東亞合成、2026年12月期第3四半期決算、増収増益で通期予想を据え置き

東亞合成の2026年12月期第3四半期決算を分析すると、半導体関連製品やポリマー製品の販売拡大、採算改善が寄与し、増収増益となりました。1〜9月の売上高は前年同期比4.7%増、営業利益は11.1%増、純利益は11.6%増です。一方、基幹化学品事業は原料調達の制約や定期修理で減益となり、通期予想は据え置きました。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,255億円 | +4.7% | 1,700億円 | 74% |
| 営業利益 | 118億円 | +11.1% | 155億円 | 76% |
| 純利益 | 89億円 | +11.6% | 118億円 | 76% |
| 営業利益率 | 9.4% | |||
この決算のポイント
- 1ポリマー・オリゴマー事業は採算是正と販売増で営業利益が前年同期比60.7%増
- 2高機能材料事業は半導体向け高純度無機化学品が伸び、営業利益は前年同期比91.7%増
- 32026年12月期の年間配当予想は72円で、前期実績の65円から増配
- 4自己株式を1,664,100株取得し、第3四半期末の自己株式は38億30百万円
- 5通期業績予想は7月公表値を維持、原油・ナフサや為替の変動を注視
業績のポイント
東亞合成(東亞合成株式会社)の2026年1〜9月期は、売上高1,254億61百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益117億87百万円(11.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益89億27百万円(11.6%増)でした。前年同期からの増加額は、売上高が約56億円、営業利益が約12億円です。
- 販売数量の増加: 半導体向け製品やモビリティ向けアクリルポリマーなどで販売が伸びました。
- 採算の改善: ポリマー・オリゴマー事業などで価格改定や採算是正が利益に寄与しました。
- 減益要因: 基幹化学品事業ではアクリルモノマーの販売減少に加え、大型定期修理の費用が増えました。
販売拡大と採算改善が全体をけん引した一方、事業ごとの明暗は分かれました。世界経済ではAI関連投資が下支えとなったものの、中東情勢や原油・ナフサ価格の変動が続いています。通期予想を維持した会社の判断には、こうした先行きの不透明さも反映されています。
セグメント別動向
売上高は6事業のうち5事業で前年同期を上回り、利益面ではポリマー・オリゴマーや高機能材料などの伸びが目立ちました。営業利益の前年同期比はグラフの通りで、基幹化学品とその他の事業は減益でした。
基幹化学品事業は、売上高が前年同期比2.2%減でした。電解製品と工業用ガスは販売数量が増えた一方、中東情勢の影響による原料調達の制約や一部製品の販売終了でアクリルモノマーが減収となり、定期修理費用も利益を圧迫しました。
ポリマー・オリゴマー事業は、売上高が12.4%増でした。モビリティ、医薬・化粧品、半導体向けのアクリルポリマーや、電子材料向けアクリルオリゴマーが伸びました。価格改定と採算是正も利益を押し上げています。
接着材料事業は、売上高が9.7%増でした。米国での家庭用製品の価格改定に加え、モビリティ向けやスマートフォン向けの機能性接着剤が堅調でした。
高機能材料事業は、売上高が16.5%増でした。半導体向け高純度無機化学品の需要が続き、販売数量が増加しました。無機抗菌剤は販売が減りましたが、事業全体では増収増益です。
樹脂加工製品事業は、売上高が6.5%増でした。老朽化対策製品や東南アジア向けエコマテリアルが伸び、入浴介護用品などライフサポート製品の減少を補いました。
- その他の事業: 輸送事業の減収と収益悪化が響き、売上高は前年同期比3.6%減、営業利益も11.2%減でした。
半導体関連の需要に加え、価格改定や採算改善が複数事業の利益を支えています。一方、基幹化学品では原料調達や設備修理の影響が表れ、原材料の安定確保と収益性の維持が課題です。
- 基幹化学品-25.3%
- ポリマー+60.7%
- 接着材料+95.4%
- 高機能材料+91.7%
- 樹脂加工+47.1%
- その他-11.2%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 基幹化学品事業 | 521億円 | 42% | 50億円 | 9.6% |
| ポリマー・オリゴマー事業 | 299億円 | 24% | 36億円 | 11.9% |
| 接着材料事業 | 110億円 | 9% | 4億円 | 3.8% |
| 高機能材料事業 | 87億円 | 7% | 14億円 | 16.4% |
| 樹脂加工製品事業 | 220億円 | 18% | 29億円 | 13.2% |
| その他の事業 | 17億円 | 1% | 4億円 | 21.5% |
通期見通し
東亞合成は2026年12月期の連結業績予想を据え置きました。売上高は1,700億円、営業利益は155億円、親会社株主に帰属する当期純利益は118億円を見込みます。
| 項目 | 通期予想 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高(億円) | 1,700 | +4.7% |
| 営業利益(億円) | 155 | +9.3% |
| 経常利益(億円) | 163 | +8.2% |
| 当期純利益(億円) | 118 | -7.6% |
会社は7月31日に公表した予想から変更していません。第3四半期までの販売数量増加や価格改定は利益に寄与した一方、第4四半期以降は原油・ナフサ価格、地政学リスク、為替や金利の動向を見極める必要があるとしています。予想の修正が必要になれば速やかに開示する方針です。
財務状況と資本政策
2026年9月末の総資産は2,972億29百万円で、2025年12月末から2.8%増えました。自己資本比率は73.8%と、前期末の74.3%から0.5ポイント低下しています。
| 項目 | 2026年9月末・予想 | 比較対象 |
|---|---|---|
| 総資産(億円) | 2,972.29 | 前期末比+2.8% |
| 自己資本比率 | 73.8% | 前期末74.3% |
| 中間配当(円) | 36.00 | 前期中間32.50 |
| 期末配当予想(円) | 36.00 | 前期末32.50 |
| 年間配当予想(円) | 72.00 | 前期実績65.00 |
年間配当予想は前期実績から7円増え、株主還元を強化します。また、2月の取締役会決議に基づいて自己株式1,664,100株を取得しました。株価上昇による投資有価証券の増加が資産を押し上げた一方、現金及び預金は前期末から減少し、コマーシャル・ペーパーを新たに計上しています。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成していないため、期間中の営業・投資・財務キャッシュ・フローは確認できません。
研究開発・成長投資
2026年1〜9月の研究開発費は52億97百万円でした。研究開発活動の状況に重要な変更はないとしています。
- 研究開発費: 前年同期の金額は短信に記載されておらず、前年との増減は比較できません。
- 注力領域: 半導体関連製品やポリマー・オリゴマー事業の製品を中心に販売数量が増加しました。
- 生産効率化: 販売拡大や採算是正と並行し、効率化にも取り組んでいます。
半導体関連の需要を取り込みながら、既存製品の採算改善も進める方針がうかがえます。研究開発費の内訳や個別の投資案件は短信に示されておらず、今後は成果の製品化や販売拡大へのつながりが注目点です。
リスクと課題
会社は第4四半期以降も不透明な事業環境が続くと見ています。業績への影響が大きい外部環境や、事業ごとに表れた課題は次の通りです。
- 地政学リスクと原料調達: 中東情勢の影響で第2四半期までアクリルモノマーの原料調達に制約が生じました。情勢が長引けば、生産や販売への影響が続く可能性があります。
- 原油・ナフサ価格: 市況変動は原材料コストや製品採算に影響します。価格改定を継続できるかが利益を左右します。
- 為替・金利の変動: 為替相場や金利の動向によって、業績予想に対する不確実性が高まる可能性があります。
- 基幹化学品の販売・修理負担: アクリルモノマーの販売数量減少と大型定期修理費用が減益要因となりました。設備稼働や需要の回復が課題です。
- 市場需要の変化: 半導体関連需要は業績を支えていますが、需要動向が変われば高機能材料などの販売にも影響し得ます。
こうした要因を踏まえ、会社は通期予想を据え置き、事業環境が大きく変わらないことを前提としています。予想修正が必要と判断した場合は速やかに開示するとしています。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
1,815.5円
最新終値(2026/10/30)
1,815.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
東亞合成をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて化学業界の今
掲載60社東亞合成は化学業界の掲載60社中、売上高で36位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +24.8%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +24.1%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 19社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 8.8%
- 東亞合成+18.7%
- 化学(業界平均)+24.8%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は36社合計で売上高+13.3%・営業利益+51.0%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は27社、下回る企業は4社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは19社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのは大阪有機(営業利益+45.3%)。





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東亞合成の今回の決算は、半導体向け製品やポリマー関連の伸びが、基幹化学品の苦戦を補った構図です。複数事業で価格是正が利益につながっており、単なる販売数量の増加にとどまらず、採算改善が進んだ点は評価できます。
一方、通期予想は据え置きで、原料価格や地政学リスクへの警戒は続きます。成長分野の販売拡大を、持続的な利益成長につなげられるかが今後の焦点です。年間配当の増額と自己株式取得も進めており、成長投資と株主還元の両立が問われます。
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