日本ゼオン、2027年3月期第2四半期決算、営業利益65%増で通期予想を修正

日本ゼオンの2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比8.9%増、営業利益が65.0%増、純利益が17.8%増となり、増収増益でした。原材料高を販売価格に反映したほか、電池・半導体関連の需要が伸び、営業利益を押し上げました。会社は最近の業績動向を踏まえて通期予想を修正し、年間配当予想も前期比3円増の79円としています。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,249億円 | +8.9% | 4,300億円 | 52% |
| 営業利益 | 319億円 | +65.0% | 455億円 | 70% |
| 純利益 | 263億円 | +17.8% | 430億円 | 61% |
| 営業利益率 | 14.2% | |||
この決算のポイント
- 1高機能材料では電池・半導体向けが伸長し、光学フィルムや特殊溶剤も堅調に推移
- 2合成ゴムは中東情勢による調達制約で販売数量が減った一方、値上げと円安が業績を支えた
- 3通期営業利益予想は455億円で前期比25.1%増、中間期の進捗率は70.2%
- 4年間配当予想は79円と前期の76円から増額、中間配当も39円に引き上げ
- 5総資産は前期末から572億円増の6,055億円、自己資本比率は67.1%
業績のポイント
日本ゼオン(日本ゼオン株式会社)は2027年3月期中間期に増収増益となり、営業利益は前年同期から126億円増の319億円でした。売上高は2,249億円、親会社株主に帰属する中間純利益は263億円で、いずれも前年同期を上回りました。
- 値上げと為替: 原材料価格などの上昇を販売価格に反映し、円安も売上高と営業利益を押し上げました。
- 高機能材料の需要: 電池、半導体、AI関連投資を背景に関連製品の出荷が伸びました。
- コストと生産性: コスト削減や生産革新に取り組み、収益力の改善を進めました。
利益の伸びが売上の伸びを大きく上回る結果となりました。販売価格の改定に加え、需要が伸びた高機能材料が利益をけん引した形です。一方、原材料の調達や物価上昇をめぐる環境は不透明で、価格転嫁を継続できるかが今後の利益水準を左右します。
セグメント別動向
エラストマー素材事業は売上高、営業利益とも前年同期を上回りました。中東情勢の悪化で合成ゴムの主原料調達に制約が生じ、汎用ゴムの輸出販売数量は前年を下回りましたが、原材料高を反映した販売価格の改定と円安が増収増益を支えました。合成ラテックス関連では、徳山工場の生産設備停止により医療・衛生用手袋向けの売上高が減った一方、値上げの進展で営業利益は前年を上回りました。
高機能材料事業は売上高、営業利益とも前年同期を上回りました。電池材料では欧州の補助金政策再開などを背景にEV向け需要が拡大し、電力貯蔵用電池の需要も続きました。半導体向け特殊溶剤は好調で、AI関連投資を背景に電子材料の需要も伸びました。半導体向けや大型ディスプレー向け光学フィルムも堅調でしたが、リモートワーク不足の影響で一部の端末向け出荷は減少しました。
その他の事業は、子会社の商事部門などの売上高が前年同期を上回り、事業全体の売上高と営業利益も増加しました。高機能材料の成長と、エラストマー素材での価格改定が同時に収益を支えたことが、今回の増益の特徴です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| エラストマー素材事業 | - | - | - | - |
| 高機能材料事業 | - | - | - | - |
| その他の事業 | - | - | - | - |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末比10.4%増の6,055億円、純資産は7.5%増の4,065億円でした。自己資本比率は前期末から1.8ポイント低下して67.1%となっています。
| 項目 | 2027年3月期中間期 | 前期末・前期実績との比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 6,055億円 | 前期末比 +10.4% |
| 純資産 | 4,065億円 | 前期末比 +7.5% |
| 自己資本比率 | 67.1% | 前期末比 -1.8ポイント |
| 中間配当 | 39円 | 前年同期の36円から3円増 |
| 年間配当予想 | 79円 | 前期実績76円から3円増 |
資産の増加は主に有形固定資産の増加によるもので、負債も借入金などの増加を受けて前期末から拡大しました。キャッシュフロー計算書では有形固定資産の取得に伴う投資支出が示されており、設備投資を進めながら、配当を増やす方針です。決算短信に自社株買いの発表はなく、株主還元では増配が主な動きとなりました。
通期見通し
日本ゼオンは最近の業績動向を踏まえて2027年3月期の連結業績予想を修正しました。今回の予想に対する中間期の進捗率は、営業利益が70.2%と高く、純利益も61.1%に達しています。
| 指標 | 2027年3月期予想 | 前期比 | 中間期進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,300億円 | +4.4% | 52.3% |
| 営業利益 | 455億円 | +25.1% | 70.2% |
| 経常利益 | 465億円 | +16.1% | 72.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 430億円 | +18.7% | 61.1% |
通期予想を修正したことは開示されていますが、この短信には修正前の予想値が記載されていないため、修正幅は比較できません。中間期は価格改定や電池・半導体向けの需要が追い風となりましたが、会社は物価上昇や中東情勢など不透明な事業環境にも言及しています。高い利益進捗を下期も維持できるかが焦点です。
リスクと課題
中間期は増益となったものの、会社は国内外の景気や地政学リスクを含む事業環境について、先行きが不透明な状況が続くとしています。特に原材料調達と需要の変化が、販売数量や利益率に影響する可能性があります。
- 中東情勢と原料調達: 合成ゴムの主原料調達に制約が生じ、汎用ゴムの販売数量が前年同期を下回りました。調達難が長引けば、生産や販売への影響が続くおそれがあります。
- 物価上昇と価格転嫁: 原材料価格などの上昇を販売価格に反映してきましたが、値上げが遅れたり顧客の需要が弱まったりすれば、採算が悪化する可能性があります。
- 景気・消費の鈍化: 国内外では物価上昇が個人消費を押し下げる懸念があります。景気の回復が鈍れば、素材や関連製品の需要に響きます。
- 製品需要の変動: 電池・半導体関連は成長を支えていますが、補助金政策や設備投資の変化で需要が振れる可能性があります。一部の端末向け光学フィルムでは、すでに出荷減少がありました。
会社はコスト削減と生産革新を進める一方、採算性を重視した生産・販売の運営を掲げています。需要拡大の恩恵を取り込むだけでなく、原料制約や市場変動に合わせて供給と価格を管理できるかが課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
2,247円
最新終値(2026/10/29)
2,247円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
日本ゼオンをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて化学業界の今
掲載60社日本ゼオンは化学業界の掲載60社中、売上高で24位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +27.1%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +23.6%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 16社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 8.8%
- 日本ゼオン+33.2%
- 化学(業界平均)+27.1%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は40社合計で売上高+13.1%・営業利益+49.5%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は27社、下回る企業は4社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは16社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのは大阪有機(営業利益+45.3%)。





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今回の決算は、素材価格の上昇を値上げで吸収しつつ、電池・半導体関連の需要を利益成長につなげた点が評価できます。営業利益の進捗率は通期予想を上回るペースですが、予想修正の前後比較や下期の前提が短信だけでは読み取れず、単純に上振れを期待するのは早計です。
投資家は、値上げの継続性と中東情勢による調達制約、高機能材料の需要が下期も続くかを確認したいところです。就職活動中の学生にとっては、既存の素材事業の収益改善と、電池・半導体など成長市場向けの製品展開を同時に進めている点が、事業構造を理解する手がかりになります。
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