北陸電力、2027年3月期第2四半期決算、増収も利益は3割超減

北陸電力の2027年3月期第2四半期決算を分析すると、営業収益は前年同期比5.3%増の4,246億円となった一方、営業利益は37.2%減の417億円、純利益は34.9%減の313億円でした。燃料費調整の時間差や七尾大田火力発電所2号機の停止が利益を押し下げましたが、会社は総販売電力量の見込み増などを反映し、通期予想を上方修正しました。売上増でも利益は大幅減となる構図です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,247億円 | +5.3% | 8,500億円 | 50% |
| 営業利益 | 418億円 | -37.2% | 420億円 | 99% |
| 純利益 | 313億円 | -34.9% | 280億円 | 112% |
| 営業利益率 | 9.8% | |||
この決算のポイント
- 1燃料費調整の時間差などが響き、営業利益は前年同期比37.2%減の417億円
- 2発電・販売事業は売上高が2.2%増えた一方、セグメント利益は32.6%減
- 3送配電事業は地帯間販売などが伸び、売上高11.7%増も利益は40.0%減
- 4通期の営業利益予想を前回から20億円引き上げ、420億円に修正
- 5年間配当予想は25円を維持、中間配当は前年同期から2円50銭増
業績のポイント
北陸電力株式会社(北陸電力)の中間期は、営業収益が前年同期比5.3%増の4,246億円、営業利益が37.2%減の417億円、親会社株主に帰属する中間純利益が34.9%減の313億円でした。売上高は増えたものの、利益は大きく落ち込みました。
- 増収要因: 総販売電力量は前年同期を下回った一方、燃料費調整収入の増加や市場価格の変動が営業収益を押し上げました。電気・ガス料金支援の補助金収入も売上に含まれています。
- 利益の重荷: 燃料費調整のタイムラグ差が悪化し、七尾大田火力発電所2号機の停止影響も加わりました。市場価格変動などによるプラス効果だけでは補えませんでした。
- 販売の内訳: 小売販売電力量は暖房・冷房需要の減少で前年同期比3.7%減、卸販売電力量は卸電力取引所などへの販売増で6.3%増でした。
増収を利益につなげられず、営業費用の増加が営業利益を押し下げました。利益の回復には、販売量だけでなく燃料価格と販売価格のずれを抑え、発電設備を安定して稼働させることが焦点になります。
セグメント別動向
主力の発電・販売事業、送配電事業はいずれも増収でしたが、利益はそろって減少しました。売上高と利益の動きに差があり、増収だけでは収益力の改善を示さない中間期となりました。
発電・販売事業は、売上高が前年同期比2.2%増の3,746億円、セグメント利益が32.6%減の379億円でした。燃料費調整収入や市場価格変動などで売上は増えたものの、燃調タイムラグ差の悪化と七尾大田火力発電所2号機の停止が利益を圧迫しました。志賀原子力発電所1、2号機も引き続き運転できず、供給力の確保が課題です。
送配電事業は、売上高が11.7%増の1,243億円、セグメント利益が40.0%減の66億円でした。地帯間販売や再生可能エネルギー電源の買取に伴う卸電力取引所での販売が増収に寄与しましたが、電力需要の減少と調整力の調達費用増加が利益を押し下げました。
- その他: 北陸電気工事が連結子会社から持分法適用会社になった影響などで、売上高は31.3%減の482億円、利益は23.0%減の25億円でした。
発電・販売事業の利益減少額が大きく、全社利益への影響も主力事業に集中しています。送配電事業も販売収入の増加が利益改善に直結しておらず、調達コストの管理が重要です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 発電・販売事業 | 3,481億円 | 82% | 380億円 | 10.9% |
| 送配電事業 | 479億円 | 11% | 67億円 | 13.9% |
| その他 | 287億円 | 7% | 25億円 | 8.8% |
通期見通し
北陸電力は2027年3月期の連結業績予想を上方修正しました。販売電力量の見通し引き上げなどを織り込み、営業収益を8,500億円、営業利益を420億円、純利益を280億円としています。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 営業収益(億円) | 7,600 | 8,500 | 金額記載なし、前年比+8.1% |
| 営業利益(億円) | 400 | 420 | 金額記載なし、前年比-52.0% |
| 経常利益(億円) | 350 | 400 | 金額記載なし、前年比-52.9% |
| 純利益(億円) | 250 | 280 | 金額記載なし、前年比-48.6% |
前回予想からの引き上げ幅は営業収益が900億円、営業利益が20億円、経常利益が50億円、純利益が30億円です。総販売電力量の通期見通しも310億kWh程度から330億kWh程度へ引き上げました。
一方、燃料費調整の時間差による悪化を見込むほか、会社の想定為替レートは1ドル155円程度から160円程度、原油CIF価格は1バレル100ドル程度から110ドル程度、LNG価格は1トン700ドル程度から820ドル程度に変更されています。販売量や市場価格の好転を織り込んだ修正ですが、燃料価格や為替の前提が変われば利益が振れる余地があります。
財務状況と資本政策
9月末の総資産は前期末比386億円増の1兆8,807億円、自己資本比率は25.8%でした。設備投資などで投資キャッシュフローが営業キャッシュフローを上回り、現金及び現金同等物は期首から減少しました。
| 項目 | 2026年9月末・中間期 | 比較・前年差 |
|---|---|---|
| 総資産 | 1兆8,807億円 | 前期末比+386億円 |
| 自己資本比率 | 25.8% | 前年中間期末24.4% |
| 営業キャッシュフロー | 201億円 | 前年同期比-268億円 |
| 投資キャッシュフロー | -668億円 | 前年同期比で支出223億円増 |
| 財務キャッシュフロー | 260億円 | 前年同期比で収入223億円増 |
| 年間配当予想 | 25円/株 | 前期実績と同額 |
営業キャッシュフローは税引前利益の減少などで縮小し、固定資産取得の支出増が投資キャッシュフローのマイナスを広げました。財務キャッシュフローの収入増には短期借入れなどが影響し、期末の現金及び現金同等物は729億円となりました。
中間配当は前年同期の10円から12円50銭に増額し、期末配当予想も12円50銭として年間配当は前期と同じ25円を見込みます。会社は自己資本比率の回復を踏まえ、株主還元と財務基盤の強化を両立する方針を示しています。
リスクと課題
通期予想は引き上げられましたが、利益の下押し要因や供給設備の制約は残っています。会社が示した販売量、為替、燃料価格の前提と、実際の市場環境の差が今後の業績を左右します。
- 燃料費調整の時間差: 燃料価格の変動が料金に反映されるまでのずれが利益を圧迫する可能性があります。会社も通期予想の修正理由に悪化要因として挙げています。
- 発電設備の稼働: 七尾大田火力発電所2号機の停止が当中間期の利益に影響しました。志賀原子力発電所1、2号機も運転できておらず、供給力や代替電源のコストに注意が必要です。
- 燃料価格・為替: 通期想定の為替レートや原油、LNG価格は前回予想より高くなりました。前提をさらに上回る円安や燃料高は、調達費用を通じて採算を悪化させるおそれがあります。
- 需要・天候と市場価格: 気温による冷暖房需要の変化や電力市場価格の動きで、販売量と収益が変動します。中間期は小売販売電力量が減少しており、需要の回復が想定を下回る場合もリスクです。
- 投資負担と資金繰り: 固定資産取得の支出が増え、営業キャッシュフローは前年同期を下回りました。設備投資を続けながら、財務基盤と株主還元を維持できるかが課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
1,081.5円
最新終値(2026/10/29)
1,081.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
北陸電力をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて電気・ガス業界の今
掲載19社北陸電力は電気・ガス業界の掲載19社中、売上高で12位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +16.6%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- −22.6%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 2社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 7.8%
- 北陸電力+25.9%
- 電気・ガス(業界平均)+16.6%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は8社合計で売上高+6.4%・営業利益+11.6%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は7社、下回る企業は7社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは2社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは中部電力(売上高+7.7%)。




タグ#北陸電力#決算#決算分析#四半期決算#電力会社#通期予想上方修正#燃料費調整#配当
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営業収益が増えた一方で営業利益が大きく減っており、北陸電力の中間期は販売規模よりも燃料費調整の時間差と発電設備の稼働が収益を左右した決算です。とくに主力の発電・販売事業で利益が縮んだ点は、通期予想の上方修正だけを見て安心できない理由になります。
販売量の見通しを引き上げた判断は前向きですが、燃料価格や為替の想定も上がっています。下期は販売量の増加が利益回復につながるか、火力発電所の稼働状況と燃料調達コストを合わせて確認したいところです。
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