クラフティア、2027年3月期第1四半期決算、売上高1.9%減も経常利益4%増
売上高
987億円
-1.9%
通期予想
5,000億円
営業利益
107億円
-3.3%
通期予想
555億円
純利益
84億円
+9.0%
通期予想
405億円
営業利益率
10.9%
クラフティア(クラフティアホールディングス)は2026年7月30日、2027年3月期第1四半期決算を発表した。連結売上高は986億96百万円(前年同期比1.9%減)と微減収となったが、経常利益は122億12百万円(同4.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は84億15百万円(同9.0%増)と増収ならずも最終増益を達成した。受注高は再開発案件や物価転嫁が寄与し1,463億50百万円(同16.1%増)と大幅増、手持ち工事高も5,280億41百万円と過去最高を更新し、通期増収への期待が高まる。
業績のポイント
当第1四半期は、大型案件が工事初期段階にあり出来高計上が限定的だったため、売上高は986億96百万円と前年同期比1.9%の減収となった。しかし、旺盛な設備投資を背景に受注高が1,463億50百万円(同16.1%増)と急拡大し、期末手持工事高は5,280億41百万円(同9.1%増)と過去最高を更新。利益面では、売上総利益は192億49百万円(同0.1%増)とほぼ横ばいだったが、販管費が増加したため営業利益は107億31百万円(同3.3%減)。一方、営業外収益で受取配当金や投資事業組合運用益が拡大し、経常利益は122億12百万円(同4.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益も84億15百万円(同9.0%増)と最終増益を確保した。
主な業績数値は以下の通り。
| 項目 | 前年同期実績 | 当期実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,005億68百万円 | 986億96百万円 | △1.9% |
| 売上総利益 | 192億29百万円 | 192億49百万円 | +0.1% |
| 営業利益 | 110億98百万円 | 107億31百万円 | △3.3% |
| 経常利益 | 117億37百万円 | 122億12百万円 | +4.0% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 77億19百万円 | 84億15百万円 | +9.0% |
為替や金利、資材価格の高止まりは続くが、同社は価格転嫁と施工体制の効率化を進めており、通期の業績予想に変更はない。
業績推移(通期)
セグメント別動向
報告セグメントは設備工事業とその他事業からなる。設備工事業の売上高は943億58百万円(前年同期比2.3%減)と全体の95.6%を占めるが、内訳で明暗が分かれた。
配電線工事は、電力インフラの更新需要や再生可能エネルギー接続に支えられ、売上高145億41百万円(同15.0%増)と好調。屋内線工事は首都圏・関西圏・福岡の再開発や物流施設向け案件が順調に進捗し、売上高496億10百万円(同4.2%増)と伸長した。一方、空調管工事は大型案件の工事サイクルが端境期に入り、売上高302億5百万円(同16.9%減)と大幅減。ただ、受注高では配電線150億77百万円(同9.1%増)、屋内線776億82百万円(同7.8%増)、空調管535億90百万円(同33.3%増)と全部門で増加しており、回復基調が鮮明だ。
その他事業は、材料販売や不動産、再生可能エネルギー発電、人材派遣などを含み、売上高43億37百万円(同8.7%増)と堅調。セグメント利益も7億41百万円と増益に寄与した。
部門別売上高構成を下表に示す。
| セグメント/部門 | 売上高 (百万円) | 前年同期比 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 設備工事業 | 94,358 | △2.3% | 95.6% |
| 配電線工事 | 14,541 | +15.0% | 14.7% |
| 屋内線工事 | 49,610 | +4.2% | 50.3% |
| 空調管工事 | 30,205 | △16.9% | 30.6% |
| その他 | 4,337 | +8.7% | 4.4% |
| 合計 | 98,696 | △1.9% | 100% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 設備工事業 | 944億円 | 96% | 100億円 | 10.5% |
| その他 | 43億円 | 4% | 7億円 | 17.1% |
財務状況と資本政策
財政状態は健全で、総資産は前年度末比301億15百万円減の4,931億53百万円。これは主に売上債権の回収により受取手形・完成工事未収入金等が大幅に減少したためだ。負債も仕入債務の決済が進み同301億33百万円減の1,414億90百万円。純資産は配当支払いによる利益剰余金の減少を投資有価証券の時価評価益等で補い、3,516億62百万円(前年度末比17百万円増)と安定している。自己資本比率は70.5%と極めて高い。
キャッシュ・フロー計算書は四半期では作成されていないが、現金預金は前年度末から22億2百万円増加の541億41百万円と手元流動性は潤沢。配当は年間220円(中間110円、期末110円)を予定しており、前期実績と同水準の安定配当を継続する方針だ。自己株式取得や特別な資本政策の発表はない。
リスクと課題
同社の経営環境には以下のようなリスクが存在する。
- 資材・労務費の高騰:諸物価上昇に対し価格転嫁を進めているが、工事採算の悪化圧力は残る。
- 工事進捗の季節性と大型案件依存:期ずれによる売上高の変動が大きく、第1四半期の減収もその一例。手持ち工事高は潤沢だが、工事遅延やキャンセルの可能性はゼロではない。
- 電力・エネルギー政策の変更:宇久島メガソーラー事業では、FIP制度やPPA活用など新たなスキームへの移行を検討中。制度変更による収益性の変動や許認可の遅延リスクがある。
- 競争環境の激化:ゼネコンや異業種からの参入により受注競争が厳しくなる可能性。
いずれも現時点で顕在化した問題ではないが、受注高の拡大と価格転嫁の進捗がリスクを相殺する鍵となる。
通期見通し
2027年3月期通期の連結業績予想は据え置かれ、売上高5,000億円(前期比5.0%増)、営業利益555億円(同1.6%増)、経常利益590億円(同1.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益405億円(同1.1%増)を見込む。第1四半期の進捗率は売上高で19.7%、営業利益で19.3%と、工事の進捗が下期偏重となる同社の特性から概ね計画通り。期末にかけては、手持ち工事の消化が本格化し、増収基調に転じる公算が大きい。
| 項目 | 通期予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5,000億円 | +5.0% |
| 営業利益 | 555億円 | +1.6% |
| 経常利益 | 590億円 | +1.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 405億円 | +1.1% |
本予想は4月公表から修正がなく、同社の自信の表れとも受け取れる。
戦略トピック:宇久島メガソーラー事業の進捗
長崎県宇久島で推進するメガソーラー事業は、技術面・収益面で新たな段階に入った。発電事業者(SPC)は長崎県との海域占用許可協議を継続中で、工程上のクリティカルパスである佐世保側の交直変換所の建設用地使用権を2026年5月に取得。今後は変換所建設と宇久島島内工事に本格着手し、2027年度以降の完成を目指す。
さらに、SPCはFIP制度やPPAスキームを活用した新たな収益改善モデルを検証中。日本政府のエネルギー政策とも整合的であり、実現すれば事業収益性の向上が期待される。同社グループにとって、施工利益に加えSPC持分を通じた投資リターンも見込める大型案件であり、中長期的な成長ドライバーとして注目される。
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第1四半期は売上高・営業利益が減速したが、質的な内容はポジティブだ。まず、受注高が全社で16.1%増と大幅に伸び、特に空調管工事で33.3%増とV字回復の兆しが見える。手持ち工事高も過去最高の5,280億円に達し、下期の増収は確実視される。利益面では営業減益も、有価証券運用等でカバーし経常・最終増益を達成する財務力は評価できる。
懸念点は、空調管の売上高減少が示すように工事の進捗認識に依然ムラがあること。また、資材高騰や人件費上昇に対する価格転嫁の実効性が通期利益率にどう影響するか注視が必要だ。
宇久島メガソーラーは、FIP/PPAへの転換が実現すれば収益性が大幅に改善する可能性がある一方、海域許可など行政手続きの遅延リスクは残る。とはいえ、受注高と手持ち工事高の拡大が示す中期的な成長シナリオは盤石であり、今期の業績予想達成はもちろん、来期以降への期待感を強く感じさせる決算だった。
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