ニトリ、2027年3月期第1四半期決算、減収減益も島忠増益で通期予想据え置き

ニトリ(ニトリホールディングス)が発表した2027年3月期第1四半期(4~6月)決算は、売上収益が前年同期比 2.3%減 の 2,262億59百万円、営業利益が 1.1%減 の 365億45百万円 と、4~6月期として2年連続の減収減益 となった。しかし、島忠事業が増益に転じるなど収益構造は改善し、通期では増収増益を見込む予想を据え置いた。6月の天候不順で季節商品が伸び悩んだものの、コスト管理と高付加価値商品へのシフトにより、営業利益率は 16.2% に上昇している。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,263億円 | -2.3% | 9,570億円 | 24% |
| 営業利益 | 365億円 | -1.1% | 1,303億円 | 28% |
| 純利益 | 258億円 | -1.5% | 910億円 | 28% |
| 営業利益率 | 16.2% | |||
業績のポイント
連結売上収益は 2,262億59百万円(前年同期比 △2.3% )、営業利益は 365億45百万円(同 △1.1% )、親会社株主に帰属する四半期純利益は 257億57百万円(同 △1.5% )と、いずれも前年同期を下回った。前年に続く減収減益だが、売上総利益率の改善や販管費の抑制により営業利益率は 16.2% と前年から 0.3ポイント 上昇。純利益の減少は法人所得税費用の増加が影響した。
国内ニトリ既存店では、5月までは客数・売上高とも堅調に推移したが、6月に入り近年に比べて気温が低く推移したため、扇風機や寝具などの季節商品の販売が伸び悩み、客数が前年比 97.5% 、売上高が同 96.7% と低調だった。一方、商品開発では、木目調のダイニングセット「OT001シリーズ」やコードレス扇風機など新商品が好調で、高付加価値PBへのシフトが利益率を下支えした。
海外では、台湾や中国大陸を中心に 6店舗 を新規出店し、合計店舗数は 1,084店舗(うち海外211店舗)に拡大。海外ニトリ事業の売上はアジア地域で堅調に推移したが、中国大陸では前期に実施した不採算店舗の撤退の影響が残り、増収には至らなかった。
セグメント別動向
ニトリ事業 は売上収益が外部顧客ベースで 1,995億88百万円(前年同期比 △1.2% )、セグメント利益が 334億15百万円(同 △1.6% )と減収減益。前述の6月の天候不順に加え、物流経費の適正化や新DC稼働関連費用の一巡で販管費を抑制したが、売上減少分を補えなかった。国内では「GW模様替え応援キャンペーン」などが奏功し、客数・売上高は5月まで堅調。海外では台湾デコホームが 2店舗 出店し計4店舗となるなど好調を持続している。
島忠事業 は売上収益が外部顧客ベースで 266億70百万円(同 △10.3% )と大幅減収ながら、セグメント利益は 31億50百万円(同 +5.3% )と増益を達成した。商品分類別の収益性に基づく売場面積の適正化や、一部店舗へのニトリ店舗併設、外部テナント誘致が奏功。さらに、家具分野では中高価格帯の新PBシリーズ「yutoria」を立ち上げ、一部ニトリ店舗でも展開を開始したほか、衣料品PB「Neasyシリーズ」も好調で、売上総利益率の改善につながった。
| セグメント | 外部顧客売上収益(百万円) | 前年同期比 | セグメント利益(百万円) | 前年同期比 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ニトリ事業 | 199,588 | △1.2% | 33,415 | △1.6% | 16.7% |
| 島忠事業 | 26,670 | △10.3% | 3,150 | +5.3% | 11.8% |
島忠事業の増益は、ニトリとのシナジーが本格化し始めたことを示すとともに、ニトリグループ全体の収益安定化 に貢献している。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ニトリ事業 | 1,996億円 | 88% | 334億円 | 16.7% |
| 島忠事業 | 267億円 | 12% | 32億円 | 11.8% |
財務状況と資本政策
四半期末の総資産は前連結会計年度末比 150億21百万円減 の 1兆5,562億62百万円。営業債権の減少( 181億75百万円減 )が主因。負債は 348億58百万円減 の 5,478億55百万円 で、営業債務の減少( 154億35百万円減 )や未払法人所得税の減少などによる。自己資本比率は 64.8% (前期末62.9%)に上昇し、財務の安定性はさらに高まった。
配当予想は年間 32円(第2四半期末 16円、期末 16円)で据え置き。前期は2025年10月に1株を5株に分割したため単純比較はできないが、分割後ベースでは前期の期末配当 15.40円 から実質的に増配となる見通し。キャッシュ・フロー計算書は非開示だが、現金及び現金同等物は 1,535億23百万円 と潤沢で、今後の設備投資や出店加速、株主還元の余力を十分に確保している。
リスクと課題
会社が認識する主なリスクは以下のとおり。
- 消費者マインドの低下:消費者態度指数の回復遅れにより、耐久消費財の購買意欲が減退。特に6月の気温低下で季節商品が振るわず、年間を通じたリスクとして注視する必要がある。
- 競争激化:家具・インテリア業界では業種・業態の垣根を越えた競争が一層激化しており、価格競争に加え、EC専業や異業種からの参入も増えている。
- コスト上昇:人手不足に伴う労務費の高まりや、原材料価格・物流費の高止まりが継続。とくに海外展開では各国の賃金上昇が収益を圧迫する可能性がある。
- 為替・地政学リスク:中東情勢や金融資本市場の変動が原材料調達や物流網に影響を及ぼす懸念。また海外売上比率が高まる中で為替変動リスクも増大している。
- 出店戦略の成否:国内では出店余地が縮小しつつあるため、小型店やEC強化、そして海外での店舗網拡大の成否が成長の鍵を握る。中国大陸では不採算店撤退後の再成長が課題。
通期見通し
通期予想は2026年5月14日公表の数値から修正なし。売上収益 9,570億円(前期比 +4.9% )、営業利益 1,303億円(同 +3.8% )、親会社株主帰属当期純利益 910億円(同 +1.9% )を見込む。島忠事業の収益改善を主因に、ニトリ事業でも新商品投入と海外拡大で増収増益を狙う。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績(2026年3月期) |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 9,570億円 | 9,570億円 | 9,120億円 |
| 営業利益 | 1,303億円 | 1,303億円 | 1,255億円 |
| 親会社帰属当期純利益 | 910億円 | 910億円 | 893億円 |
第1四半期は減収減益だったものの、会社は「第2四半期以降、新商品の本格展開や気温上昇による季節商品の反動増で挽回できる」との立場。しかし、中国の景気減速や円相場の動向次第では下方修正リスクも残る。
サステナビリティへの取り組み
ニトリグループは「NITORI Group Green Vision 2050」のもと、環境・社会課題への対応を加速。当期第1四半期から、一部ニトリ店舗で 小型家電のリサイクル回収 を開始した。購入先を問わず同一品目の不要家電を無料回収し、リユースまたはリサイクルする仕組みで、資源循環型ビジネスの柱に育てる考え。
再生可能エネルギーでは、傘下の物流拠点や店舗の屋根に太陽光パネルを設置する「ニトリ発電所」プロジェクトを推進。FIP制度を活用し、余剰電力をグループ内拠点へ供給することで再エネ電力の地産地消を実現しており、2030年度までに国内 180拠点 への展開を計画する。
木材調達では、違法伐採排除を徹底するトレーサビリティ強化を継続し、人権・生物多様性に配慮したサプライチェーン構築を進める。これらの取り組みは、投資家層の拡大 や ESG評価の向上 に直結し、長期的な企業価値向上に資すると期待される。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/7)
2,825円
最新終値(2026/10/23)
3,359円+18.9%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#ニトリ#決算#決算分析#四半期決算#減収減益#海外展開#サステナビリティ#島忠#通期予想据え置き#配当
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
第1四半期は天候要因で減収減益となったが、本質的な収益力はむしろ改善している 点に注目したい。売上総利益率の上昇と販管費の抑制により営業利益率は16.2%と高水準を維持し、島忠事業の増益転換も見逃せない。
懸念材料は中国事業の足踏みと、国内既存店の客数減少。5月まで堅調だっただけに、6月の失速が一時的かどうかが第2四半期の焦点となる。通期予想達成には、季節商品の挽回と合わせて、7月以降に投入する新商品の成否が鍵を握る。
また、5分割後初の配当予想(年間32円)を出したことは、株主層の拡大や個人投資家の関心を高めるポジティブ材料。サステナビリティ施策も具体化しており、長期的なESG評価の向上につながるだろう。
全体として、収益構造の質が向上している最中の踊り場 とみるのが妥当で、通期業績への過度な懸念は不要だが、海外マクロ環境の悪化には注意が必要だ。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/nitori/report/2027-Q1
関連記事
専門店チェーンの最新記事
- 決算解説ワークマン2027年3月期 第1四半期ワークマン、2027年3月期第1四半期決算、営業利益33%増で増収増益、通期予想据え置き

- 決算解説ABCマート2027年2月期 第2四半期(中間期)ABCマート、2027年2月期第2四半期決算、通期予想を上方修正も円高警戒

- 決算解説PPIH2026年6月期 通期PPIH、2026年6月期通期決算、売上高2兆4452億円で増収増益

- 決算解説ノジマ2027年3月期 第1四半期ノジマ、2027年3月期第1四半期決算、経常利益84%増で純利益は2倍
- 業績予想修正ABCマート10月7日エービーシー・マートが連結営業利益を前年比増の16億円上方修正、物価上昇とインバウンド効果が続投へ

- 販売状況報告PPIH10月13日ドンキUNYの9月販売実績、通期売上高前期比104.9%増の堅調な推移と出店戦略の詳細分析






