DeNA、2027年3月期第1四半期決算、営業利益46%減もGO上場益で税引前利益3.1倍

DeNAが発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上収益が37,166百万円(前年同期比10.9%減)、営業利益が7,411百万円(同46.3%減)と減収減益となった。一方、持分法適用関連会社のGO株式会社が東証グロース市場へ上場したことに伴う株式売却益39,517百万円を計上し、税引前四半期利益は49,753百万円(同213.5%増)、親会社株主に帰属する四半期利益は33,438百万円(同198.5%増)と大幅増益を達成した。GO上場益が利益を押し上げたものの、本業のゲーム事業は前年の大型タイトル反動で苦戦しており、通期業績予想は据え置かれた。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 372億円 | -10.9% | 1,540億円 | 24% |
| 営業利益 | 74億円 | -46.3% | 150億円 | 49% |
| 純利益 | 334億円 | +198.5% | — | — |
| 営業利益率 | 19.9% | |||
業績のポイント
DeNA(ディー・エヌ・エー)の2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)は、売上収益37,166百万円(前年同期比10.9%減)、営業利益7,411百万円(同46.3%減)と本業ベースでは大きく落ち込んだ。主力のゲーム事業が前年のヒット作『Pokémon Trading Card Game Pocket』の反動で減収減益となり、ライブストリーミングもほぼ横ばいにとどまった。
しかし、税引前四半期利益は49,753百万円と前年同期の3.1倍に急増した。これは持分法適用会社のGO株式会社が2026年6月16日に東証グロース市場へ新規上場し、保有株式の一部売却と残存持分の公正価値評価により、持分法投資利益として39,517百万円を一括計上したためだ。結果、親会社株主帰属の四半期利益は33,438百万円(同198.5%増)と大幅増益を確保した。
一方、同社は2026年5月に公表した通期業績予想を据え置いた。売上収益154,000百万円(前期比4.3%増)、IFRS営業利益15,000百万円(同19.8%減)を見込むが、第1四半期の営業利益進捗率は約49%と低調であり、下期の回復が必須の状況だ。経営陣は事業ポートフォリオの戦略見直しを最優先に進めており、親会社株主帰属の当期純利益予想は「合理的な算出が困難」として非開示としている。
セグメント別動向
各セグメントの業績は以下の通り。
| セグメント | 売上収益(百万円) | 前年同期比 | セグメント利益(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| ゲーム | 12,120 | -33.2% | 3,826 | -62.0% |
| ライブストリーミング | 9,725 | -2.5% | 994 | -0.8% |
| スポーツ・スマートシティ | 13,216 | +16.0% | 4,551 | +24.4% |
| ヘルスケア・メディカル | 1,610 | -3.9% | -748 | —(損失縮小) |
| 新規事業・その他 | 621 | -7.7% | -570 | —(損失拡大) |
ゲーム事業は、2024年10月リリースの『Pokémon Trading Card Game Pocket』の反動が大きく、減収減益となった。大型タイトル後のパイプラインがなく、既存タイトルも減衰傾向にあり、構造的な課題を抱える。
ライブストリーミング事業は、ほぼ前年並み。国内「Pococha」が堅調を維持し、「IRIAM」が四半期ベースで初の黒字化を達成した。収益基盤は安定しつつあるが、高成長軌道への回帰には新たな打ち手が求められる。
スポーツ・スマートシティ事業は、横浜DeNAベイスターズの主催試合数が前年より減少したものの好調を維持し、2026年3月に開業した複合施設「BASEGATE横浜関内」内の直営施設が収益に貢献。売上・利益ともに二桁成長を遂げた。
ヘルスケア・メディカル事業は、医療コミュニケーションアプリ「Join」を核に、ポータブル医療機器との連携「Join Mobile Clinic」や海外展開に集中。固定費削減が進み損失は縮小したが、引き続き黒字化への道筋は不透明だ。
新規事業・その他では、AI関連の新規事業に投資が続き、セグメント損失が拡大。中長期の成長シーズを育てる段階にある。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ゲーム | 121億円 | 33% | 38億円 | 31.6% |
| ライブストリーミング | 97億円 | 26% | 10億円 | 10.2% |
| スポーツ・スマートシティ | 132億円 | 35% | 46億円 | 34.4% |
| ヘルスケア・メディカル | 16億円 | 4% | -748百万円 | -46.5% |
| 新規事業・その他 | 6億円 | 2% | -570百万円 | -91.8% |
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は304,894百万円と、前期末比28,350百万円減少した。GO株式売却で得た資金を原資に、大規模な自社株買い(36,306百万円)を実施したため、現金及び現金同等物が18,616百万円減少し84,430百万円に。流動資産の減少が響いたが、親会社所有者帰属持分比率は71.6%と高水準を維持している。
キャッシュ・フローでは、営業CFが4,941百万円の支出(前年同期は6,950百万円の収入)となり、法人税等の支払いが重しとなった。投資CFはGO株式売却収入36,569百万円により31,534百万円の収入。財務CFは自社株買いと配当7,108百万円により45,161百万円の大幅な支出となった。
配当予想は「業績動向を精査のうえ決定」とし、現時点では未定。前期は年間66円を実施しており、今後の方針が注目される。自社株買い36,306百万円は資本効率重視の姿勢を示すが、還元の持続性には本業収益の回復が不可欠だ。
リスクと課題
決算短信で同社が言及した主なリスク・課題は以下の通り。
- ゲーム事業の収益変動リスク:ヒットタイトルへの依存度が高く、『Pokémon TCG Pocket』の反動が如実に表れた。新作の投入タイミングと収益化が計画通り進まなければ、減収幅が拡大する恐れがある。
- ライブストリーミング市場の競争激化:他社プラットフォームとの競合が続いており、ユーザー獲得コストの上昇が利益率を圧迫する可能性。
- ヘルスケア・AI等の投資負担:ヘルスケア・メディカル事業や新規事業は赤字が続いており、早期の収益化が見通せない場合、財務負担が長期化する。
- 持分法投資先の業績依存:GO株式会社のIPO益は一過性。今後の利益貢献度は同社の株価や業績に左右され、不確実性が高い。
- 戦略の不透明感:通期純利益予想を非開示とし、事業ポートフォリオの見直しを表明しているが、具体策が示されていないため、市場の信認を得るには明確なロードマップが必要。
これらのリスクを踏まえ、DeNAはゲーム事業の立て直しと新事業の収益化が急務となっている。
通期見通し
2027年3月期通期の連結業績予想は、2026年5月公表値を据え置いた。売上収益は前期比4.3%増の154,000百万円を見込むが、営業利益は同19.8%減の15,000百万円に留まる。Non-GAAP営業利益(非経常項目調整後)も同額の15,000百万円(同46.7%減)と、大幅減益予想だ。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 2026年3月期実績 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 154,000百万円 | 147,651百万円 | +4.3% |
| 営業利益(IFRS) | 15,000百万円 | 18,703百万円 | -19.8% |
| 営業利益(Non-GAAP) | 15,000百万円 | 28,164百万円 | -46.7% |
| 親会社株主帰属当期純利益 | 非開示 | 18,078百万円 | — |
第1四半期の営業利益進捗率は約49%に過ぎず、下期には大幅な利益の上積みが必要となる。ゲーム事業の新作投入やスポーツ事業の夏場需要に期待がかかるが、確度は高くない。
戦略トピック:GO上場と持分法投資利益
今回の決算最大のインパクトは、GO株式会社の東証グロース上場に伴う一過性利益だ。DeNAはGO株式の一部を売却し、残存持分を公正価値で再評価。その結果、持分法による投資利益は40,571百万円(前年同期比2,272.7%増)に膨らみ、うち39,517百万円がGO関連の評価益・売却益とみられる。
これによりGOは持分法適用から外れ、今後の連結業績から持分法損益が減少する。DeNAはこの資金を自社株買いなど株主還元に充てたが、本業の収益力が伴わなければ、来期以降の利益水準は急減する可能性が高い。投資家はGO上場益という非経常利益に惑わされず、ゲーム事業の再建と新規事業の進捗を見極める必要がある。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
2,461.5円
最新終値(2026/10/23)
2,550円+3.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#DeNA#決算#四半期決算#決算分析#減収減益#GO上場#持分法投資利益#自社株買い#ゲーム事業#通期業績予想
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コメント
DeNAの第1四半期は、GO上場に伴う一過性の利益が目立ちますが、本業の減収減益は看過できません。特にゲーム事業の落ち込みが顕著で、『Pokémon TCG Pocket』の成功が一巡した後のパイプラインが不透明です。ライブストリーミングは安定していますが、成長加速には新たな施策が必要でしょう。スポーツ事業は順調で、横浜DeNAベイスターズの好調と新施設が貢献しています。
一方、36,306百万円もの大規模な自社株買いは、経営陣の資本効率向上への強い意志を示しており、市場からはポジティブに受け止められる可能性があります。通期業績予想は据え置かれましたが、上期の進捗が低いため、下期の回復力が焦点です。GO上場益の反動を除けば、実質的な利益成長には課題が残ります。ゲーム事業の新作パイプラインとヘルスケア事業の収益化が今後のカギを握るでしょう。
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