ソシオネクスト、2027年3月期第2四半期決算、増収も営業減益で通期予想を上方修正
ソシオネクストの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比14.0%増の994億円となった一方、営業利益は同55.7%減の16億円と大幅な減益でした。車載向けやデータセンター向けの売上が伸びたものの、製品構成の変化や研究開発費の増加が利益を圧迫しました。円安などを反映し、通期業績予想は上方修正されています。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 994億円 | +14.0% | 2,250億円 | 44% |
| 営業利益 | 17億円 | -55.7% | 155億円 | 11% |
| 純利益 | 15億円 | -25.9% | 105億円 | 15% |
| 営業利益率 | 1.7% | |||
この決算のポイント
- 1車載・産業機器向け製品売上が前年同期比10.2%増、NRE売上は32.9%増
- 2製品粗利率は前年同期から5.6ポイント低下し、営業利益は55.7%減
- 3通期売上高予想を前回から100億円引き上げ、2,250億円に修正
- 4通期営業利益予想は前回比15億円増の155億円、年間配当予想は50円で据え置き
- 5開発投資や運転資金が増加し、自己資本比率は前期末から6.6ポイント低下
業績のポイント
ソシオネクスト(株式会社ソシオネクスト)の2027年3月期中間期は、売上高が前年同期比14.0%増の994億円、営業利益が55.7%減の16億円、親会社株主に帰属する中間純利益が25.9%減の15億円でした。売上は伸びましたが、製品構成や開発費の影響で利益は減少し、増収と大幅な営業減益が並ぶ決算となりました。
- 製品構成: 売上原価は前年同期比19.8%増となり、製品粗利率は30.1%と5.6ポイント低下しました。
- 研究開発費: 北米の車載・データセンター向け新製品の量産準備や先行開発を進め、前年同期比16.8%増の338億円となりました。
- 為替: 中間期の平均為替レートは1ドル159.4円で、前年同期より13.4円の円安でした。為替差益390百万円も経常利益を下支えしました。
AI需要を背景にデータセンター向けインフラ投資が拡大し、同社が注力する分野では大型商談の獲得と開発が進んでいます。一方、量産前の試作や先行開発に伴う費用が先行しており、売上増がそのまま利益の伸びにつながる段階には至っていません。次の焦点は、下期に予定する北米向け製品の量産立ち上げが売上と利益にどう反映されるかです。
セグメント別動向
ソシオネクストはSolution SoCモデルで開発するSoCを主力とする単一セグメントのため、短信ではセグメント別の売上高や利益を開示していません。事業の動きを見るうえでは、量産段階で計上する製品売上と、設計・開発の進捗に応じて計上するNRE売上の伸びが手掛かりになります。
| 売上区分(百万円) | 2027年3月期中間期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 製品売上 | 77,551 | +10.2% |
| NRE売上 | 21,827 | +32.9% |
| その他 | 45 | -89.4% |
製品売上は車載向けと産業機器向けの増加を受け、前年同期を上回りました。NRE売上はデータセンター/ネットワーク分野を中心に伸び、製品売上より高い成長率となりました。
NRE収入の増加は、顧客案件の設計・開発が進んでいることを示す一方、量産開始後に製品売上へつなげられるかが重要です。同社はオートモーティブ、データセンター/ネットワーク、インダストリアル/スマートデバイスを注力分野に掲げ、大型商談の開発が順調に進捗し、SoCの量産も段階的に始まっていると説明しています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Solution SoC(単一セグメント) | 994億円 | 100% | 17億円 | 1.7% |
通期見通し
ソシオネクストは2027年3月期の通期業績予想を上方修正し、売上高を2,250億円、営業利益を155億円、親会社株主に帰属する当期純利益を105億円としました。修正理由は、上期の実績為替レートが当初予想の前提より円安で推移したことなどです。
| 指標(百万円) | 前回予想 | 今回予想 | 修正額 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 215,000 | 225,000 | +10,000 | +12.0% |
| 営業利益 | 14,000 | 15,500 | +1,500 | +25.5% |
| 経常利益 | 14,000 | 15,500 | +1,500 | +31.8% |
| 当期純利益 | 10,000 | 10,500 | +500 | +20.2% |
修正後の予想では、売上高・各利益とも前期を上回る計画です。ただし、第3四半期以降の為替前提は1ドル130円で、上期の実績より円高の想定となっています。中間期の営業利益は前年同期を下回っており、見通し達成には下期の北米車載・データセンター向け量産の進展と、採算性の改善が重要です。
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末比6.9%増の1,791億円、自己資本比率は72.8%で前期末から6.6ポイント低下しました。配当は年間50円の予想を維持し、上期末に1株25円を実施しています。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・実績 | 比較・補足 |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 72.8% | 前期末比-6.6ポイント |
| 営業CF(百万円) | -4,753 | 前年同期は-6,603 |
| 投資CF(百万円) | -20,555 | 前年同期は-10,954 |
| 財務CF(百万円) | +3,505 | 前年同期は-9,629 |
| 年間配当予想 | 50円 | 前期実績と同額 |
営業キャッシュフローは売上債権や棚卸資産の増加などを受けて支出超過となりました。投資キャッシュフローの支出は、製品開発用の設備や設計開発環境、IPマクロなどへの投資が主な要因です。
北米向け製品の生産準備に伴う運転資金需要に対応するため、コミットメントラインの枠を300億円から500億円に拡大し、中間期末時点で81億円を借り入れました。配当予想に変更はなく、上期の配当支払額は44億円でした。成長案件への投資を続けながら、量産拡大に必要な資金を確保する判断といえます。
研究開発・成長投資
研究開発費は前年同期比16.8%増の338億円となり、設備・開発環境などへの投資も拡大しました。量産準備と将来の受注獲得に向けた支出が利益を押し下げる一方、次の売上成長を支える開発基盤づくりが進んでいます。
- 量産準備: 下期以降に本格出荷を予定する北米車載・北米データセンター向け製品の試作や生産準備を進めています。
- 設備・環境: レチクル、テストボード、設計開発環境の増強などに取り組み、設備投資による支出は151億円でした。
- 先行開発: チップレットや先進パッケージング、プロセステクノロジー、最新設計ツールの実用化を、グローバルなエコシステムパートナーと進めています。
カスタムSoCは設計・開発から量産まで時間を要するため、先行投資が先に発生し、量産開始後に製品売上として回収する構造です。今回の開発投資は、AIやSoC設計の複雑化を背景とする需要拡大を取り込む狙いがあります。投資の効果を測るには、商談の獲得だけでなく、開発案件が量産に移り、利益率の改善につながるかを追う必要があります。
リスクと課題
需要拡大を背景に案件開発と投資を進める一方、利益や資金繰りには量産時期、為替、外部環境の影響が及びます。短信で会社が示した環境認識と、中間期の数値から確認できる課題は次の通りです。
- 為替変動: 上期は円安が売上・利益予想の上方修正要因となりましたが、第3四半期以降の予想前提は1ドル130円です。為替が想定と異なれば、業績予想に影響する可能性があります。
- 量産立ち上げ: 北米車載・データセンター向け製品の出荷に向けて棚卸資産が増えています。生産や顧客需要の進捗が想定を下回れば、在庫や運転資金の負担が重くなるおそれがあります。
- 開発費と採算性: 研究開発費の増加に加え、製品構成の変化で粗利率が低下しました。開発投資を続けながら、量産拡大で利益を確保できるかが課題です。
- マクロ・地政学リスク: 米国の経済政策をめぐる不確実性、中国内需の低迷、中東やウクライナの情勢を会社はリスクとして挙げています。景気や供給環境の変化が顧客投資に波及する可能性があります。
中間期末の現金及び現金同等物は前期末から減少し、短期借入も発生しています。下期に量産を進める局面では、受注・出荷の進捗と運転資金の管理をあわせて確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/28)
1,971.5円
最新終値(2026/10/28)
1,971.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/28更新
ソシオネクストをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて半導体業界の今
掲載9社ソシオネクストは半導体業界の掲載9社中、売上高で7位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +36.8%全業界 +17.1%
- 今期計画 営業利益
- +78.4%全業界 +11.4%
- 予想の上方修正
- 3社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 10.5%
- ソシオネクスト−32.2%
- 半導体(業界平均)+36.8%
- 全業界+17.1%
- 足元の業績今期第1四半期累計は3社合計で売上高+22.2%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は2社、下回る企業は1社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは3社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのは三井ハイテック(営業利益+77.3%)。





タグ#ソシオネクスト#決算#決算分析#四半期決算#カスタムSoC#データセンター#車載半導体#業績予想上方修正
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売上高の伸びだけでなく、NRE売上が大きく増えたことから、データセンターなどの開発案件が進んでいる点は前向きです。ただし、今期は粗利率の低下と研究開発費の増加で営業利益が大幅に減っており、案件の獲得が利益成長に結び付くかはまだ確認が必要です。
北米向け量産の立ち上がりが、成長投資を利益に変える試金石です。通期予想は上方修正されましたが、円安効果や下期の出荷計画を含むため、出荷の進捗、製品構成、運転資金の増え方を合わせて見たい決算です。
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