.5% |
| 親会社純利益 | 1,700億円 | 1,510億円 | -11.2% |
前期比では売上高が大幅に伸びる一方、営業利益は横ばい、純利益は減益予想となっている。これは営業外収益の減少や法人税負担の増加を織り込んだためだ。第1四半期の進捗率は売上高で21.5%、営業利益で24.1%と堅調だが、受注高が前期比24.5%減と低調なため、今後の受注回復が通期達成の鍵を握る。
個別業績では、売上高 3,467億円(前年同期比12.0%増)、営業利益 361億円(同35.5%増)となり、連結に先行して回復傾向を示している。
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は前年度末比 6.5%減 の 2兆5,376億円、純資産は 1.5%減 の 9,749億円。完成工事未収入金の回収や未成工事受入金の減少により資産・負債が共に縮小した。自己資本比率は 36.8%(同1.9ポイント上昇)と財務の安定性が増した。有利子負債残高は同 3.5%減 の 4,470億円(うちノンリコース債務492億円)と削減が進んでいる。
株主還元では、2027年3月期の年間配当を 380円(中間190円、期末190円)に増配する計画を公表しており、前期実績の310円から 22.6%の増配 となる。また、政策保有株式の縮減方針を掲げ、2026年6月までに取得原価ベースで 5,000億円 超の削減目標を設定している。第1四半期には投資有価証券売却益44億円を計上し、目標達成に向けた取り組みを加速している。
リスクと課題
建設市場は民間設備投資の持ち直しと底堅い公共投資により堅調だが、建設資材価格や労務費の上昇、中東情勢や米国通商政策の不透明感が懸念材料である。同社は受注高の大幅減少をリスクとして認識しており、特に国内建築の民間案件で前年同期比約6割減と顕著な落ち込みを見せている。通期予想は現状維持だが、期初の受注ペースを考慮すると達成には今後の挽回が必要とみられる。為替変動や株式相場の下落も保有する有価証券の評価損を通じて純資産に影響を及ぼす可能性がある。
- 建設資材・労務費の高騰による工事利益率の圧迫
- 米国通商政策や中東情勢に起因する経済の下振れリスク
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
13,575円
最新終値(2026/10/23)
11,235円-17.2%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#大成建設#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#受注減少#配当増額#建設業#2027年3月期
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
建築事業の利益率改善が顕著で、営業利益が前年の約3倍に急回復した点はポジティブ。しかし、受注高が前年同期比で24.5%減と大幅に落ち込んでおり、特に国内建築の民間案件で6割減は懸念材料。通期予想達成には第2四半期以降の受注積み上げが不可欠。
土木事業は利益率低下が響いており、資材高騰と労務費上昇の影響が顕在化しつつある。増配や政策保有株式の縮減は株主還元姿勢の強まりを示すが、本業の受注環境悪化をカバーできるかが焦点だ。
開発事業はマンション販売が好調で利益率22%と高水準を維持しており、安定収益源として成長が期待される。全体として、増収増益だが先行き不透明感が強く、受注動向を注視する必要がある。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/taisei/report/2027-Q1
関連記事
同社の関連記事
スーパーゼネコンの最新記事
- 決算解説大林組2026年3月期 通期大林組・2026年3月期通期、営業利益36.6%増の1,946億円——国内建築の採算改善が寄与、自己資本比率40%到達

- 決算解説清水建設2027年3月期 第1四半期清水建設、2027年3月期第1四半期決算、純利益4倍の57%営業増益で通期上方修正

- 決算解説鹿島2027年3月期 第1四半期鹿島、2027年3月期第1四半期決算、営業利益7.8%増で受注高21.1%増

- 決算解説東亜建設2027年3月期 第1四半期東亜建設、2027年3月期第1四半期決算、売上減も純利益6.7%増
- M&A・子会社化大林組6月18日大林組、豪州・英・加の建設大手Multiplex社を約860億円で子会社化、グローバル事業を加速

- 自己株式買付枠拡大清水建設9月24日清水建設、自社株買い上限を倍増の200億円に拡大 転換社債発行による需給緩和狙う






