積水化学、2027年3月期第2四半期決算、営業利益33%増で通期予想を上方修正

積水化学の2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比11.4%増、営業利益が33.0%増となり、いずれも中間期の過去最高を更新しました。原料・部材の価格上昇に対する販売価格の改善や、高付加価値品の販売拡大が利益を押し上げました。会社は需要前倒しの反動を見込みつつも、通期予想を上方修正し、年間配当も増額しました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,017億円 | +11.4% | 1.5兆円 | 47% |
| 営業利益 | 604億円 | +33.0% | 1,230億円 | 49% |
| 純利益 | 348億円 | +9.7% | 760億円 | 46% |
| 営業利益率 | 8.6% | |||
この決算のポイント
- 1高機能プラスチックスは半導体向けなどが伸び、売上高が前年同期比18.2%増
- 2環境・ライフラインは出荷増と採算改善で営業利益が前年同期比63.3%増
- 3通期営業利益予想を前回から80億円増額し、1,230億円に上方修正
- 4年間配当予想は前期の80円から82円へ増配。中間配当も1円引き上げ
- 5中間純利益には蓄電池の交換費用など97億円の特別損失が影響
業績のポイント
積水化学(積水化学工業)は、2027年3月期中間期の売上高が7,017億円(前年同期比11.4%増)、営業利益が604億円(同33.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が347億円(同9.7%増)となりました。売上高、営業利益、経常利益はいずれも中間期の過去最高を更新しました。
- 販売価格の改善: 原料・部材価格の上昇に対し、価格改定を速やかに進めて採算を確保しました。
- 高付加価値品の拡販: エレクトロニクスなど成長市場で需要を取り込み、利益の伸びにつなげました。
- 需要前倒しへの対応: 中東情勢の悪化を背景にした供給不安や市中在庫の積み増しに対応し、出荷が増えました。
- 純利益の伸びを抑えた要因: 特定の蓄電池の交換費用や定置用蓄電池事業の撤退費用など、合計97億円の特別損失を計上しました。
価格改定と高付加価値品が最高益を後押しした一方、特別損失の計上により純利益の伸びは営業利益を下回りました。需要の前倒しが含まれるため、上期の勢いがそのまま下期に続くかは見極めが必要です。
セグメント別動向
高機能プラスチックスは、売上高が2,642億円(前年同期比18.2%増)、営業利益が383億円(同35.1%増)でした。半導体向け製品や液晶ディスプレイ向け製品、ヘッドアップディスプレイ用中間膜など、高付加価値品の販売が伸びました。航空機やエアモビリティ向けの需要も寄与しました。
環境・ライフラインは、売上高が1,232億円(同10.0%増)、営業利益が132億円(同63.3%増)でした。管材の出荷増やスプレッドの確保に加え、耐火・不燃材料や欧州の合成木材まくらぎの拡販が進み、利益率は10%を上回りました。一方、海外の一部案件には遅れがありました。
住宅は、売上高が2,787億円(同7.8%増)、営業利益が168億円(同3.0%増)でした。新築市況の悪化で受注棟数は前年同期比98%となったものの、高価格帯商品の販売で受注金額は同102%を確保しました。リフォームや賃貸管理、マンション販売も伸びました。
メディカルは、売上高452億円(同2.2%増)、営業利益49億円(同9.5%増)でした。国内・中国の検査薬市況は低調でしたが、欧米の需要前倒しと収益性改善策が支えました。医療事業では一部案件の遅れがありました。利益成長の差を見ると、環境・ライフラインと高機能プラスチックスが全社の増益をけん引しています。
- 住宅+3.0%
- 環境・インフラ+63.3%
- 高機能プラ+35.1%
- メディカル+9.5%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 住宅 | 2,787億円 | 40% | 168億円 | 6.0% |
| 環境・ライフライン | 1,153億円 | 16% | 132億円 | 11.4% |
| 高機能プラスチックス | 2,613億円 | 37% | 383億円 | 14.7% |
| メディカル | 452億円 | 6% | 49億円 | 10.9% |
| その他 | 12億円 | 0% | -68億円 | -583.2% |
通期見通し
積水化学は2027年3月期の通期業績予想を上方修正し、売上高を1兆4,910億円、営業利益を1,230億円としました。前回予想に比べ、売上高を826億円(5.9%)、営業利益と経常利益をそれぞれ80億円(7.0%)引き上げています。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 14,084 | 14,910 | 13,093 |
| 営業利益 | 1,150 | 1,230 | 1,065 |
| 経常利益 | 1,140 | 1,220 | 1,172 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 760 | 760 | 752 |
会社は、中間期の需要前倒しによる反動を想定する一方、スプレッドの維持や高付加価値品の拡販で期初予想を上回ると判断しました。純利益予想は据え置きで、増額分は主に営業利益と経常利益に反映されています。前期実績に対する通期予想は、売上高が13.9%増、営業利益が15.5%増です。
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末から776億円増の1兆5,055億円、自己資本比率は57.4%でした。営業キャッシュフローは前年同期を下回る一方、投資キャッシュフローの支出が増え、財務キャッシュフローは借入などを背景にプラスとなりました。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・中間期 | 前期末・前年同期 |
|---|---|---|
| 総資産 | 15,055億円 | 14,279億円 |
| 自己資本比率 | 57.4% | 59.6% |
| 営業キャッシュフロー | 351億円 | 498億円 |
| 投資キャッシュフロー | -585億円 | -199億円 |
| 財務キャッシュフロー | 332億円 | -120億円 |
| 年間配当予想 | 82円 | 80円 |
営業キャッシュフローの減少には、棚卸資産の増加が影響しました。有形固定資産の取得支出は前年同期の274億円から532億円へ増えており、設備投資が投資キャッシュフローを押し下げています。配当は中間配当を前回予想から1円増額し、年間では前期比2円増の82円としました。累進配当や配当性向40%以上などを掲げる株主還元方針に沿った判断です。
戦略トピック
住宅分野では、国内の住宅・レジデンシャル事業と海外事業を強化するため、ノーブルホーム、未来都市開発、オーストラリアのAusbuild Groupの株式譲渡契約を締結しました。新築住宅の市況が厳しいなか、リフォームや賃貸管理、買取再販に加え、M&Aを通じて事業の柱を広げる狙いがあります。
一方、定置用蓄電池事業からの撤退に伴い、事業構造改善費用26億円を計上しました。また、過去に販売した特定の蓄電池の不具合に関する交換費用として51億円を計上しています。成長領域への投資を進める一方で、事業の選択と集中や製品品質への対応も進めていることが読み取れます。
リスクと課題
中間期の好業績には、需要の前倒しや在庫積み増しに伴う出荷増も含まれます。原料の調達難や住宅市況の低迷、製品交換費用などが今後の業績を左右する可能性があります。
- 原料・部材の価格高騰と調達制約: 中東情勢の悪化が原料価格や調達に影響し、価格転嫁が遅れれば利益率を押し下げるおそれがあります。
- 需要前倒しの反動: 中間期に出荷が増えた反面、下期に需要や市中在庫の調整が起きれば、販売の伸びが鈍る可能性があります。
- 住宅市況の低迷: 新築住宅の売上棟数が減少しており、高価格帯商品の販売やリフォームなどで補えるかが課題です。
- 製品不具合と事業撤退: 蓄電池の交換対応や定置用蓄電池事業の撤退に伴う追加費用が発生する可能性があります。
- 海外案件の遅延: インフラ・リニューアル分野では一部海外案件の遅れが売上高に影響しており、進捗管理が焦点です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
2,574円
最新終値(2026/10/30)
2,574円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
積水化学をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて化学業界の今
掲載60社積水化学は化学業界の掲載60社中、売上高で11位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +24.8%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +24.1%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 19社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 8.8%
- 積水化学−3.8%
- 化学(業界平均)+24.8%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は36社合計で売上高+13.3%・営業利益+51.0%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は27社、下回る企業は4社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは19社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのは大阪有機(営業利益+45.3%)。





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成長市場の需要を取り込みながら価格改定も進め、営業利益を大きく伸ばした点は評価できます。特に高機能プラスチックスと環境・ライフラインが利益をけん引しており、住宅市況の弱さを他事業で補う構図が見えます。
ただし、中間期には需要前倒しや在庫積み増しの影響があり、通期予想の上方修正をそのまま持続的な需要拡大とみなすのは早計です。下期の出荷動向、蓄電池関連費用の追加発生、M&A後の事業統合と収益貢献を確認したい決算です。
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