丸一鋼管、2027年3月期第1四半期決算、営業利益38.8%増で北米がけん引
丸一鋼管の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比8.9%増、営業利益は38.8%増、純利益は31.1%増の増収増益でした。北米の鋼管事業で鋼材価格上昇を受けた採算改善が進み、日本とアジアも増益を確保しました。通期予想は据え置き、原材料価格や為替の変動を注視しながら計画達成を目指します。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 650億円 | +8.9% | 2,745億円 | 24% |
| 営業利益 | 93億円 | +38.8% | 369億円 | 25% |
| 純利益 | 54億円 | +31.1% | 257億円 | 21% |
| 営業利益率 | 14.3% | |||
この決算のポイント
- 1北米の普通鋼鋼管4社は販売数量が減った一方、営業利益は前年同期比147.7%増。
- 2国内は半導体向けステンレス鋼管が伸長し、セグメント利益は前年同期比30.8%増。
- 3アジアはインド工場の生産寄与などで、セグメント利益が前年同期比11.2%増。
- 4年間配当予想は株式分割調整後の前期実績44.83円から52円へ増額の計画。
- 5通期予想は据え置き、売上高2745億円、営業利益369億円、純利益257億円を見込む。
業績のポイント
丸一鋼管株式会社(丸一鋼管)は、2027年3月期第1四半期に増収増益となりました。売上高は650億32百万円(前年同期比8.9%増)、営業利益は92億90百万円(同38.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は54億円(同31.1%増)です。
- 売上高: 前年同期から53億15百万円増加。日本、北米、アジアの全セグメントで増収となりました。
- 営業利益: 前年同期から25億96百万円増加。北米の採算改善に加え、国内・アジアも増益でした。
- 経常利益: 103億74百万円(前年同期比38.0%増)。受取配当金の増加や為替差益など、営業外損益も改善しました。
- 純利益: 前年同期から12億83百万円増加。前期に計上した投資有価証券評価損が当期にはなく、特別損益も前年同期比で改善しました。
北米の採算改善が利益を押し上げた一方、国内では鋼材需要が力強さを欠き、ホットコイル価格の上昇分を販売価格に転嫁する難しさが残ります。利益の伸びが売上高の伸びを上回っており、価格環境の変化を収益に結びつけられるかが今後の焦点です。
- 売上高+8.9%
- 営業利益+38.8%
- 経常利益+38.0%
- 純利益+31.1%
セグメント別動向
全3セグメントで増収増益となりました。利益の伸びは北米が目立ち、地域ごとの需要や鋼材価格の動きが業績を左右しています。
日本は売上高375億54百万円(前年同期比5.7%増)、セグメント利益61億55百万円(同30.8%増)でした。普通鋼鋼管の販売数量は前年を上回りましたが、国内の実需は弱く、ホットコイル高の販売価格への転嫁には苦戦しています。一方、丸一ステンレス鋼管では半導体需要に明るさが見え、BA管の販売本数が大きく伸びました。
北米は売上高163億15百万円(同17.3%増)、セグメント利益20億37百万円(同103.4%増)でした。米国の普通鋼鋼管4社は販売数量が前年同期比8.0%減ったものの、HRC価格が前年末比で上昇し、スプレッド拡大が利益を押し上げました。メキシコでは日系自動車メーカーの生産減が重しとなり、テキサスのステンレス鋼管事業は営業赤字でした。
アジアは売上高111億61百万円(同8.5%増)、セグメント利益9億52百万円(同11.2%増)でした。ベトナムでは表面処理鋼板の輸出が通商政策の影響を受けた一方、鋼管販売が補いました。インドでは新工場の生産が寄与し、販売数量が前年同期比20.1%増加。フィリピンでは納入先の設備トラブルや新車種の立ち上がり遅れが利益を圧迫しました。
- 日本+30.8%
- 北米+103.4%
- アジア+11.2%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 376億円 | 58% | 62億円 | 16.4% |
| 北米 | 163億円 | 25% | 20億円 | 12.5% |
| アジア | 112億円 | 17% | 10億円 | 8.5% |
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は4,330億99百万円で、前期末から107億24百万円増加しました。自己資本比率は81.2%と、前期末の82.5%から低下したものの、引き続き高い水準です。
| 指標 | 2027年3月期1Q | 比較対象・補足 |
|---|---|---|
| 総資産 | 4,330億99百万円 | 前期末比107億24百万円増 |
| 自己資本比率 | 81.2% | 前期末82.5% |
| 営業キャッシュフロー | — | 第1四半期はキャッシュ・フロー計算書を作成せず |
| 中間配当予想 | 26円 | 1株当たり |
| 期末配当予想 | 26円 | 年間配当予想52円 |
| 年間配当予想 | 52円 | 分割調整後の前期実績44.83円 |
現金及び預金は前期末から41億62百万円増え、投資有価証券やステンレス鋼管事業の拡大に関連する固定資産も増加しました。会社は運転資金と設備資金を自己資金中心に充てる方針を示しています。年間配当予想は前期実績を上回る計画ですが、自社株買いについてはこの短信に記載がありません。
通期見通し
丸一鋼管は2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。通期売上高は2,745億円(前期比12.6%増)、営業利益は369億円(同15.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は257億円(同3.7%減)を見込みます。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,745億円 | 2,745億円 | +12.6% |
| 営業利益 | 369億円 | 369億円 | +15.2% |
| 経常利益 | 380億円 | 380億円 | +11.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 257億円 | 257億円 | -3.7% |
会社は第1四半期が前回公表した計画に概ね沿って進んでいるとして、上期・通期予想を変更しませんでした。国内ではホットコイルや人件費、副資材の上昇分を販売価格に転嫁し、北米では在庫管理を徹底する方針です。中東情勢に伴う原油高や円安がコストを押し上げる可能性があり、増益計画の達成には価格転嫁と地域ごとの迅速な対応が重要になります。
リスクと課題
業績は地域分散で支えられていますが、原材料価格や需要動向、通商政策など外部環境の影響を受けます。会社も実際の業績が予想と異なる可能性を示しており、以下の点が焦点です。
- 原材料・エネルギー価格: ホットコイル、亜鉛、油類などの価格上昇が続くと製造コストが増えます。販売価格への転嫁が遅れれば、国内事業を中心に利益率が圧迫されます。
- 為替と中東情勢: 円安や原油価格上昇は企業コストを押し上げ、景気を下押しする可能性があります。為替換算が海外子会社の業績や資産にも影響します。
- 鋼管需要の弱さ: 国内やアジアでは鋼材需要に力強さが見られず、北米でも普通鋼鋼管4社の販売数量は前年同期を下回りました。価格やスプレッドの変化が利益を左右します。
- 通商政策・顧客動向: ベトナムではアンチダンピングなどの政策で表面処理鋼板の輸出が難しい状況です。自動車メーカーの生産減や顧客側の設備トラブル、新車種の立ち上がり遅れも販売に影響します。
- 新工場の立ち上げ: テキサスのステンレス鋼管事業は第1四半期に営業赤字でした。年間黒字化に向けた受注拡大が計画どおり進むかが課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
1,846.5円
最新終値(2026/10/23)
1,696.5円-8.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#丸一鋼管#決算#決算分析#四半期決算#鋼管メーカー#北米事業#増収増益#配当
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コメント
営業利益の伸びを支えた北米では、販売数量が減るなかでもHRC価格上昇を受けて採算が大きく改善しました。数量増ではなく価格差の追い風による増益であるため、コイル価格の上昇が落ち着いた後も利益水準を維持できるかを見極めたいところです。
日本の半導体向けステンレス鋼管やインドの新工場など、地域ごとに異なる成長の芽がある点は強みです。一方、コスト転嫁の遅れや通商政策、顧客の生産変動も続いており、据え置いた通期予想に対する進捗と、各地域の利益の質に注目します。
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掲載企業
丸一鋼管株式会社
東証 5463
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