ABCマート、2027年2月期第2四半期決算、通期予想を上方修正も円高警戒

ABCマートの2027年2月期第2四半期(中間期)決算で、売上高は2,023億円と前年同期比6.4%増となり、増収の基調は維持しました。しかし、上半期の好調さを背景に下半期の業績予想を上方修正したことで、通期純利益も押し上げられる形となりました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,023億円 | +6.4% | 4,030億円 | 50% |
| 営業利益 | 361億円 | +7.4% | 672億円 | 54% |
| 純利益 | 259億円 | +6.6% | 477億円 | 54% |
| 営業利益率 | 17.9% | |||
業績のポイント
ABCマート(エービーシー・マート)は2026年8月31日までの第2四半期の連結業績を発表しました。売上高は前年同期比6.4%増の2,022億98百万円となり、営業利益は7.4%増の361億31百万円、経常利益は5.7%増の379億71百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は6.6%増の259億31百万円となりました。これは個人所得や雇用の改善、インバウンド需要の増加が背景にあります。特にランニングやウォーキング需要の高まり、ハンズフリーシューズの人気拡大が売上を押し上げました。
一方で、半期業績だけでなく通期の業績予想も修正されました。上半期の伸び率を上回る勢いが続くと判断し、通期連結売上高を前期比6.4%増の4,030億円に、営業利益を6.2%増の672億円にそれぞれ上方修正しました。この結果、通期純利益予想も前回比+13億円増の477億円となりました。これは前年実績を上回る水準であり、通期目標の達成は確実視される状況です。
株価対価政策に関しても、年間配当金合計を80円と前年同期の75円から5円(+6.7%)増額する方針を示しました。これにより半期末配当は前期同様の35円ではなく、40円に引き上げられました。株主還元の強化は継続しており、資本政策において安定した成長を示しています。
セグメント別動向
国内セグメントでは、売上高が前年同期比4.8%増の1,463億42百万円となりました。既存店の売上高増収率は前年同期比4.5%増でした。これは円安進行によるインバウンド客の消費拡大と、スポーツアパレルの品揃え強化が寄与したためです。店舗展開では、地方郊外のショッピングセンターを中心に16店舗を新規出店し、9店舗を閉店しました。「ABC-MART GRAND STAGE」や「ABC-MART SPORTS」といった大型複合業態を重点的に expansion させています。特に京都にオープニングしたランニング特化型「OSHMAN'S RUN & FITNESS」は地域密着型のコミュニティ形成を目指しており、新業態の展開が注目されます。
海外セグメントでは、売上高が前年同期比10.8%増の586億92百万円、セグメント利益は31.5%増の42億99百万円と大幅な伸びを示しました。背景には韓国子会社による靴小売店「FOLDER」の譲受があり、店舗数が16店舗増加して海外店舗総数は408店舗となりました。特に韓国ではインバウンド需要が好調で売上高が11.3%増、台湾でも14.9%増と、アジア圏での勢いが止まりません。米国子会社の Leather shoe 事業も円安効果で5.4%増となりました。
品目別では、スポーツシューズが5.2%増、ウェアその他が29.5%増と大きく伸びました。キッズ向けも10.5%増と堅調です。一方で、サンダルは1.5%減、レディースは4.7%減と足踏みとなりました。これは商品構成の変化や季節要因、あるいは在庫調整の影響と考えられます。スポーツアパレルの拡充が成功しており、シューズ単体からライフスタイルカジュアルへとビジネスモデルが深化していることが数字から読み取れます。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内 | 1,463億円 | 72% | 319億円 | 21.8% |
| 海外 | 565億円 | 28% | 43億円 | 7.6% |
財務状況と資本政策
財政状態は極めて健全です。総資産は前連結会計年度末比204億37百万円増の4,756億39百万円となりました。純資産は154億81百万円増の4,164億81百万円、自己資本比率は86.9%と非常に高い水準を維持しています。これにより財務基盤は安定しており、__リスクへの備えも十分に取れている==と言えます。
キャッシュ・フローを見ると、営業活動による収支は219億97百万円の黒字となりました。これは前年同期比7億95百万円改善しています。主な要因は利益の拡大に加え、棚卸資産や売上債権の増加が一定程度あったものの、仕入債務の増加によって資金調達が行われたためです。投資活動では83億69百万円の支出となり、店舗改築や韓国「FOLDER」事業の譲受費用などが含まれます。
配当政策については、年間通算で80円と前年比5円増額しました。これにより第2四半期末の中間配当は35円から40円へ引き上げられました。また、連結業績予想の上方修正に伴い、株主還元への意欲も高いことが示されています。現金及び現金同等物は2,121億44百万円の残高となり、資金余力は十分です。
リスクと課題
下半期の課題としては、物価上昇に伴う消費マインドの低下が挙げられます。エネルギー価格や原材料価格の高騰が続く中、消費者の懐は厳しさを増す可能性があります。また、国内では11月から免税制度が「リファウンド方式(帰国後還付)」に変更されるため、インバウンド客の即時的な購買意欲に与える影響が懸念されます。
地政学リスクや貿易摩擦の長期化による供給チェーンへの影響も無視できません。特に海外事業では円安進行が続いているため、為替ヘッジの必要性が高まっています。為替レートの変動により利益が押し下げられるリスクには注意が必要です。
国内店舗展開においても、商業施設の変化に対応するため、既存店の刷新や移転を続ける必要があります。通期で32店舗の新規出店と25店舗の閉店を見込んでおり、ポートフォリオの見直しは継続して行われます。競争環境も激化しており、オンライン販売や他業界との競合に対する戦略的な対応が求められます。
通期見通し
第2四半期決算を受け、ABCマートは通期の連結業績予想を上方修正しました。下半期につきましては、個人所得や雇用の改善、インバウンド需要の継続などを背景に客単価の上昇による売上拡大を見込んでいます。
具体的には以下の通りです。
戦略トピック
今回の決算で特筆すべきは、韓国での大型M&Aと新業態の展開です。韓国大手流通企業から靴小売店「FOLDER」を譲り受け、16店舗を自社グループに組み込みました。これにより韓国における現地市場でのプレゼンスが大幅に強化されました。
また国内では、「OSHMAN'S RUN & FITNESS」といったランニングとフィットネスに特化した新業態の旗艦店を出店し、スポーツコミュニティの創出を目指しています。これは従来のシューズ販売から、健康志向の高い顧客との接点を作り、ライフスタイル提案型のビジネスモデルへ進化させるための戦略です。これらの動きは、長期的な成長ドライバーとなり得ます。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/7)
2,768円
最新終値(2026/10/23)
3,016円+9.0%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#ABCマート#決算#決算分析#中間決算#増収増益#業績予想上方修正#インバウンド需要#M&A#新業態展開
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コメント
ABCマートの今期中間決算は、内需とインバウンドの追い風を浴びて順調に推移しています。特に注目すべきは、海外セグメントの利益率が大幅に改善した点です。韓国でのM&Aによる店舗拡大は単なる規模の拡大にとどまらず、市場支配力を高める意味でも重要です。
一方で、下半期に向けて免税制度の変更という短期的な頭打ち要因があります。これによりインバウンド依存度の高い一部の店舗で売上が減少するリスクがありますが、国内のスポーツアパレル需要や健康志向の高まりがそれをカバーする可能性があります。
株主還元の積極化は好感度高く、配当性向も安定しています。為替リスクには注意が必要ですが、円安進行が続けば輸出・現地調達メリットがあるため、全体として好材料と言えます。通期目標の上方修正は自信の表れであり、投資家からは高評価を受けるでしょう。就活生にとっては、デジタルトランスフォーメーション推進と店舗のリノベーションが人事面でも良いネタになりそうです。
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株式会社エービーシー・マート
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