EIZO、2027年3月期第2四半期決算、営業利益急回復も通期予想は据え置き

EIZOの2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比7.5%増、営業利益が175.1%増となり、増収増益でした。医療向けや航空管制・防衛向けの販売が伸び、利益率も改善しました。純利益は政策保有株式などの売却益で大幅に増えた一方、部材調達への不確実性から通期業績予想は変更せず、本業の回復と一時利益が併存する決算となりました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 407億円 | +7.5% | 850億円 | 48% |
| 営業利益 | 18億円 | +175.1% | 33億円 | 55% |
| 純利益 | 49億円 | +430.7% | 65億円 | 76% |
| 営業利益率 | 4.5% | |||
この決算のポイント
- 1V&S市場は航空管制の大型案件や防衛向け販売が寄与し、売上高が前年同期比40.8%増
- 2政策保有株式などの売却益44億64百万円を計上し、中間純利益は前年同期比430.7%増
- 3通期売上高予想850億円を据え置き、上期の進捗率は47.9%に到達
- 4自己株式を約57億円取得し、中間配当は前年同期比2円50銭増の57円50銭
- 5クリエイティブワークは競争激化で11.4%減、新型OLEDモニターを12月発売予定
業績のポイント
EIZO(EIZO株式会社)の2027年3月期中間期は、売上高が前年同期比7.5%増の406億97百万円、営業利益は175.1%増の18億15百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は430.7%増の49億38百万円でした。営業利益率は前年同期の約1.7%から4.5%へ改善し、高付加価値製品が本業の利益を押し上げました。
- 売上の伸び: ヘルスケアやB&Pに加え、航空管制・防衛などV&S向けの販売が増加しました。
- 利益率の改善: 高付加価値製品の構成比上昇と円安・ユーロ高が売上総利益を押し上げました。
- 費用面の効果: 欧州の組織再構築・合理化や、前年にあった新技術棟の一時費用がなくなったことが営業利益に寄与しました。
- 純利益の押し上げ: 政策保有株式などの売却益44億64百万円を特別利益に計上しました。
営業利益の伸びは、売上増だけでなく利益率の改善と固定費の抑制が重なった結果です。一方、純利益の大幅増には株式売却益が含まれ、本業の稼ぐ力の伸びと一時的な利益は分けて見る必要があります。経常利益も前年同期比64.3%増の24億51百万円でした。
セグメント別動向
EIZOは会計上、映像機器と関連製品を中心とする単一セグメントですが、決算では用途別の市場区分を開示しています。市場別ではV&Sの伸びが最も大きく、ヘルスケアも堅調でした。
V&S(Vertical & Specific)は、航空管制向けの北米大型案件の出荷開始や、国内外の防衛向け販売拡大で大きく伸びました。監視用途ではセキュリティ市場の成長を背景に販売が堅調で、船舶向けも日本の新造船需要が支えました。社会インフラや安全保障関連の需要が売上を押し上げています。
ヘルスケアは、診断用途で欧州の販売が回復基調となり、インド・中東や日本でも伸長しました。内視鏡用途は中国・インドが好調で、手術室向けも海外で堅調でした。B&Pは欧州の経済環境が厳しいなか、販売案件の積み上げや円安の影響、日本の大型案件で前年を上回りました。
クリエイティブワークはエントリー層向け市場の競争激化で減少しました。EIZOはカラーマネジメント対応のOLEDモニターを2026年12月に発売し、製品競争力の強化を目指します。アミューズメントは前年に主力機種の販売があった反動に加え、遊技人口・店舗数の減少が続きました。市場別の増減率は以下の通りです。
- B&P+16.6%
- ヘルスケア+6.3%
- クリエイティブ-11.4%
- V&S+40.8%
- アミューズ-8.7%
- その他-21.4%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| B&P(Business & Plus) | 72億円 | 18% | - | - |
| ヘルスケア | 172億円 | 42% | - | - |
| クリエイティブワーク | 22億円 | 5% | - | - |
| V&S(Vertical & Specific) | 76億円 | 19% | - | - |
| アミューズメント | 38億円 | 9% | - | - |
| その他 | 29億円 | 7% | - | - |
財務状況と資本政策
2026年9月末の総資産は前期末比445億9百万円増の2,219億91百万円、自己資本比率は前期末の77.2%から75.6%となりました。投資有価証券の評価額上昇が資産と純資産を押し上げた一方、自己株式取得も進めています。
| 項目 | 2027年3月期中間期・期末 | 比較対象 |
|---|---|---|
| 営業CF(百万円) | 2,454 | 前年同期 1,180 |
| 投資CF(百万円) | 8,002 | 前年同期 -4,103 |
| 財務CF(百万円) | -8,178 | 前年同期 -2,441 |
| 年間配当(円) | 115.00予想 | 前期 110.00 |
| 自己株式取得 | 5,707百万円 | 1,926,600株取得 |
営業CFは前年同期を上回り、投資CFは投資有価証券の売却収入などでプラスに転じました。2026年5月と7月の取締役会決議に基づく自己株式取得は、株主還元と資本効率を意識した施策です。年間配当予想は前期比5円増ですが、会社は配当予想を修正していません。
リスクと課題
欧州や中国の景気回復が弱いなか、EIZOは部材調達の不確実性を理由に通期予想を据え置きました。市場ごとの需要差や為替の変動も、今後の売上・利益を左右する要因です。
- 景気・地域需要: 欧州では本格的な景気回復に至らず、中国でも弱い動きが続いています。主要市場の需要低迷が長引けば、販売の回復を妨げる可能性があります。
- 部材調達: 調達状況には不確実性が残ります。供給制約が生じた場合、大型案件を含む出荷や通期業績に影響するおそれがあります。
- 競争環境: クリエイティブワークではエントリー層向け市場の競争が激化しています。新製品の投入が販売回復や競争力向上につながるかが焦点です。
- アミューズメント市場の縮小: 遊技人口と店舗数の減少が続いており、新機種の販売時期による振れに加えて、業界全体の縮小が重荷です。
- 為替変動: 円安・ユーロ高は当期の利益を押し上げましたが、為替が反転すれば海外売上の円換算額や採算に逆風となる可能性があります。
こうした不確実性を踏まえ、会社は業績が計画を上回って順調に推移しているとしながらも、現時点では予想を変更していません。調達状況などを見極め、修正が必要と判断した場合には速やかに公表するとしています。
通期見通し
EIZOは2027年3月期の通期業績予想を前回公表値から据え置きました。会社は上期の業績が計画を上回って順調に推移していると説明する一方、部材調達の不確実性を考慮し、予想修正を見送っています。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 85,000 | 85,000 | +4.5% |
| 営業利益(百万円) | 3,300 | 3,300 | +39.5% |
| 経常利益(百万円) | 4,600 | 4,600 | +21.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 6,500 | 6,500 | -11.2% |
上期の売上高は通期予想の47.9%、営業利益は55.0%に達しました。中間純利益の進捗率は76.0%ですが、上期には株式売却益が含まれ、通期純利益予想は前期比で減益を見込んでいます。利益の進み具合だけで判断せず、下期の部材調達と本業の販売動向を確認する必要があります。
戦略トピック
EIZOは2026年10月30日、第9次中期経営計画を公表しました。2027年度を初年度とする3年間を「映像ソリューション企業への進化と収益構造改革の3年間」と位置づけ、持続的な利益成長を重視します。
- 事業ポートフォリオの強化: 成長性と収益性を基準に事業を見直し、経営資源を成長領域へ重点投入する方針です。
- ソリューション事業の拡大: 映像技術を起点に、顧客の用途や課題に合わせた映像環境ソリューションの提案を加速します。
- 社会課題に関わる市場: 医療、社会インフラ、安全などを支える高品質・高信頼性の映像製品とシステムの提供を掲げています。
当中間期は、航空管制や防衛などV&S市場の伸びが業績を支えました。製品販売にとどまらず、用途に応じた提案やシステム提供を広げ、収益性の高い事業を育てられるかが中期計画の進捗を測るポイントです。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
2,909円
最新終値(2026/10/30)
2,909円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
EIZOをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電機業界の今
掲載59社EIZOは電機業界の掲載59社中、売上高で53位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +15.4%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +22.9%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 23社下方 3社
- 営業利益率(業界)
- 10.6%
- EIZO+32.8%
- 電機(業界平均)+15.4%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は25社合計で売上高+9.2%・営業利益+57.8%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は13社、下回る企業は21社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは23社、下方修正は3社。修正幅が最も大きいのは村田製作所(営業利益+36.8%)。






タグ#EIZO#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#医療機器#航空管制#自己株式取得#配当
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本業の回復を示す営業利益の増加は前向きに評価できます。なかでもV&Sの伸びは、航空管制や防衛など専門性の高い用途でEIZOの技術力が需要につながっていることを示しています。
一方、中間純利益の大幅増は株式売却益の影響が大きく、来期以降も同じ利益水準が続くとは限りません。投資家は営業利益率の改善が下期にも続くか、就活生は映像機器の販売からソリューション提供へ事業を広げられるかに注目したい決算です。
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