三菱電機、鴻海系に自動車機器事業の50%譲渡契約、評価額3200億円で共同運営へ
三菱電機は10月16日、自動車機器事業を運営する三菱電機モビリティの株式50%を、鴻海精密工業の投資管理会社Lin Yin International Investmentに譲渡する契約を結んだ。譲渡額は1150億円を見込む。事業を同社に集約する会社分割も行い、両社で共同運営する。鴻海との50%共同運営により、三菱電機の電動パワートレインやソフトウェア技術と、鴻海の市場展開力を組み合わせる。取引後は連結子会社から持分法適用会社となる見込みで、2027年3月期には約1000億円の減損損失を計上する見通し。

三菱電機モビリティ株の半分を譲渡、企業価値は3200億円
三菱電機は、完全子会社の三菱電機モビリティを承継会社として、自動車機器事業に関する資産、負債、契約などを吸収分割で移す。あわせて発行済み株式の50%をLin Yin社に譲渡し、譲渡後は三菱電機と同社がそれぞれ50%を保有する。Lin Yin社は鴻海精密工業が設立し、同社が全株式を保有する投資会社だ。
| 項目 | 開示内容 |
|---|---|
| 対象事業の企業価値 | 3200億円 |
| 契約締結後の資産変動を考慮した株式価値 | 2300億円 |
| 50%持分の譲渡価額(見込み) | 1150億円 |
譲渡額は合意した株式価値の半分に当たる。対象事業の企業価値と株式価値は異なる指標であり、単純な前期比の対象ではない。資料には同業他社や業界平均との評価額比較は示されていない。取引は国内外の競争法に基づく関係当局の承認取得などを条件とする。
2026年3月期は営業黒字に転換、売上高は前期比4.7%減
三菱電機モビリティの2026年3月期の売上高は6575億6500万円で、2025年3月期の6903億8800万円から4.7%減った。一方、営業損益は前期の10億8000万円の赤字から、当期は131億8300万円の黒字へ転じた。経常利益は162億4700万円から291億7400万円、親会社株主に帰属する当期純利益は179億9100万円から357億7700万円に増加した。2024年3月期は会社設立前のため、比較可能な業績数値は開示されていない。
| 三菱電機モビリティ | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 前期比など |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6903億8800万円 | 6575億6500万円 | 4.7%減 |
| 営業損益 | 10億8000万円の赤字 | 131億8300万円の黒字 | 黒字転換 |
| 経常利益 | 162億4700万円 | 291億7400万円 | 増益 |
| 純利益 | 179億9100万円 | 357億7700万円 | 増益 |
対象事業全体の2026年3月期売上高は8756億円。こちらは会社本体などにまたがる対象事業全体の数値で、子会社単体の売上高とは範囲が異なる。業界平均との比較値は資料に記載がなく、事業の競争力を判断するには今後の受注や採算の推移も見極める必要がある。
2027年3月期に約1000億円の減損、2028年3月期から持分法適用へ
株式譲渡後、三菱電機モビリティは2028年3月期から連結子会社を外れ、持分法適用会社となる見込み。三菱電機は2027年3月期の連結決算で、譲渡に関連する減損損失約1000億円を「その他の損益」に計上する見通しだ。これは2026年3月期の三菱電機の営業利益4330億9500万円の約23%に相当する。ただし、減損損失と営業利益は会計上の区分が異なり、単純に業績への影響額を示す比率ではない。2027年3月期の連結業績予想は他の要因も含めて精査中で、10月30日に公表する予定としている。
会社分割契約の締結と三菱電機モビリティの株主総会決議は2027年度上期中、分割の効力発生日と株式譲渡実行日は2027年10月予定。会社分割は簡易吸収分割に当たり、三菱電機の株主総会決議を経ずに実施する。対象事業の資産・負債額は2026年3月末時点で資産7275億円、負債3754億円だが、社内管理上の未監査数値であり、実際の承継額は効力発生日までの変動を調整する。
開示前後の株価推移
開示当日の終値(2026/10/16)
5,005円
最新終値(2026/10/23)
4,770円-4.7%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#三菱電機#鴻海精密工業#会社分割#株式譲渡#自動車機器#電気自動車#モビリティ#事業再編
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コメント
今回の提携は、三菱電機が自動車機器事業を手放すのではなく、株式の半分を維持しながら鴻海の規模や市場展開力を取り込む枠組みだ。電動パワートレインや制御技術を日本発のEVプラットフォームとして展開できるかが、中長期の成長を左右する。一方、連結除外に伴う事業規模や利益の見え方の変化、約1000億円の減損が短期業績に与える影響にも注意が必要だ。技術補完と資本負担の両立が進むか、実行後の受注、採算、共同開発の具体化が投資家の焦点となる。
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