レーザーテック、2026年6月期通期決算、売上高8.3%減も受注高回復で来期増収増益予想

レーザーテックが2026年6月期通期決算を発表、売上高は2,304億85百万円(前年同期比8.3%減)、営業利益は1,052億59百万円(同14.3%減)と減収減益となりました。一方、受注高は2,375億4百万円と前期比125.7%増と急回復し、受注環境は大きく改善。来期はAI向け半導体装置の旺盛な需要を背景に、売上高2,900億円、営業利益1,250億円と増収増益を見込んでいます。
決算の数字通期
1年間の確定値(前年比)
| 項目 | 実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,305億円 | -8.3% |
| 営業利益 | 1,053億円 | -14.3% |
| 純利益 | 775億円 | -8.5% |
| 営業利益率 | 45.7% |
業績のポイント
レーザーテック(レーザーテック株式会社)の2026年6月期連結業績は、売上高が2,304億85百万円(前年同期比8.3%減)、営業利益が1,052億59百万円(同14.3%減)、経常利益が1,078億95百万円(同9.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が774億85百万円(同8.5%減)と、前期に続く減収減益となりました。減収の主因は、前期の受注高が1,052億26百万円と低調だった反動で、半導体関連装置の売上高が1,680億90百万円(同17.2%減)に減少したことです。
一方で、サービス売上高は586億46百万円(同36.5%増)と大きく伸び、設置済み装置の保守・サポート需要が拡大しました。営業利益率は45.7%と前期の48.8%からは低下したものの、依然として極めて高い水準を維持しています。営業外収益では為替差益20億68百万円を計上し、経常利益の下支えとなりました。
最も注目すべきは受注動向で、当期の受注高は2,375億4百万円と前期比125.7%増と急回復し、受注残高も3,229億64百万円に積み上がりました。これはエージェント型AI実装・普及に向けたデータセンター投資の拡大が、CPU/GPUやHBMといった先端半導体の需要を牽引し、レーザーテックのEUVマスク検査装置など高精度検査装置への引き合いが急速に強まったためです。この受注残を背景に、来期は大幅な増収増益が見込まれます。
研究開発費は162億92百万円と前期比39.5%増と積極投資を続けており、次世代半導体の微細化・複雑化に対応した検査技術の開発を加速しています。
品目別動向(セグメントに準ずる)
同社は単一セグメントのためセグメント情報は開示していませんが、品目別の販売実績から事業の状況を把握できます。
半導体関連装置は、売上高1,680億90百万円で前年同期比17.2%減となりました。前期の受注減が響いた格好ですが、当期の受注高は1,722億16百万円(同208.5%増)と急回復しており、受注残高は3,013億3百万円と高水準です。これはAI向け先端ロジック・メモリ半導体の需要がけん引したもので、EUVリソグラフィ用のマスク検査装置やブランクス検査装置など、レーザーテックのほぼ独占的な製品群への引き合いが強まっています。地域別では、韓国向けが538億56百万円で最大、台湾向けが274億46百万円と前期の515億円から半減したものの、日本向けが225億67百万円、その他アジア向けが258億65百万円と分散が進みました。米国向けは347億99百万円と前期比で減少していますが、受注ベースでは拡大傾向にあります。
サービスは、売上高586億46百万円で前年同期比36.5%増と大きく伸びました。半導体装置の稼働台数増加に伴い、定期保守やアップグレード、部品交換などのサービス需要が堅調に拡大しています。地域別では台湾向けが180億46百万円、米国向けが167億82百万円、韓国向けが113億17百万円と、主要半導体生産地域を中心にまんべんなく増加しました。受注高も617億91百万円(同35.8%増)と好調で、ストック型ビジネスとして収益基盤を強化しています。
その他の製品は、FPD(フラットパネルディスプレイ)向け検査装置や研究開発用装置などで、売上高37億47百万円(同32.5%減)と縮小しました。半導体ほどの市場拡大は見込めないものの、一定のニッチ需要は継続しています。
品目別の売上構成を整理します。
| 品目 | 売上高(百万円) | 前年同期比 | 売上構成比 |
|---|---|---|---|
| 半導体関連装置 | 168,090 | △17.2% | 72.9% |
| サービス | 58,646 | +36.5% | 25.4% |
| その他の製品 | 3,747 | △32.5% | 1.6% |
| 合計 | 230,485 | △8.3% | 100.0% |
財務状況と資本政策
当期末の総資産は3,366億50百万円で、前期末比70億48百万円増加しました。流動資産では現預金が915億3百万円(前期末比54億16百万円増)と積み上がり、手元流動性は極めて潤沢です。仕掛品は1,224億49百万円とほぼ横ばいですが、受注増に伴い今後増加する可能性があります。一方、負債は898億円と前期末比299億1百万円減少しました。主に前受金が442億84百万円(同201億4百万円減)に減少したこと、納税に伴い未払法人税等が減少したことによります。
純資産は2,468億50百万円に増加し、自己資本比率は73.3%と前期末の63.7%から大幅に上昇、財務の安定性が一段と高まりました。これは主に当期純利益774億85百万円の計上による利益剰余金の積み上がりと、自社株買いによる自己株式の増加を上回る内部留保の拡大によるものです。
キャッシュ・フローは、営業CFが485億40百万円(前期比37.7%減)と減少しましたが、これは税金等調整前当期純利益が1,078億95百万円と高水準だった一方で、前受金の減少や法人税等の支払いが重なったためです。投資CFは18億83百万円の支出と小幅で、財務CFは431億81百万円の支出(前期比75.8%増)となりました。この財務CFの主因は、配当金の支払い311億31百万円と、自己株式の取得(自社株買い)120億3百万円です。自社株買いは資本効率の向上と株主還元強化の一環として実施され、56万株超を取得しました。
配当について、当期は年間329円(中間132円、期末197円)を維持し、連結配当性向は38.1%となりました。来期(2027年6月期)は年間351円(中間140円、期末211円)への増配を予定しており、配当性向35%目安の基本方針に沿った還元が続きます。内部留保は研究開発や設備投資に活用し、長期的な競争力強化を目指す方針です。
| 指標 | 2025年6月期 | 2026年6月期 |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 63.7% | 73.3% |
| 1株当たり純資産 | 2,327.06円 | 2,753.84円 |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 46.9% | 33.9% |
| 営業CF | 778億74百万円 | 485億40百万円 |
通期見通し(2027年6月期)
次期(2027年6月期)の連結業績予想は、売上高2,900億円(前期比25.8%増)、営業利益1,250億円(同18.8%増)、経常利益1,250億円(同15.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益900億円(同16.2%増)と、大幅な増収増益を見込んでいます。これは、旺盛なAI半導体投資を背景に、当期に急回復した受注高(2,375億円)と高水準の受注残(3,229億円)が売上計上されることが主因です。
売上高2,900億円の内訳は示されていませんが、半導体関連装置を中心にサービスも伸長し、過去最高の売上高を更新する可能性があります。営業利益率は43.1%と当期からやや低下する見込みですが、これは研究開発費や人件費の増加を織り込んだ保守的な前提によるものと考えられます。なお、為替や地政学リスクなど不透明要因はあるものの、予想達成の蓋然性は高いとみられます。
| 項目 | 前期実績(2026年6月期) | 次期予想(2027年6月期) |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,304億85百万円 | 2,900億円 |
| 営業利益 | 1,052億59百万円 | 1,250億円 |
| 経常利益 | 1,078億95百万円 | 1,250億円 |
| 当期純利益 | 774億85百万円 | 900億円 |
研究開発・成長投資
当期の研究開発費は162億92百万円で、前期の116億77百万円から39.5%増と大幅に拡大しました。売上高研究開発費比率は7.1%に達し、次世代EUV(極端紫外線)リソグラフィの高NA(開口数)対応マスク検査装置や、3D積層デバイス向けの革新的な検査技術の開発に注力しています。
また、設備投資は有形固定資産の取得による支出が14億92百万円と前期から縮小したものの、人員増強やソフトウェア開発を含む無形固定資産への投資も継続しています。人材面では、株式給付制度などを活用した優秀な技術者の確保と定着を進めており、株式給付引当金が前期の6億87百万円から24億67百万円に急増したことは、その積極姿勢を示しています。
今後の成長に向けては、AI需要の持続性が鍵となりますが、レーザーテックの技術的な優位性と高いシェアは当面揺るがず、研究開発投資が新たな収益源を生み出すサイクルが期待されます。
リスクと課題
同社が認識する主なリスク要因は以下のとおりです。
- 地政学リスク:中東情勢などを含む国際的な緊張の高まりが、エネルギー価格の上昇やサプライチェーン混乱を通じて業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 為替変動リスク:海外売上高比率が高く(当期間接的にも海外半導体メーカー向けが多い)、円高が進行した場合、外貨建て収益の円換算額が目減りするリスクがあります。当期は円安による為替差益が利益を押し上げましたが、反動も想定されます。
- 半導体市況の変動:AI需要は底堅いものの、スマートフォンやPCなど他の半導体需要の減速が検査装置投資に波及する可能性があります。
- 技術革新への対応:半導体の微細化が進む中、顧客が求める検査精度やスループットの要求に応え続ける必要があり、研究開発の成否が将来の競争力を左右します。
- 特定顧客への依存度:売上上位顧客への依存度が高い構造が続いており、主要顧客の投資計画変更が業績変動要因となり得ます。
- 政策・規制リスク:米中貿易摩擦や輸出規制の強化などが、一部地域での販売に制約をもたらす懸念もあります。
これらのリスクに対し、同社は技術革新と顧客基盤の拡大、地域分散、強固な財務基盤により耐性を高めています。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
43,330円
最新終値(2026/10/23)
38,040円-12.2%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#レーザーテック#決算#決算分析#通期決算#減収減益#受注高回復#半導体#検査装置#自社株買い#増配
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コメント
前期の受注減少の反動で今期は減収減益となりましたが、受注高が前年比2.3倍と急伸しており、来期以降の大幅な業績回復が期待できます。特にAIデータセンター向けのEUVマスク検査装置など、レーザーテックの独自技術が高く評価されている証左です。
受注残高も3,229億円と高水準であり、今後の売上計上が見込まれます。一方、研究開発費が急増しており、将来の成長への布石と見ることもできますが、利益率にはやや圧迫要因です。
自己資本比率73%超と財務は極めて健全で、120億円の自社株買いと増配予定は株主還元に積極的と言えます。懸念は地政学リスクと為替変動ですが、圧倒的な技術優位性が長期的な成長を支えるでしょう。
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