長谷工、2027年3月期第1四半期決算、営業利益46%増で増収増益、通期予想据え置き

長谷工(長谷工コーポレーション)の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比9.2%増の3,121億円、営業利益が同46.0%増の299億円、純利益が同68.5%増の213億円と、大幅な増収増益を達成した。完成工事総利益率の上昇に加え、マンション分譲の引渡し増加が寄与。通期業績予想は据え置き、年間配当は前期比5円増の100円を予定する。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,121億円 | +9.2% | 1.4兆円 | 23% |
| 営業利益 | 299億円 | +46.0% | 1,100億円 | 27% |
| 純利益 | 213億円 | +68.5% | 660億円 | 32% |
| 営業利益率 | 9.6% | |||
業績のポイント
長谷工(長谷工コーポレーション)が2026年8月6日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月)決算は、売上高が前年同期比9.2%増の3,121億円、営業利益が同46.0%増の299億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同68.5%増の213億円となり、大幅な増収増益を達成した。完成工事総利益率の上昇が利益を押し上げたほか、マンション分譲の引渡し増加も寄与。受注面では、建設工事受注高が前年同期比97.5%増の2,436億円と急伸し、今後の収益基盤となる案件を積み上げた。通期業績予想は据え置かれたが、年間配当予想は100円(前期比5円増)へと増配が示され、株主還元の強化が鮮明となった。
セグメント別動向
報告セグメントは建設関連事業、不動産関連事業、管理運営事業、海外事業の4つ。当期の業績は建設事業がけん引し、不動産事業も増益、管理運営事業は微減益、海外事業は小幅赤字継続となった。
建設関連事業は、売上高2,350億円(前年同期比3.7%増)、営業利益232億円(同50.6%増)と収益性が大幅に改善した。マンション新築工事において、首都圏や近畿・東海圏で大型案件の受注が進み、完成工事総利益率が上昇。同社の土地情報力や施工品質が評価され、採算重視の受注姿勢が功を奏した。当期の完成工事高は1,533億円とほぼ横ばいながら、原価低減により利益率が改善した。
不動産関連事業は、売上高598億円(同18.6%増)、営業利益69億円(同12.2%増)。分譲マンションの新規引渡しが増加し、増収増益を達成した。都市部を中心に需要は底堅く、利益率も安定している。
管理運営事業は、売上高375億円(同0.4%減)、営業利益17億円(同3.9%減)と微減。賃貸管理受託を目的としたマンション開発・売却案件の減少が影響したが、ストック型ビジネスの基盤は維持している。
海外事業は、ハワイ州オアフ島で商業施設運営と戸建分譲開発を進めるが、売上高12億円(前年同期14億円)、営業損失4億円(前年同期1億円の損失)と赤字幅が拡大した。開発途上段階であり、本格収益化はこれからとなる。
| セグメント | 売上高 (億円) | 営業利益 (億円) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 建設関連 | 2,350 | 232 | 9.9% |
| 不動産関連 | 598 | 69 | 11.5% |
| 管理運営 | 375 | 17 | 4.5% |
| 海外 | 12 | -4 | - |
(注:売上高はセグメント間取引を含む)
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建設関連事業 | 2,350億円 | 71% | 232億円 | 9.9% |
| 不動産関連事業 | 598億円 | 18% | 69億円 | 11.5% |
| 管理運営事業 | 375億円 | 11% | 17億円 | 4.5% |
| 海外事業 | 12億円 | 0% | -413百万円 | -35.4% |
通期見通し
2027年3月期通期の連結業績予想は、売上高1兆3,800億円(前期比8.4%増)、営業利益1,100億円(同11.4%増)、純利益660億円(同20.4%増)で、従来予想を据え置いた。建設事業の利益率改善と分譲マンションの安定した引き渡しを織り込む。第1四半期の好調な滑り出しにより、進捗率は順調だが、建設コスト上昇や受注競争の激化など下振れリスクもあり、会社側は慎重な見方を維持している。中間期の受注予想3,300億円に対し、第1四半期の進捗は75.4%と高く、年間計画達成への視界は良好だ。
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は1兆3,531億円(前期末比647億円減)。預り金の減少に伴い現金預金が減少したことが主因。純資産は5,706億円と72億円増加し、自己資本比率は42.1%(前期末39.7%)に上昇した。有利子負債(社債・借入金)は4,185億円と横ばい。キャッシュ・フロー計算書は四半期では非開示だが、資金繰りに懸念はない。
株主還元では、通期配当を前期比5円増の100円に増配予定。自己株式処分による株式給付信託(BBT)およびESOPへの追加拠出(処分価額総額約110億円)も実施し、役員・従業員の業績連動型株式報酬を拡充する。資本効率とインセンティブ強化を図る資本政策がうかがえる。
リスクと課題
決算短信では具体的なリスク要因の明示は限られるが、景気や金利動向によるマンション需要の変動、建築資材や労務費の高騰、施工遅延リスクが常に存在する。実際、前期には工事損失引当金の計上もあり、プロジェクト管理の重要性が増している。また、個別決算では組織再編に伴う特別利益の未計上により純利益予想を下方修正したが、連結業績には影響がないため、グループ経営の安定性は保たれている。海外事業の赤字拡大や管理運営事業の伸び悩みは、今後の成長課題として注視が必要だ。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
2,688.5円
最新終値(2026/10/23)
2,674.5円-0.5%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#長谷工#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#営業利益増加#配当増額#マンション受注#建設業#不動産業
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コメント
長谷工の第1四半期決算は、マンション専業大手として強みを発揮し、利益率の大幅改善を実現した。特に建設事業の粗利率上昇は、単なる受注拡大にとどまらず、採算重視の選別受注と原価管理の精度向上を示しており、持続的な利益成長への構造変化と捉えられる。受注高が前年同期比でほぼ倍増したことも、中期的な収益の視認性を高める好材料だ。
一方、通期予想据え置きは保守的とも映る。建設コスト上昇への警戒と、分譲マンション市場の先行き不透明感が背景にある。海外事業の赤字や管理運営事業の停滞は、事業ポートフォリオの課題として残る。総じて、今期は大幅増益が確実視されるものの、来期以降の成長持続にはコスト環境と需要動向を慎重に見極める必要がある。
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