椿本チエイン、2027年3月期第2四半期決算、営業利益46%増も純利益は小幅増

椿本チエインの2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比28.4%増、営業利益が46.3%増と大幅な増収増益でした。大同工業の連結子会社化や各地域での販売増が寄与した一方、前年にあった有価証券売却益の反動や事業再編損があり、純利益の伸びは3.0%増にとどまりました。通期予想は売上高と利益を上方修正し、営業増益と通期予想の上方修正が進む決算となりました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,741億円 | +28.4% | 3,550億円 | 49% |
| 営業利益 | 121億円 | +46.3% | 266億円 | 46% |
| 純利益 | 102億円 | +3.0% | 220億円 | 46% |
| 営業利益率 | 7.0% | |||
この決算のポイント
- 1受注高は前年同期比39.7%増の2,049億8,700万円となり、売上高を上回る伸び
- 2モビリティは大同工業の連結子会社化などで売上高が前年同期比46.9%増
- 3マテハンは営業損失が前年同期の4億9,400万円から1億4,000万円へ縮小
- 4通期の売上高予想を5,000百万円、営業利益予想を1,100百万円上方修正
- 5自己株式を8,568百万円取得、年間配当予想は前期と同額の80円
業績のポイント
椿本チエイン(株式会社椿本チエイン)の2027年3月期中間期は、売上高が1,741億3,100万円(前年同期比28.4%増)、営業利益が121億4,500万円(同46.3%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が102億1,500万円(同3.0%増)でした。売上高と営業利益が大きく伸びた一方、純利益は小幅な増加にとどまりました。
- 受注高: 2,049億8,700万円(前年同期比39.7%増)となり、売上高より速いペースで増加しました。
- 売上の押し上げ要因: 日本、米州、欧州、韓国・台湾でパワートランスミッションの販売が増加。モビリティとマテハンには大同工業の連結子会社化も寄与しました。
- 純利益の伸びが限定的: 前年同期に計上した投資有価証券売却益が縮小したほか、当期は事業再編損を計上しました。
設備投資需要などを背景に世界経済は緩やかな回復基調にあり、同社では複数の事業で販売が伸びました。営業利益の増加に対し純利益の伸びが小さいのは、営業外・特別損益の前年との違いが影響しており、本業の収益動向を見るうえでは営業利益の伸長が目立ちます。
セグメント別動向
セグメント別ではモビリティの売上高の伸びが最も大きく、営業損益の前年差には事業ごとの明暗も表れました。前年同期比較は、変更後のセグメント区分に組み替えた数値に基づいています。
パワートランスミッションは売上高が前年同期比16.3%増でした。日本、米州、欧州、韓国・台湾で販売が増加し、営業利益も前年同期を上回りました。地域をまたいだ販売増が、安定した利益成長につながっています。
モビリティは売上高が前年同期比46.9%増でした。環インド洋地域の拠点で自動車エンジン用タイミングチェーンシステムの販売が増えたことに加え、大同工業の連結子会社化で二輪車用部品の販売が加わりました。売上の拡大に伴い、営業利益も増加しました。
マテハンは売上高が前年同期比8.3%増となり、営業損失は縮小しました。日本で金属切屑搬送・クーラント処理装置向けシステムの販売が増加した一方、営業黒字化には至っていません。
- その他: 売上高は前年同期比442.9%増でしたが、営業損失は拡大しました。新規事業やビルメンテナンスなどを含む区分で、売上増が利益改善には結びついていません。
| セグメント | 営業損益の前年差(億円) |
|---|---|
| パワートランスミッション | +6 |
| モビリティ | +18 |
| マテハン | +4 |
| その他 | -6 |
営業損益の改善を最もけん引したのはモビリティで、大同工業の連結子会社化が売上と利益の両面に寄与しました。一方、その他の損失拡大やマテハンの赤字継続は課題として残ります。
- パワトラ+6億円
- モビリティ+18億円
- マテハン+4億円
- その他-6億円
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| パワートランスミッション | 694億円 | 40% | 80億円 | 11.5% |
| モビリティ | 666億円 | 38% | 63億円 | 9.4% |
| マテハン | 320億円 | 18% | -1億円 | -0.4% |
| その他 | 62億円 | 4% | -11億円 | -17.2% |
財務状況と資本政策
9月末の総資産は4,656億7,700万円で、2026年3月末から58億9,300万円増加しました。自己資本比率は64.5%で前期末から横ばいです。営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期を下回りましたが、設備投資を増やし、自己株式の取得も続けました。
| 項目 | 2027年3月期中間期・9月末 | 前年同期・前期末との比較 |
|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 465,677 | 前期末比 +5,893 |
| 自己資本比率(%) | 64.5 | 前期末と同水準 |
| 営業CF(百万円) | 12,595 | 前年同期比 -1,096 |
| 投資CF(百万円) | -7,204 | 前年同期は -1,581 |
| 財務CF(百万円) | -13,581 | 前年同期は -14,625 |
| 年間配当予想(円) | 80 | 前期実績と同額 |
| 自己株式取得額(百万円) | 8,568 | 中間期の支出額 |
配当は中間40円、期末予想40円で、年間予想は前期と同じ80円です。中間期には取締役会決議に基づき自己株式を3,289,300株取得し、取得額はキャッシュ・フロー計算書上で85億6,800万円でした。
投資活動による支出が増えた主因は固定資産の取得で、設備投資を進めながら株主還元も実施しています。現金及び現金同等物は中間期末に716億5,100万円となり、期首から83億5,900万円減少しました。資本効率を意識した自己株式取得と、成長に向けた設備投資を並行させる姿勢がうかがえます。
通期見通し
椿本チエインは2027年3月期通期の連結業績予想を上方修正しました。売上高は従来予想から50億円、営業利益は11億円引き上げ、経常利益も20億円上積みしました。
| 項目(百万円) | 前回予想 | 今回予想 | 修正額 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 350,000 | 355,000 | +5,000 | +20.0% |
| 営業利益 | 25,500 | 26,600 | +1,100 | +23.3% |
| 経常利益 | 26,000 | 28,000 | +2,000 | +12.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 22,000 | 22,000 | 変更なし | -25.9% |
修正は中間期の実績と足元の見通しを踏まえたものです。下半期の前提為替レートは1米ドル150円、1ユーロ175円としています。純利益予想は据え置きで、1株当たり当期純利益の予想は前回の218.17円から217.39円に引き下げました。通期達成には、下半期も販売の勢いを保ちつつ、事業再編費用や利益面の課題を抑えられるかが焦点です。
戦略トピック
椿本チエインは2026年度から「中期経営計画2030」を開始し、収益力を重視した事業構造への転換と、グローバルグループ全体の経営基盤強化を掲げています。今回の中間期は、大同工業の連結子会社化がモビリティなどの事業拡大に寄与しました。
- 中期経営計画2030: 長期ビジョン2030の実現に向けた第二期計画として、社会価値と経済価値の両立を目指します。
- 資本コストを意識した経営: 資本効率の向上を進める方針を示し、自己株式取得も実施しました。
- セグメント区分の変更: 報告セグメントを従来の4区分から3区分へ再編し、パワートランスミッション、モビリティ、マテハンで事業を開示しています。
セグメント再編により、事業ごとの収益状況や成長分野を見極めやすくする狙いがあります。今後は、子会社化による規模拡大を利益率の向上につなげられるか、またマテハンなど課題のある事業の収益力をどう高めるかが重要になります。
リスクと課題
会社は世界経済の回復を見込む一方、先行きには不透明さが残るとしています。業績予想は為替や市場動向などの変化で実績と異なる可能性があります。
- 地政学リスク・資源価格: 地政学的リスクの高まりや資源価格の変動が、需要や調達コストに影響する可能性があります。
- 金融政策と金利: 高金利環境の継続や各国の金融政策が、設備投資や個人消費を通じて販売環境を左右します。
- 地域別の景気差: 欧州・中国では内需の弱さなどから回復が力強さを欠いており、地域によって需要が想定を下回るリスクがあります。
- 為替変動: 通期予想は下半期の為替レートを米ドル150円、ユーロ175円としており、実際の為替が前提から動けば業績に影響します。
- 事業ごとの収益力: マテハンは営業赤字が続き、その他の営業損失は拡大しました。売上の成長だけでなく、採算改善の進捗も注視が必要です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
2,665円
最新終値(2026/10/30)
2,665円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
椿本チエインをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて機械業界の今
掲載54社椿本チエインは機械業界の掲載54社中、売上高で19位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +14.9%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +14.5%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 19社下方 4社
- 営業利益率(業界)
- 9.6%
- 椿本チエイン+23.3%
- 機械(業界平均)+14.9%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は27社合計で売上高+14.6%・営業利益+24.4%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は7社、下回る企業は18社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは19社、下方修正は4社。修正幅が最も大きいのはTHK(営業利益+84.6%)。






タグ#椿本チエイン#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#大同工業#自社株買い#中期経営計画2030#業績予想修正
この記事はいかがでしたか?
登録不要・匿名で送信コメント
営業利益の大幅増と受注高の伸びから、事業の需要は堅調です。特にモビリティは大同工業の連結子会社化が成長を押し上げており、規模の拡大を継続的な利益成長につなげられるかが次の見どころです。
一方、純利益の伸びは小さく、マテハンの赤字やその他の損失拡大も残ります。上方修正だけで評価するのではなく、下半期に利益の質と事業ごとの採算が改善するかを確認したい決算です。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/tsubakimoto-chain/report/2027-Q2
関連記事
搬送・空圧機器の最新記事
- 決算解説ダイフク2026年12月期 第2四半期(中間期)ダイフク、2026年12月期第2四半期決算、受注高と各利益が過去最高、通期上方修正

- 決算解説SMC2026年3月期 通期SMC・2026年3月期、売上高6.4%増の8,425億円——半導体需要の回復で増収、500億円の自社株買いも発表

- 決算解説CKD2027年3月期 第1四半期CKD、2027年3月期第1四半期決算、半導体需要で通期予想を上方修正
- 決算解説ダイキン2027年3月期 第1四半期ダイキン、2027年3月期第1四半期決算、売上高17%増も純利益減

- 自己株式取得終了ダイキン9月7日ダイキン工業、FCSR事後調整で9万6300株増額。平均株価2万3184円で新株予約権者より無償取得を実施

掲載企業

株式会社椿本チエイン
東証 6371
これが最新の決算解説です
次回の決算発表
同業他社の発表予定
今後2週間に609社が決算発表 · 注目企業と進捗率を見る他の決算期
2期- 2027年3月期 第2四半期
- 2027年3月期 第1四半期




